世界レベルの研究大学を目指して、いずれも国立の東京医科歯科大と東京工業大が、統合に向けた協議を開始することがわかった。運営法人の傘下に2大学を置く方式か、単一の新たな大学となるかは今後検討する。両大学が得意とする医療や工学など幅広い分野で先端研究を展開し、政府が年数百億円を支援する「国際卓越研究大学」の指定を目指す。
両大学は8日、大学幹部や学外有識者らで構成する経営協議会を開き、法人統合に向けた協議の開始を決定する。その後、合同の会議を設けて検討し、「1法人1大学」と「1法人2大学」のどちらとするかなど、具体的な統合の方針を決める予定だ。
医科歯科大は医、歯2学部で学生数は約3000人。東工大は理、工など6学院(学部に相当)で約1万人が学ぶ。統合が実現した場合、東京大、京都大、大阪大など研究力の高い旧帝国大に並ぶ大学が誕生する。
国が2021年度、国立大などに交付した運営費交付金で比較すると、トップは東京大の835億円。東工大は11位218億円、医科歯科大は22位138億円だった。統合により北海道大(366億円)や筑波大(361億円)に並ぶ規模となる。
統合の主な目的は、政府が選ぶ「国際卓越研究大学」に指定されることだ。政府は10兆円規模の「大学ファンド」で年3000億円の運用益を得る目標で、数校を指定し、1校あたり数百億円を支援する。
医科歯科大と東工大は、それぞれの強みを生かした研究や収益力の強化を目指す。ロボットやデータサイエンスなどの技術を応用した、新たな治療法やヘルスケアサービスなどを生み出す「医工連携」は、大学発ベンチャー(新興企業)の輩出や、産業界からの投資呼び込みにつながる期待がある。
以上読売新聞より