情報処理学会は10月12日、大学入学共通テストで「情報」科目の配点を0点にすると予告した一部国立大学に対して、抗議する声明文を発表した。情報処理学会はこのような事態を“不適切な入試”と表現し、全ての受験科目で適切な配点をするよう強く求めている。
全国86の国立大学で構成される国立大学協会は1月、2024年度実施の国立大学入学試験から「情報」を必須科目に加えると発表。22年度から高等学校の必須科目として「情報I」が順次導入されているのを受けての決定で、必須科目はこれまでの国語、英語、数学、理科、社会に情報を加えた6教科8科目になる。
この方針を受けて、北海道大学など一部国立大学は24年度の入試では情報の成績は配点しない旨を9月に発表。北海道大学に理由を聞いたところ「新設の科目で前例がないため、問題の傾向や点数が不安定になると予想している。慎重な対応を行いたいため24年度は配点0にした。25年度以降についての予定は未定」と話した。
情報処理学会はこのような大学の方針を「国立大学協会の基本方針を形骸化するもの」と非難。続けて「入試科目は点数化してその理解到達度を測定するために課すもので、配点しない科目の受験を強いるのは、入試の実施根拠そのものを喪失する」「高校教育の成果を測定する入試において配点しないというのは、高校教育におけるその科目の意義を否定することになる」と指摘している。