将棋の最年少棋士、藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(36)=棋王、王将と合わせ三冠=に挑戦する第91期棋聖戦5番勝負の第4局が16日、大阪市内で指され、後手の藤井七段が110手で勝ち、3勝1敗で八大タイトルの一つ棋聖位を奪取した。藤井七段にとっての初タイトルで、屋敷伸之九段(48)が持つタイトル獲得の最年少記録(18歳6カ月)を30年ぶりに塗り替える17歳11カ月での達成だ。
第4局は、序盤から中盤にかけて難解な競り合いが続いたが、終盤、藤井七段が好手を連発し、一気に突き放した。
対局終了後、藤井七段は「今はまだあまり実感がないというのが正直なところ」と語った。タイトル保持者となったことに関しては「責任ある立場になるので、より一層精進していい将棋を指せるようになりたい」と表情を引き締めた。失冠した渡辺棋聖は「全体としては、競った将棋で負けているので仕方ない結果かなと。すごい人が出てきたなという感じ」と話した。
愛知県瀬戸市出身の藤井七段は2016年、史上最年少の14歳2カ月でプロ入り。デビューから負け知らずの29連勝や朝日杯2連覇などの実績を重ねる一方で、タイトル戦には手が届かずにいた。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間明けの6月以降は快進撃が続き、今期の棋聖戦は、屋敷九段が保持していたタイトル挑戦と獲得の最年少記録を共に更新する快挙となった。
藤井七段は、棋聖戦と並行して行われている木村一基王位(47)に挑む王位戦7番勝負でも、開幕から2連勝。棋界最高位の竜王戦でも4年連続で本戦出場を決めており、豊島将之竜王(30)=名人と合わせ二冠=への挑戦権獲得を目指している。
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