軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

山野で見た蝶(7)北軽井沢探チョウ(4/4)

2019-09-13 00:00:00 | 
 北軽井沢での探チョウ記については、思いがけず4回にわたることになったが、今回が最終回。

 今回は、ミドリヒョウモンから。前翅長31~40mm。以前、「庭に来たチョウ(18)」(2017.12.1 公開)で紹介したので生態などは割愛するが、軽井沢周辺でもっともよく見ることのできるヒョウモンチョウの仲間である。食草はタチツボスミレなど各種スミレ類。

 先日の早朝、我が家の建物の基礎部に止まっている本種を見つけたが、羽化直後でまだ翅は乾いていない状態であった。鉢植えの草に止まらせて室内に取り込みしばらくビデオ撮影をしたりしていたが、やが翅も乾き飛び去っていった。 我が家の庭の園芸種のヴァイオレットを食べ、育ったもののようであった。

 長野県ではほぼ全域の平地から山地にかけて分布し、樹林地周辺に生息する。県内では最も普通に見られる大型ヒョウモンチョウで、東信地方でも各地で多く見られる。近年の里山の草地減少・森林化の進行により、本種が好む森林環境が増えたため、発生量、個体数は増加傾向にあるとされる。

 今回訪問した草原でも、いたるところで見かけることができた種であった。翅色はウラギンヒョウモンよりも更に濃く赤味の強い個体もいたが、橙色のものも混じっていて、変化が大きい。♂の場合、よく発達した4本の性標が目立ち、野外でも判別は容易である。♀は翅色の緑味が強く、こちらもわかりやすい。


アカツメクサで吸蜜するミドリヒョウモン♂1/9(2019.7.24 撮影)


オカトラノオで吸蜜するミドリヒョウモン♂2/9(2019.7.24 撮影)


オカトラノオで吸蜜するミドリヒョウモン♂3/9(2019.7.24 撮影)


オカトラノオで吸蜜するミドリヒョウモン♂4/9(2019.7.24 撮影)


オカトラノオで吸蜜するミドリヒョウモン♂5/9(2019.7.24 撮影)


オカトラノオで吸蜜するミドリヒョウモン♂6/9(2019.7.24 撮影)


オカトラノオで吸蜜するミドリヒョウモン♂7/9(2019.7.24 撮影)


地上に止まるミドリヒョウモン♀8/9(2019.7.24 撮影)


オカトラノオで吸蜜するミドリヒョウモン♂9/9(2019.7.24 撮影)

 次はクモガタヒョウモン。前翅長33~42mm。年1回の発生で、成虫は5月下旬頃から出現する。林縁や林道を敏速に飛翔し、訪花吸蜜するほか、吸水行動も見られるという。夏季休眠し、9月に活動を再開する。食草はタチツボスミレなどの各種スミレで、孵化間もない1齢幼虫で越冬する。

 長野県ではほぼ全域の山麓部平地から山地にかけて分布、樹林地と周辺の草地に生息する。東信地方ではかつては記録が少なかったが、近年は各地で比較的多く見られるようになり、増加傾向がうかがえるという。里山の森林化の進行により、本種の発生に好適な樹林地が増えたためと考えられている。

 このクモガタヒョウモンはオカトラノオの群生している場所から少し離れた草むらの中にいた。はじめはその場所に1本だけ咲いているオカトラノオに止まり吸蜜をしていて、頭部が見える状態であったが、その後飛び立って近くの葉上に止まり、そこで長い間じっととどまっていたので、じっくりと撮影することができた。


葉上で休息するクモガタヒョウモン♂1/6(2019.7.24 撮影)


葉上で休息するクモガタヒョウモン♂2/6(2019.7.24 撮影)


葉上で休息するクモガタヒョウモン♂3/6(2019.7.24 撮影)


葉上で休息するクモガタヒョウモン♂4/6(2019.7.24 撮影)


オカトラノオで吸蜜するクモガタヒョウモン♂5/6(2019.7.24 撮影)


葉上で休息するクモガタヒョウモン6/6♂(2019.7.24 撮影)

 今回撮影した個体は翅表に2本の性標が見える♂であった。


翅表の2本の性標がみえるクモガタヒョウモン♂(2019.7.24 撮影)

 以下は、今回の北軽井沢での探チョウをまとめる意味で、チラと見かけ撮影できた種の紹介をさせていただく。これまでのように、じっくりとは撮影ができなかったチョウ達の紹介である。

 ベニシジミ、ヒメアカタテハ、イチモンジチョウそしてホシミスジから。これらの種はいずれも「庭にきた蝶」ですでに紹介し、そこで生態についても紹介しているので、ここでは写真の紹介にとどめる。

 最初はベニシジミ。翅形から♂と判定した。


ヒメジョオンで吸蜜するベニシジミ♂1/3(2019.7.24 撮影)
 

ヒメジョオンで吸蜜するベニシジミ♂2/3(2019.7.24 撮影)


ヒメジョオンで吸蜜するベニシジミ♂3/3(2019.7.24 撮影)

 次はヒメアカタテハ。


アカツメクサで吸蜜するヒメアカタテハ(2019.7.17 撮影)

 続いて、イチモンジチョウ。


葉上にとまるイチモンジチョウ1/3(2019.7.24 撮影)


吸蜜中のイチモンジチョウ2/3(2019.7.24 撮影)


葉上にとまるイチモンジチョウ3/3(2019.7.24 撮影)

 4番目はホシミスジ。


葉上で休息するホシミスジ1/2(2019.7.24 撮影)


葉上で休息するホシミスジ2/2(2019.7.24 撮影)

 最後に、ヒメキマダラセセリとコキマダラセセリの2種。いずれも我が家の庭の花にはやってきたことが無く、これまで紹介したことがない種である。

 先ず、ヒメキマダラセセリ。前翅長27~36mm。暖地では年2回発生するが、長野県の多くの地域では年1回の発生で、成虫は6月中旬頃から出現する。各種の花を訪れて吸蜜する。食草はイネ科のチヂミザサ、ヤマカモジグサ、カヤツリグサ科のカサスゲ、テキリスゲなどで、幼虫で越冬する。

 長野県ではほぼ全域の低山地~山地の樹林地周辺に生息する。東信地方では、林間の草地、渓谷部の林縁や林道沿いなどで比較的よく見られる。森林性のチョウで、草原の森林化で、個体数の増加している産地もあるとされる。


アカツメクサの花にとまるヒメキマダラセセリ♀1/5(2019.7.24 撮影)


アカツメクサで吸蜜するヒメキマダラセセリ♀2/5(2019.7.24 撮影)


ヒメジョオンで吸蜜するヒメキマダラセセリ♀3/5(2019.7.17 撮影)


ヒメジョオンで吸蜜するヒメキマダラセセリ♀4/5(2019.7.17 撮影)


アカツメクサで吸蜜するヒメキマダラセセリ♀5/5(2019.7.24 撮影)


葉上で休息するヒメキマダラセセリ♂(2019.7.24 撮影)

 次はコキマダラセセリ。前翅長27~36mm。年1回の発生で、成虫は6月下旬頃から出現し、各種の花を訪れて吸蜜する。食草はイネ科のススキ、ヒメノガリヤス、カヤツリグサ科のヒカゲスゲなどで、幼虫で越冬する。

 長野県ではほぼ全域の山地、高原のススキ草原に生息するが、近年は県南部を主に、森林化による山地草原の衰退が影響し、減少傾向にあるとされる。東信地方では高原や山地の自然草原、牧場やスキー場などで見られ、良好な環境下では、発生数も多いようである。


葉上で休息するコキマダラセセリ♀(2019.7.24 撮影)


オカトラノオで吸蜜するコキマダラセセリ♂(2019.7.24 撮影)

 2回の北軽井沢探訪で思いのほか多くのチョウを見ることができ、また撮影することができた。何種類ものチョウが衰亡していく中で、逞しく生き残っている種がほとんどであったが、中には準絶滅危惧種も含まれていて、貴重な生育環境が維持されていることが実感でき、喜ばしいことであった。

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