⑥『ケケと半分魔女 魔女の宅急便 <特別編その3>』 角野栄子/佐竹美保 福音館書店2022.1
『魔女の宅急便その3』に登場したケケのことを覚えていますか。『魔女の宅急便その6』にも登場し、「半分魔女」という短い物語を書き、キキの息子トトからケケおばさんと呼ばれていました。その後、ケケは『半分魔女 もうひとつのものがたり』という長い物語を書きあげます。タタという15歳の女の子の物語です。ケケがどんな物語を書いたかどうぞ読んでみてください。
4才で母を亡くし、父の溺愛から逃げるようにして旅に出たタタは時間が不思議に交錯する魔法の森にたどりつき、自分と同じように探し物をするノビノくんとヒロッコちゃんに出会い、3人はそれぞれに探していた大切なものを見つけます。タタは亡くなった母ミコさんからのバトンを受け取ることができたようです。すてきな自分探しの物語です。
角野さんはケケのことがずっと気になっていたと言います。ケケは角野さんの分身かもしれません。そしてタタはケケの分身です。
『黄色い夏の日』 高楼方子 福音館書店2021.9
キンポウゲの咲き乱れる不思議なたたずまいの古い洋館に心惹かれる人たちの物語です。
今この洋館に住むのは80才の小安津艶子(こやつつやこ)さん。この洋館を描いてみたいと密かに思う中学生の景介と出会い、封印していたはずのこの洋館にまつわる子どもの頃の出来事を小安津さんは思い出していきます。景介は時を超えてその出来事に立ち合うことになり、物語は一気にミステリアスに展開します。
景介を心配してこの洋館を訪れた幼馴染の晶子もまたこの洋館に魅力を感じ、小安津さんともすてきな出会い方をしていきます。晶子のまっすぐな心の持ちようはまるで子どもの頃の小安津さんを見ているようで興味深いです。小安津さんとの出会いを通して中学生の景介と晶子はそれぞれにすてきな夏を体験し成長していく物語です。
高楼さんは『緑の模様画』でもお年寄りと10代の少女たちとの交流をすてきに描いています。
⑧『ありがとう 絵本作家・田畑精一の歩いた道』 編/『ありがとう 絵本作家・田畑精一の歩いた道』実行委員会 童心社2021.6
『おしいれのぼうけん』や『さっちゃんのまほうのて』などたくさんの絵本で知られる田畑精一さんは2020年6月7日、89才で亡くなりました。田畑さんが亡くなったあと、親しかった絵本作家や編集者の方たちが実行委員会を作り、2021年6月に追悼展を開き、この本を刊行します。絵本作りの中で語られた田畑さんのすてきな言葉にたくさん出会えます。その根っこにあるのは子どもの頃の戦争体験で、再び戦争を起こしてはいけないという田畑さんの強い思いに触れることができます。最後の絵本になった『さくら』と合わせて、その言葉をかみしめたいと思います。
仙台で2度、田畑さんをお招きして講演していただいたことを懐かしく思います。『さっちゃんのまほうのて』や『ゆうちゃんのゆうは?』の原画も見せていただき、一枚の絵に、一冊の絵本に長い時間をかけ、心を込める田畑さんの姿に感動したのを覚えています。
『魔女の宅急便その3』に登場したケケのことを覚えていますか。『魔女の宅急便その6』にも登場し、「半分魔女」という短い物語を書き、キキの息子トトからケケおばさんと呼ばれていました。その後、ケケは『半分魔女 もうひとつのものがたり』という長い物語を書きあげます。タタという15歳の女の子の物語です。ケケがどんな物語を書いたかどうぞ読んでみてください。
4才で母を亡くし、父の溺愛から逃げるようにして旅に出たタタは時間が不思議に交錯する魔法の森にたどりつき、自分と同じように探し物をするノビノくんとヒロッコちゃんに出会い、3人はそれぞれに探していた大切なものを見つけます。タタは亡くなった母ミコさんからのバトンを受け取ることができたようです。すてきな自分探しの物語です。
角野さんはケケのことがずっと気になっていたと言います。ケケは角野さんの分身かもしれません。そしてタタはケケの分身です。
『黄色い夏の日』 高楼方子 福音館書店2021.9
キンポウゲの咲き乱れる不思議なたたずまいの古い洋館に心惹かれる人たちの物語です。
今この洋館に住むのは80才の小安津艶子(こやつつやこ)さん。この洋館を描いてみたいと密かに思う中学生の景介と出会い、封印していたはずのこの洋館にまつわる子どもの頃の出来事を小安津さんは思い出していきます。景介は時を超えてその出来事に立ち合うことになり、物語は一気にミステリアスに展開します。
景介を心配してこの洋館を訪れた幼馴染の晶子もまたこの洋館に魅力を感じ、小安津さんともすてきな出会い方をしていきます。晶子のまっすぐな心の持ちようはまるで子どもの頃の小安津さんを見ているようで興味深いです。小安津さんとの出会いを通して中学生の景介と晶子はそれぞれにすてきな夏を体験し成長していく物語です。
高楼さんは『緑の模様画』でもお年寄りと10代の少女たちとの交流をすてきに描いています。
⑧『ありがとう 絵本作家・田畑精一の歩いた道』 編/『ありがとう 絵本作家・田畑精一の歩いた道』実行委員会 童心社2021.6
『おしいれのぼうけん』や『さっちゃんのまほうのて』などたくさんの絵本で知られる田畑精一さんは2020年6月7日、89才で亡くなりました。田畑さんが亡くなったあと、親しかった絵本作家や編集者の方たちが実行委員会を作り、2021年6月に追悼展を開き、この本を刊行します。絵本作りの中で語られた田畑さんのすてきな言葉にたくさん出会えます。その根っこにあるのは子どもの頃の戦争体験で、再び戦争を起こしてはいけないという田畑さんの強い思いに触れることができます。最後の絵本になった『さくら』と合わせて、その言葉をかみしめたいと思います。
仙台で2度、田畑さんをお招きして講演していただいたことを懐かしく思います。『さっちゃんのまほうのて』や『ゆうちゃんのゆうは?』の原画も見せていただき、一枚の絵に、一冊の絵本に長い時間をかけ、心を込める田畑さんの姿に感動したのを覚えています。