メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

メガヒヨ in NY 2011秋その2-4 《THE BOOK OF MORMON感想編》

2011年12月03日 | NEWYORK

いや~。面白かった!!「THE BOOK OF MORMON」。
トニー賞で観たANDREW RANNELSのパフォーマンスに衝撃を受けたのが6月。
でも今年はスペインに行っちゃったので、旅行資金は底尽き状態。
せめて脚本とCDで我慢するかとアマゾンで取り寄せたのだけど、作品に触れたらさらにはまっちゃって。

「これはオリジナルのキャストが残っているうちに行くしかない!お金は働いてればまた貯められるし。」
ってなわけでチケットを手配しようとしたのが8月始めだったっけな。
本当なら10月にも行きたかったのだけど、その時点で取れる日が11月中旬以降しか無くて。
そんな訳でこの旅行の日程も決まったという次第。

ちなみに取れた席はココ!

レギュラープライス155ドルの中でも一番後ろ、一番端っこの席の模様。
でも劇場が狭いおかげか、それなりによく見えた。
まぁしいて言えば、前に座った客のマナーが悪く、落着きなく動いていたのが難だった。
でも芝居の面白さでそんなの気にならなくなったけどね!
ところでこのH列。来年4月からは69ドルに値下げするとのこと。


さて。あらすじだけど、頑張って要約するつもりが長々となっちゃった。
意訳になったところもあったりして。
よく出てくるフレーズ、「SOMETHING INCREDIBLE」は偉業と訳しちゃいました。
ちょっと宗教っぽくしてみたかったので。

あとどう訳していいのか分からなかったのが「LATTERDAY SAINTS」。
直訳すれば現代の聖人って意味なんだろうけれど、モルモン教徒が自称として使っている宗教用語みたい。
LATTERDAYは現世の次の世界、神様が治める世界とプライスも作品中で語っているしね。
キリスト教分派ということになっているモルモン教は、その死後の世界を重視している模様。
ところがカニングハムは、LATTERをそのままLATE+ERとし「明日」の意味で使ってて、プライスに注意されるんだけどね。
でもフィナーレではみんなで楽しく「TOMORROW IS A LATTER DAY」と歌っていたり(笑)

それからSTUCKって言葉もしばしば出てきたな。
STICKの過去・過去分詞形だけど、支えるとかお荷物とか、くっつけるとか色々意味があるよ。
印象的なのが、カニングハムは親にSTUCK(お荷物)扱いと思われているんじゃないかと気にしていて、ケンカする前のプライスがそんなことないよとフォローする場面。
それを伏線とし、一幕終わりにプライスが「研修センターでSTUCKされただけだよ。」と言い放って、あわてて「今のはお荷物って意味じゃないから」と取りなす所に展開していくんだけどね。
うっとおしいカニングハムに少々キレても、本当に傷つけちゃいけないって思うプライスの人の良さが出ていたなぁ。

そんなエルダー・ケビン・プライスを綿密な役作りで演じたのは、ANDREW RANNELLS。
ミュージカル俳優としてでなく、声優としても活躍されている方。
日本のアニメもよく吹き替えているよ。
ミュージカル俳優としてのキャリアは2006年に「Hairspray」のLINK役からとWIKIではあるけれどそうではないみたい。
2000年初演のファミリーミュージカル、ポケモン・ライブにコジロー(James)役で出演している。
これメガヒヨがNYに行き始めた頃にオーディションが告知されたから、よく覚えているんだよね(笑)
その後にLINK、「Jersey Boys」のBob Gaudioとキャリアを重ねていくんだけど、何年も頑張った人が成果を出しているのを見るのはいいものだね。

Pokemon Live- Double Trouble/Double Trouble Reprise/Best at Being the Worst

もう一人の主役、エルダー・アーノルド・カニングハムを演じるのはJOSH GAD。
テレビ、映画でも活躍する俳優さん。
この方はとにかく芸達者!!
歌も色んなスタイルをこなすし、あの体型なのに身のこなしが素早い。
【♪MAN UP】では観客に動体視力を要求してくるので、ご覚悟のほどを。
ブロードウェイのキャリアを調べて見ると、やっぱり演じていた。「SPELLING BEE」のBarfeé役(笑)
そうそう。今日本公開中のアン・ハサウェイ主演の「ラブ&ドラッグ」にも出演しているね。
バイアグラのセールスマンの映画だって。面白そうだから観にいこうかな。

このミュージカルではナバルンギ役のNIKKI M.JAMESがトニー助演女優賞を勝ち取っているけれど、メガヒヨが観た日は残念ながらお休みだった。
でも代役のMELANIE BREZILLも良かったよ。
純真な女の子って感じで。

他のキャストでは、ジョセフ・スミス、プライスのパパ、モルモン教幹部を演じたLEWIS CLEALEが良かったな。
金属的な硬さを感じる声質がメガヒヨ好みだったので。
この方、昨年の「SONDHEIM on SONDHEIM」にもご出演されていたとのこと。
B'wayの中でもさらに歌唱力を問われるショーだから、かなりの実力派なんだろうな。


カニングハムがでっち上げをしているとき、背後で全否定しているのが面白かった(笑)

そうそうこのLEWISさんは、カーテンコールにジョセフ・スミスの格好で登場してらした。
作者の人たちもトニー賞受賞のときに、天国のジョセフにキミが獲った賞だよと呼びかけていたっけ。
これも一つの制作者によるオマージュなのかも(笑)
作中、「VERY ACTIVE IMAGINATION」という言葉が出てくるけれど、これってきっとジョセフ・スミスのことを指しているよね。
19世紀において、古代アメリカにユダヤ人が渡って来ただの、エデンの園はミズーリ州ジャクソン群にあっただの、信徒のみなさんには惑星をプレゼントなんて発想、凡人には絶対浮かばないもの。
まぁそんなことを言ったら、2000年前に水をワインに変えたとか、3000年前に海が二つに割れたなんてのも、「VERY ACTIVE IMAGINATION」の産物だなんて思ってしまう訳なんだけど!

てなわけで作品を思う存分楽しんだメガヒヨ。
もちろん出待ちをしたよ!
ミッショナリーやウガンダの皆さんはにこやかにサインをしてくれた。

ANDREWに写真をおねだりしたら、「もちろん♪」って気さくに応じてくれた。
JOSHにもお願いしたかったのだけどタイミングを逃しちゃったので、これはまたの機会のお楽しみに。

それにしてもANDREWは背が高いなぁ。
でもってすごくキャラクターが可愛らしいので、母性本能がくすぐられるんだよね。
今後仕事が殺到しそうだけど、いいものを選んで是非次の活躍につなげてほしいと心から思った。
もちろんプライス役もまだまだ続けてほしいけどね♪


メガヒヨ in NY 2011秋その2-3 《THE BOOK OF MORMONあらすじ第二幕編》

2011年12月03日 | NEWYORK

ほんっとにこれはネタバレ満載。
警告しとくね。
これから観る方は十分ご注意を

第二幕

幕が上がると、またもやモルモン教に関する解説が始まる。

古代アメリカにおいて、ユダヤ人の中でも善良なニーファイ族と邪悪なレーマン族との間に戦争があった。
その壮絶な戦いの最中、ゴルゴダでの磔刑後に復活したイエス・キリストがニーファイ族のモルモンの元に現れる。
その時のイエス・キリストによる数々の教えを、モルモンは「GOLDEN PLATE」に書き留めた。
その内容が今日のモルモン書となり、世界中で読まれているという次第なのである…。

ウガンダの人々の前で、モルモン書のその様な内容を語るカニングハム。
みんな退屈そうにし、居眠りをしている人までいる。
「で、それってどんな意味があんの?」

カニングハムは、邪悪なレーマン人が神の天罰を受け肌を黒くされた部分をうっかり読んでしまう。
ぴくっと反応する黒人の面々。モルモン書はこのグローバル時代において数々の地雷を秘めている(笑)
彼はあわててそこを飛ばして取りつくろうとするが、問題はそこではなかった。
「こんな3時間も、地球の裏側に起きた何千年前のことについて聞いてどんな意味があるというんだ?」
「そうよ。ニーファイ族なんてエイズにはちっとも関係無さそうだし。」
退屈さに耐えかね、みんなの不満は爆発寸前。

カニングハムはつい、モルモン書にはエイズについて書かれていると出まかせを言ってしまう。
そしたら空気が一変!
打って変わって興味をあらわしたウガンダの人々。
「どう? やっぱりこの本は私達を助けてくれるのよ!」
得意気なナバルンギを囲み、住民たちは盛り上がっている。

彼らを背に、カニングハムは良心の呵責に苦しんでいた。【♪MAKING THING UP AGAIN】
「つい、嘘をついちゃった。待てよ。これは嘘じゃない…。
ただ想像力が働いちゃっただけなんだ!」

カニングハムの心中イメージには、彼の父、モルモン、モロナイ、ジョセフ・スミスが現れ、嘘をついたことを叱責する。
「聖なる言葉に勝手に付けたしをするな。嘘は嘘。
いつかは代償を払うことになるぞ。」

そんな葛藤が繰り広げられている最中、彼の前にハードルが立ちふさがる。
村のろくでなしマツンボがエイズを治す迷信のために、赤ん坊を襲いに行こうとしているのだ。
「神様の教えに背く」と必死に止めるカニングハムだが、「そんなのどこに書いてある?」とマツンボは開き直る。
どうしようもない状況に、とっさにまた嘘をついてしまった。

こうなると止まらない。
お次は医者のゴツワナによる娘への割礼を阻止しようとして、再び嘘を重ねてしまう。
モルモンの教祖どころか、ホビット、スターウォーズやスタートレックの登場人物まで動員しての良心の呵責むなしく、でっち上げは止まらず。

一方、カニングハムのフィクションはウガンダの人々のニーズに合った模様。
「聖なる預言者」「救世主」として崇め奉られる。
その様に当の本人もまんざらでもない様子だ。

 

場面は変わってエルダー・プライス。
彼の目の前にはオーランドの光景が広がる。憧れの場所に来られて大はしゃぎ!
しかしなんか様子が変。雰囲気が暗くなり、おどろおどろしい音楽が流れる。
「お前は規則を破った。エルダー。
お前の魂は今となってはわしのものだ!」
「…ミッキー?」

もちろんミッキーなんかではなく、その正体はサタン。
オーランドが一変して地獄と化し、雷鳴が轟く。【♪SPOOKY MORMON HELL DREAM】

プライスは子供の頃の罪の記憶を蘇らせていた。
夜、台所でドーナツを盗み食いし、弟に罪を着せたこと。

その罪の意識とともに5歳から19歳の現在まで生きてきた彼。
更に今回は規則第72条に違反し、宣教師の相方をおいてけぼりにしてしまった。
その罪悪感は図り知れず、地獄の悪夢の中で恐れおののく。
そこにはイエス・キリストまで現れて、彼を叱責する。
(ここは場内大爆笑。キリストがまず使わないような言葉が出てくるからと思われる。)

キリストが愛想をつかして去った後、プライスはサタンに許しを乞うがスルーされ、舞台には地獄の住民達が登場。
第二次世界大戦を起こしたヒットラー。
中国人を大虐殺したチンギス・ハーン。
男性を刺殺してその遺体を蹂躙したジェフリー・ダーマン。
OJシンプソンを無罪に仕立て上げた弁護士、ジョニー・コックラン。

プライスは天に向かい、神に「もう規則を破りません。」とひたすら懇願するも叶わず。
悪魔たちに、モルモン教で禁止されているコーヒーを飲むよう強要される始末。
恐ろしい地獄の夢は最高潮に達するのだった。……


心配する先輩ミッショナリーに囲まれ、やっと目を覚ましたのはバス停。
彼はオーランドどころか、村から出てさえもなかったのだ。
そこにやってきたカニングハム。やたらご機嫌。
モルモン教に興味を持つ住民を大勢勧誘できたというのだ。
プライスはそのことを聞いてほめるが、カニングハムの態度はそっけない。

プライスがつまはじきになっている一方、先輩ミッショナリーはカニングハムを囲んで盛り上がっている。
わいわいと洗礼へのプランを立てつつも、住民を恐怖支配している「将軍」への不安もちらつく。
「人々を自由にしてあげられるように、誰かが将軍のところへ説得に行く必要があるな。」
「あんな狂った軍人の考えなんて変えられないよ。それこそ偉業だ。」

「偉業…偉業…」
プライスは突如何かに目覚め、一人決心していた。

【♪I BELIEVE】

彼は一瞬でも迷いが生じたことを後悔し、信仰への思いを一層熱くしていた。
そしてモルモンの教義を噛みしめる。

「神がこの世界を創造した。」
「古代のユダヤ人は船でアメリカ大陸まで渡った。」
「神の計画によれば、ボクは自身の惑星を持つことが出来る。」
「今の大管長トーマス・モンソンは直接神と対話している。」

決意をさらに固めたプライスは、将軍のアジトに突入する。
銃を突きつける軍人たち。それでも彼はひるまずラスボスにさしで向かい合う。

「ボクは信じるぞ!」
「悪魔があなたに取りついている!」 (コーラス) サタン ハズァ ホールド~♪
「神がボクをここに遣わした!」 ゴッド ハズ センミー ヒヤ~♪
「1978年より神は黒人も認めて下さっている!」 ブラック ピーポ~♪

「あなたもモルモン教徒になれる。さぁ一緒に魂を成長させよう!!」

…ここまでやらかして無事では済まない。
軍人たちに取り押さえられたプライスは、シバかれることに。
悲鳴とともに場面転換。

村ではカニングハムが、相変わらずいい加減な解釈でモルモン書を読んでいた。
しかし、スターウォーズとごった混ぜになったそれは住民の受けがいいようだ。
神によるラーマン人への肌の色を変える罰も、本日は黄色ということで大好評。
「それって中国人みたいな感じ? やっぱりモルモン書は正しいね。彼らって厄介者だもの。」

本日の説法が終わり、楽しそうに帰っていくウガンダの人々。
一人そこに残ったナバルンギは、カニングハムに礼をいう。
「みんながあんなに幸せそうなのってみたことないわ。パパでさえ…。アナタってすごい。」

彼女はカニングハムに正式なモルモン教徒になりたいことを告げる。
そして今すぐ洗礼してほしいと。
今までに経験が無いと戸惑うカニングハムだが、彼女の熱心さに押されてこの場で行うことにする。
【♪BAPTIZE ME】

ザブン、ザバーンと騒がしい洗礼だったが、とりあえず完了。
水から上がった彼らは、80年代のラブコメのような雰囲気で盛り上がっている。

いよいよ村の人々の洗礼の日がやってきた。
川のほとりでミッショナリーたちは白い正装に着替えて、村の住民を迎えている。
まずマファラがマッキンリーによって洗礼され、その後ぞくぞくと新しい信者が誕生してゆく。
マッキンリーは幹部に20人もの信者獲得に成功したことを報告し、お誉めの言葉をいただく。

ミッショナリーたちは喜びの頂点へ。アフリカへの愛着も湧いている。【♪I AM AFRICA】
ナバルンギと一緒にいるカニングハムも誇らしげだ。
「もうボクはわき役なんかじゃない。」

幸せそうな他のミッショナリーと対照的なのがプライス。
将軍のアジトでエラい目に遭い、病院に運ばれている。
そのダメージは大きく、レントゲン映像が大きく映し出される。
「とてつもないことをやらかしたな。こんな患者見たことがない。こりゃ偉業だ。」
医者のゴツワナにも驚かれる。

メダルがもらえると喜んでいるカニングハム、偉業ねと祝福するナバルンギ、
アフリカへの思い入れを歌う先輩ミッショナリー。
その脇を、ビニール袋に入れたモルモン書を下げてカクカクと歩いて行くプライス。

モルモン教への大規模入信に湧きかえる村だが、将軍がそれを見逃すわけは無かった。
カルト宗教に入り、自分への反旗を翻す住民など皆殺しだ!と憤っている。

場面は展開し、場末のカフェ。
そこでプライスは酔っ払いのごとく、コーヒーを大量飲みしている。
心配して声を掛けたカニングハムに対し、
「これはこれはスーパーモルモン教徒様ではないですか。宣教して洗脳ゾンビを作り続けているってか。」
と返す。完全にやさぐれている。

続けてプライスは、何故カニングハムばかり願いが全て叶い、自分はそうでないのかと憤りの言葉をこぼす。
そして、子供の頃に行ったオーランドが素晴らしかったこと、ここでずっと暮らしたいと思ったこと、
両親から神様に尽くせば願いが叶うと言われて、オーランド星を手に入れるために必死に頑張ったことを独白する。
それに付け加えこうつぶやく。
「だからって今何を手に出来ているんだ? 家に戻る航空券さえ持ってないのに…。」

カニングハムは、メダル授与式に相方がいないと困ることを告げる。
そして帰国の航空券を手に入れられることを条件に、同席してもらうことをプライスへ持ちかける。
このやり取りは成立した。険悪な雰囲気の中で。
その後、一人カフェに残ったプライスは、オーランドへもう訪れることさえ出来ないと根から悲観的になっていた。【♪ORLAND】

メダル授与式の日。
幹部とその部下達がウガンダを訪れていた。
カニングハムとプライスのペアが称賛を受けているさなか、ナバルンギが村人を率いて式に割り込んできた。
数々の学んだことを劇にしたので、"モルモン幹部先生"の歓迎として披露したいという。
カニングハムはひとり大慌て。
必死に阻止しようとするけれど、何も知らないマッキンリーや幹部は「ぜひ見てみたい。」と乗り気の様子。

さて。ここからすんごく面白くなるので、ネタバレ警報を発するね。
結末を知りたくなかったらこの下は見ない方がいいと思う。
それでも読みたい方はドラッグしてね!

【♪JOSEPH SMITH AMEICAN MOSES】

アナログな舞台の上でアフリカンリズムに乗り、ジョセフ・スミット~アメリカのモーゼ~が語られる。
ナレーターはナバルンギ。
(おそらく「王様と私」のアンクル・トムの場面のパロディ)

この劇の主役、ジョセフ・スミットを演じるのはマツンボ。顔を白く塗って白人を意識している。
「オッス。オイラはジョセフ・スミット!
これからこの赤ん坊を犯ス!」
「何だって?」
しょっぱなから幹部は凍りつく。

突如雲が割れ、現れたのはマファラ演じる神様。
「ジョセフ・スミット。赤ん坊を犯すべからず。
このカエルをファックしたらエイズを治してやろう。」

その通りにしたらたちまちエイズが治ったジョセフ・スミット。
今度は宇宙船エンタープライズ号に乗った大魔法使いモロナイが現れた。
汚い言葉と金色の皿「GOLDENPLATE」を残して去っていく。

金色の皿には地図が書いてあったので、ジョセフ・スミットは村人を率いて新天地ソル・トレイ・カ・シティに向かう。
山あり川ありの道のりを「助け合おう♪」「支えあおう♪」とリズミカルに乗り越えて、一行は西に進んでいく。

ところが突然行く手を阻んだのは、医者のゴツワナ演じるアメリカの軍人ブリカム・ヤング!
「オレは娘のク××××を切り取った! それが神を怒らせ、罰として鼻をク××××に変えられてしまった!」
♪どうするの? ジョセフ・スミット。このク××××男と戦うの?
盛り上がるコーラス。

「戦うのではない。彼を助けよ。」
ジョセフ・スミットは股につけたままだった魔法のカエルを取り外し、それでブリカム・ヤングの顔をこすった。
するとあら不思議。彼は元どおりに治っていた。
喜んですぐさま旅の仲間に加わる。

それから長い旅の中、やっと水をみつけて喜び駈け寄る旅の一行。
しかし上水と下水をごっちゃにしてしまったおかげで、ジョセフ・スミットは赤痢にかかってしまう。
道半ばにしてあの世に旅立った彼。
後をブリカム・ヤングに託して。

悲嘆にくれたのもつかの間。ブリカム・ヤングとその一行は金の皿を携え西に進み続けていく。相変わらずリズミカルに。

とうとうソル・トレイ・カ・シティにたどり着き、そこで待ち構えていたイエス・キリストの歓迎を受ける。
「ようこそ、モルモン教徒たち! これから出来るだけ多くの子供を作り、大家族を作り上げよう!」

舞台ではにぎやかな家族計画が繰り広げられ、ドン引きしている幹部をよそに「神様ありがとう!」と締めくくられる。
以上、カニングハムのでっち上げ布教の集大成だ。
衝撃を受けたままの幹部と、唖然とするミッショナリー達。プライスだけが一人大笑いしている。

ようやく立ち直った幹部はミッショナリーを別室に連れて行き、怒りをあらわにする。
弁解しようとしても取りつくしまが無い。
そこをたまたま訪れてしまったナバルンギ。
今まで教わったことが真っ赤な嘘だったこと、自分はソルトレイクシティに行けないことを悟り、愕然とする。
今更こんなことになり、責任は取ってくれるのか? 恵まれた場所からわざわざ、貧しい人々におもしろ話をするためだけに来たのか?とカニングハムに詰め寄る。
そして悲しみのままそこから飛び出していく。
それをよそに幹部は、「荷物をまとめて帰宅の用意をするように。」とミッショナリー達に告げる。

舞台にはプライスとカニングハムが二人。
泣きそうになっているカニングハムに対し、プライスは意外な反応を見せる。
「ジョセフ・スミスが赤痢で死んで、モロナイがエンタープライズ号で現れる? 今まで観たことが無い奇跡的な芝居だよ!
嘘か本当かなんてのは大した問題ではない。
ボクは全てを変えるという自信をもってこの地にやって来たが、結局自分のことしか考えていなかった。
そんな自分が信仰を離れている間に、キミは偉業をやりとげてしまった。
ボクはここの人たちを発展途上と思っていたけれど、どうだ。
今では彼らは幸せと希望に満ちて、コスチュームまで着ている。
まるでこれってオーランドみたいじゃないか。」

何を誉められたのかよく理解出来ていないカニングハム。
そんなことよりナバルンギを心配する。
絶望した彼女が、将軍の言うとおりに女性割礼してしまうのではないかと。全ては自分の過失だ。
プライスは「諦めちゃだめだ。事態を収拾しよう。」と、カニングハムを連れていく。


村では盛り上がっていた。
「幹部はどんな感想をもってくれたかな?」
「エルダー・カニングハムは気に入ってくれただろうか?」

そこに将軍がやって来た。
だけどみんな恐れる様子はない。毅然と立ち向かう。
しかしナバルンギは抵抗をやめるように言う。
「ナバルンギ、どうしたんだよ?オレらの預言者はたがいに支えあって抑圧と戦えといってたじゃないか!」
「エルダー・カニングハムのことは忘れて。彼はライオンに食べられてしまったの。」

それを聞き喜ぶ将軍。
しかし住民たちも負けてはいない。
約束の地も救いも無いと嘆いているナバルンギに、ジョセフ・スミットが亡くなったときもモルモン教徒は諦めなかったじゃないかと諭す。
それにこう付け加える。
「ソル トレイカ シティという場所は実在しないよ。あれは例え話、メタファーなんだよ。」
「預言者は常にメタファーを用いるしね。」
「マジで人間がカエルをファックしたと思ってたの? バカげているわ。」
全て作り話と納得した上で、彼らは信仰を続けていたのだ。
オーランド星を本気で欲しがっていた宣教師より、ウガンダの人々の方が数枚上の様だ。

そこにカニングハムとプライスが登場。
驚く一同。
自分達の預言者がみごと蘇ったと大喜びする。
将軍もカニングハムが死から舞い戻ったと思いこみ、腰が引けている。
プライスは恨みをつのらせ、
「アンデッドには銃など意味無いぞ。もし村から出ていなければ、デス・スターにいる天使モロナイに指令を下してクラーケンを解き放つぞ…。」
とまくしたてるが、カニングハムには及ばない。
「さもないと、ジョセフ・スミスがキリストの口から魚雷を発射させ、お前をレズビアンに変えてくれるぞ。」

将軍とその部下はカニングハムの発言におびえ、股を押さえて逃げ去っていく。
喜び盛り上がる村の住民たち。
ナバルンギとカニングハムも和解し、ハグし合う。

そこを帰国の荷物をまとめた先輩ミッショナリーたちが通りかかる。
プライスは「予定通り、2年間人々に奉仕をしよう。」と説得し、幹部のことを「ファック」と毒づく。
優等生のプライスの変貌ぶりにショックを受けている先輩に対して更に、
「ボク達は今でもモルモン教徒だよ。
多少何かを変えたり、規則を破ったり、神の存在に疑いを持ったとしても。
協力してここを楽園の星にしていこう。」

カニングハムはプライスが残ってくれることに驚く。
プライスは「どんなことでもキミのためにするよ。ボクらは親友じゃないか。」
二人は大きく抱擁し、いよいよ終盤へ。

【♪TOMORROW IA A LATTER DAY】
先輩ミッショナリーたちもウガンダに残り、布教活動をしている。
プライスは「死んだ後のことなんて関係ない。そんな先のことまで考えない。」とモルモン教徒らしからぬ発言をしている。
【♪HELLO (REPRISE)】
そこに白いシャツ、黒いネクタイを締めた、宣教師姿のウガンダの人々が登場。
赤い表紙の本を携えてエルダー、シスターと名乗り、勧誘の言葉を歌っていく。
その中にはあの将軍の姿も!
照れながらも誇らしげにカニングハムがやってくる。讃えあげる一同。

「アーノルド・カニングハムの話を聞いたことがありますか?
私達の教会は強く成長しています。
仲間に入って魂を解き放ちましょう。
あなたの人生を変えると強く保証します。
この本、BOOK OF ARNOLDによって!」

三冊目の聖書を広めるつもりが、はからずも四冊目を作ってしまった彼ら。
こうして新しい宗教がさらに一つ増えたのだった。


メガヒヨ in NY 2011秋その2-2 《THE BOOK OF MORMONあらすじ第一幕編》

2011年12月03日 | NEWYORK

さて。これからはあらすじを解説。
メガヒヨは辞書と格闘しながら脚本まで読み込んだから、この作品に関しては気合が入ってるよ!!
入りすぎちゃって、かなり語りすぎ。
これってメガヒヨみたいに現地でセリフの聞き取りが難しい人向けだな~。
もちろんネタバレもあるから気をつけてね。
(といいつつも合ってるかどうか不安。間違えていたら教えてね(笑))

The Book of Mormon: The Complete Book and Lyrics of the Broadway Musical
 
Newmarket Press

第一幕

劇場の緞帳は宇宙に広がる惑星の模様。新興宗教的な雰囲気に満たされている。

幕が上がり、プロローグではモルモン教の由来が解説される。
時は西暦326年。
「GOLDEN PLATE」に導かれるまま、アメリカ大陸のニューヨークとなる場所にたどりついたユダヤ人ニーファイ族のモルモンは、そこでイエス・キリストと出会う。
キリストからは一族の終焉が告知され、モルモンの息子モロナイは丘の上にその「GOLDEN PLATE」を埋めることとなる。
それから時は流れ19世紀。
ジョセフ・スミスによって掘り起こされたそれは、かつてないほどの急成長を遂げる宗教の誕生のきっかけとなるのであった。
全世界中に宣教師を送り出している、あの宗教に。

そして現在。
ソルトレイクシティのモルモン教研修センターでは、間もなく世界中に宣教師として2年間派遣される若者の最終訓練が取り行われていた。
布教のための訪問シミュレーションである。
みんな笑顔で礼儀正しく名を名乗り、「この本は人生を変えます。」と自信をもって歌いあげる。【♪HELLO】
特にその中でもエルダー・プライスは優等生だ。
もちろん劣等生もいる訳で、彼の名はエルダー・カニングハム。
「こんちは! 宗教変えてみませんか? ボクはジーザスが書いた無料の本を持ってます!」
…即、天の声によりダメだしが入る。

さて。エルダー達が不安に思いつつも心待ちにしている、派遣先の発表の時となった。
次々とペアの組合せ、行き先の国が告げられ、彼らは喜びと期待をこめて歌う。【♪TWO BY TWO】
中には派遣先の国に悪魔が取りついていると、勇みすぎている面々もいる。
我らがプライスはそわそわと落ち着かない。
彼はどこに行くのも神のご意思と建前しつつも、本心はアメリカ国内のオーランドに行きたがっているのだ。
しかしながら告げられた行き先はアフリカのウガンダ。しかも相方になったのはあのカニングハムだった。

出発の日、空港で彼ら二人はそれぞれの家族に見送られていた。
カニングハムの両親はかなり過保護な様子。心配そうに息子に助言する。
「プライス君は立派なモルモン教徒だから、お前はちゃんと付いて行きなさい。そして…自分のささいな問題を忘れるな。」
プライスは敏感にその「ささいな問題」の部分を聞き逃さなかった。何かと質問する。
「それは…うちのアーノルドは活発的な想像力を持っているんだ。」
「ボク、いっぱい嘘をつくってこと!!」
不安をのぞかすプライスと、「親友」が出来たと喜ぶカニングハム。
プライスの父親が雇ったライオンキング風の扮装をした役者に門出を祝われ、機上の人となった。

二人きりとなった彼ら。
「キミはスター・ウォーズ派? それともスター・トレック派?」とはしゃぐカニングハムを尻目に、プライスは新天地での使命感に燃えていた。
「世界をキミとボクで変えてみせる。偉業をなして、全人類を変えてみせる。(だけどほとんどボクが。)」
【♪YOU AND ME (BUT MOSTLY ME)】

ウガンダに到着するも、そこはライオンキングの世界とはかけ離れた貧しい街並み。
しかもいきなり怖い人たちに銃をつきつけられ、彼らは荷物を取りあげられてしまう。
そこに遅れてやって来た世話役のマファラ。
警察に行きたいと訴える二人に、車で二日かかるぞと告げ、こう語る。
「ここは北ウガンダ。どうしようもなく悪いことが起こっても、天を仰ぎこういうしかない。ハーサ ディーガ イーボワイ」
たちまち現地住民が集まり、充分な食べ物がないこと、住民の80%がエイズに罹っているなど自分たちの不幸をぶちまける大合唱となる。【♪HASA DIGA EEBOWAI】
カニングハムは調子よくその歌の輪に加わる。プライスは恐る恐るその言葉の意味をマファラに聞く。
「んっとな…EEBOWAIの意味は神様。そしてHASA DIGAはF××K YOU。」
「何だって!?」
プライスは即、カニングハムを阻止にかかる(笑)

そしてその後。二人はマファラの娘・ナバルンギに案内されて、モルモン教支部についた。
カニングハムは彼女の名前をどうしても正しく覚えられないようだ。

支部では先輩ミッショナリーが待ち構えていた。
歓迎される二人。
リーダーのマッキンリーによると、ここウガンダで3か月間布教活動をしてみたけれど、まだ一人も洗礼に至ってないとの話。
なるほど、壁にはゼロの数字が並んでいる。

ウガンダでの布教の厳しい現状と、空気を読めないカニングハムにドン引きするプライス。
「少し混乱しちゃって…」

「混乱」という言葉に反応する先輩たち。
マッキンリー達は「混乱しているのなら、電気のスイッチを押すみたいに頭の中を切り替えちゃいなよ。」とアドバイスをする。
それぞれ自分たちの抱えている問題を例に挙げて、この方法で解決出来たと自負する。
中にはモルモン教で禁止されている同性愛の傾向をもつ人物も!
【♪TURN IT OFF】

消灯時間の10時が近づいたので、二人は寝室に案内される。
マッキンリーは優等生プライスの噂を聞いていたので、ここの状況を好転させてくれると期待の言葉を掛ける。
しかし、洗礼者ゼロというショックから脱しきれないプライス。
一方、カニングハムは楽観的。
「既に大勢の洗礼者を出していたら、今更ボクとキミで結果を出しても大したことにならないじゃん。
これから大勢のアフリカ人を教会に連れてこようよ。」
【♪I AM HERE FOR YOU】

翌朝、村ではナバルンギがはしゃいでいた。
市場で古いタイプライターを見つけて、これで友達にメールが出来ると喜んでいるのだ。
父親のマファラは娘が「将軍」につかまるのを危惧し、二度と市場に行ってはいけないとたしなめる。

モルモン・ミッショナリーの二人は布教の打ち合わせ。
プライスが売り込み、カニングハムはサクラに徹するという段取りだ。

アフリカの人々は既にキリスト教の布教はされているとのこと。
だけど彼らはあんなものは全く役に立たないと訴える。
そこでプライスはキリスト教とモルモン教の違いを説明する。
「聖書には旧・新約二冊あるけれど、実は三冊目があるのを知ってますか?」。
ノリのいい音楽でモルモン教の成り立ちを歌い、通販番組のサクラのごとくカニングハムが合いの手を入れる。
バックにはイメージ映像として、19世紀の人々も登場する。」【♪ALL-AMERICAN PROPHET】
以下、歌の内容。(このシーンが第二幕での伏線となる。重要!!)

神の啓示を受けた純アメリカ産預言者ジョセフ・スミス。
示されるがままにニューヨークの丘の上を掘ると、三冊目の聖書である「GOLDEN PLATE」を発見した。
その場に現れた純アメリカ産天使・モロナイ。
彼は「頼まれてもそれを人に見せてはならない。紙に書き写したので十分だから。」と告げる。

早速、プレートの内容を紙に写したジョセフ・スミス。
三冊目の聖書として出版し、街の人々に配りまくった。
人々は、全て彼のでっち上げと決めつけ「嘘つき」とののしる。
そんな逆境でもジョセフは至って強気。
「私はいつでも神と対話出来る。西にある"約束された土地"に行けとお告げがあった。付いてくるのは自由だぞ。」
「約束された土地!?」
「楽園だ! 果実と平原が果てしなく広がる未開の地!」
人々は彼についていくことに決めた。

約束された土地に向かう一行。
道中人々は「GOLDEN PLATE」を見たがったが、ジョセフは決して見せなかった。
そんな内に怒りの群衆に彼は射撃されてしまう。
心半ばながら、友人ブリカム・ヤングに後を託して息を引き取る。

ジョセフ亡き後も一行は西へと進み、ついにユタ州のソルトレイク・シティにたどり着いた。
そこにモルモン教の一団は定住し、世代を重ね巨大集団として成立する。
その末にエルダー・プライスは誕生。
かつての開拓者たちのことを語るのがボクの仕事と締めくくる。

歌の終わりにはイメージ映像の19世紀の人々が飛び出し、プライスを讃えあげる。
「純アメリカ産預言者って聞いたことある?」
「ケビン・プライス!」
「次に神の声を伝えるのは?」
「ボクの親友!」
「彼は偉業をなす、ジョセフ・スミスの再来! 彼こそ純アメリカ産預言者!」
「今入信するとステーキナイフセットを差し上げます!!」

盛り上がるモルモン・ミッショナリーの二人とイメージ映像の人々。
しかしアフリカの人々はしらけ気味。
プライスは悪ノリしすぎたカニングハムを責める。
カニングハムは「つまらなかったから」と、実はモルモン書を読んでいないことを白状する。
呆気にとられるプライス。

そこに「将軍」の一団が闖入する。
悲鳴をあげるウガンダの人々。
「将軍」は女性割礼(ク××××を切り落とすこと)推進者で、人々から大変恐れられている。
ちなみに彼の名は「GENERAL BUTT FU×KING NAKED」という。とてもじゃないけど和訳できない

騒ぎの中、「将軍」は歯向かったアフリカ男性をいともたやすく銃殺する。
銃弾は顔を直撃し、被害者の血液・脳の破片がプライスに降りかかってしまう。
蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う人々。

自宅に逃げ戻ったマファラ・ナバルンギ父娘。
自分の住む世界を悲観するナバルンギに対して、マファラはここで生きていくしか道はないと諭す。
彼女はこの悲惨さに対して、モルモン・ミッショナリーの二人が救いの答えをくれるのではないかと考えるようになる。
かつて母親がおとぎ話として語っていた楽園の正体が、実はソルトレイク・シティなのではないかと。
そこは滝が流れ落ち、ユニコーンが飛び、街中に赤十字が建ち並び食料配給してくれる場所…。【♪SAL TLAY KA SITI】

一方、モルモン教支部では先輩ミッショナリーが慌てふためいていた。
幹部から進捗状況のレポートを提出を迫られていたのだ。
とはいえいまだに洗礼件数はゼロ。
ごまかしの数字を出しちゃえば?という意見も出たが、全員が大反対。
モルモン教徒は一切嘘をつけない。
一人のミッショナリーは「子供の頃に嘘をついたら地獄行きの夢をみた。」と訴える。
別の一人も「ちょっとした事故でプレイボーイ誌を読んでしまったら、自分も同じく地獄行きの夢をみた。」と同意する。
彼らは罪の意識というものが極端に深い模様。

そこに血まみれのシャツで支部に戻ったプライスと、カニングハム。
プライスは相当なショックを受けており、もうウガンダから出て行きたがっていた。
支部から飛び出した彼。
カニングハムはプライスを追おうとしたが、先輩から夜9時以降の外出は規則第23条により禁止されていると忠告される。
しかし規則第72条ではパートナーを一人にしておいてはいけないともされている。
規則第23条と第72条の間で揺れまくる。
「すみません! 彼はボクは親友なんです!!」
規則第72条を優先し、カニングハムは外に駆けだした。

バス停でプライスに追いついたカニングハム。
異動を希望するのなら自分も、と申し出る。
しかしプライスは単身での異動を希望していた。「キミとボクじゃ上手くやっていけそうもないし…」
「そうだね。ボクたち二、三日前に親友になったばかりだし。」
「親友なんかじゃないよ! 研修センターで組まされただけだよ。」

カニングハムは大変深く傷ついた様子。
空気が読めない彼も、今度ばかりは現状をよく把握したようだ。
プライスの方は言い過ぎたと思いつつも、「大丈夫だから」と繰り返すカニングハムに別れを告げる。

プライスが去った後、カニングハムの前に現れたのはナバルンギだった。
彼女はプライスにもう一度布教のチャンスを上げようとしていたのだ。
彼はもう異動したと告げるカニングハムに、ナバルンギはこう提案する。
「それじゃあアナタは?」

半ば強引に布教の約束を取り付けられたカニングハム。
ひたすら自分に問いかける。【♪MAN UP】
「イエス・キリストは死に面したときにどうした?
逃亡しようとしたか? 泣き崩れようとしたか?
いや。時が来たとき、彼は男を上げたんだ。」
「今こそボクが男を上げる時。
ヒーローになってモンスターを倒す時!
闇との戦いで「父さんなんかじゃない!」と叫ぶ時!!」
なぜかこの場面ではSF映画の某有名悪役が特別出演(笑)

舞台の一方では、ナバルンギが人を集めていた。
「ソル トレイ カ シティは希望の楽園よ。
もしそこに行きたれば、あの白人の男の子達にに付いていきましょう。」
「あの白人デブの話を聞いてみるか。だけどハーサ ディーガ イーボワイ!」

またもう一方ではプライスが神への不満を訴え、オーランド行きをひたすら祈願していた。
「神様、何でこんなに悪いことばかり起こすんです?」
「ボクのことをおかしな奴なんて思ってないですよね!?」
「きっと明らかにミスっちゃっただけですよね?」
「神様がボクを必要としている場所に行きます。それはきっとオーランド!!!」

各々が思いを叫ぶ中、将軍の一団も不気味に顔を出して第一幕は締められるのであった。

第二幕に続く!


メガヒヨ in NY 2011秋その2-1 《THE BOOK OF MORMON プロローグ編》

2011年12月03日 | NEWYORK

それはメガヒヨ若かりし日のこと。

ちょうどその頃は、今は亡きサイババがマスコミに取りあげられ始めた時期で、テレビで見かけることも多かった。
面白いことが好きなメガヒヨは、会社での雑談でつい話題に出してしまった。

「あのインドのアフロのおじさん、超怪しいですよねー。
宝飾品を空中から取り出すって話ですけど、どう見ても袖から出しているじゃないですかー(笑)」
何気ない一言だったけど、それを聞いていた先輩が顔色を変えた。

その後、化粧室でその先輩と二人きりになったときにこう聞かれた。
「メガヒヨちゃんはどうしてサイババ様のことをそう思っちゃうのかなぁ?」

普段通りの優しい口調だけど、目は明らかに笑ってなかった。
そう、先輩はサイババ信者だったのだ。
地雷を踏んでしまったと、顔面蒼白になる。

メガヒヨはうかつな発言を心から悔いた。
別に必要性もない話題をわざわざ持ち出し、人の心を傷つけてしまったのだ。

宗教の話題というのは一般的にタブーである。(まぁサイババが宗教かはさておき(笑))
信じるものは人によって様々だし、信仰に関してはプライバシーを守るべきと考えている。

だけど「そのことについて口にしてはいけません。」となると、余計話したくなってしまうのが人の性。

昔は同じく「タブー」である性の話題で盛り上がったけど、そんなもの今さら話し尽くした。
現在において熱いのは宗教である。特に新興宗教!
突っ込みどころ満載の教義について、思いっきりちゃちゃを入れたい!!

そんなメガヒヨの欲求に応えてくれるのがこの『THE BOOK OF MORMON』。
サウスパークの作者が、『AVENUE Q』のコンポーザーの一人とタッグを組み、ミュージカルを作り上げた。
オープンするやいなや爆発的な人気を呼び、トニー賞で作品賞をはじめ9つの賞を勝ち取っている。
チケットは入手困難で、メガヒヨは観劇四か月前にトッププライスの中で一番後ろ、一番端っこの席をようやく買うことが出来た。
旅行日程はこの買えた日に合わせて組んだ位!

そんなミュージカルを見られるというビッグイベント。
心してその時を迎えた。

  
劇場はユージン・オニール。
昨年は「FELA!」が上演されていた。


上演2時間半前からロタリーの受付が始まる。
抽選で当たった人は、なんと最前列とボックス席が32ドルで買えるのだ。
通常なら155ドル(2011年秋現在)の席である。
チケット自体入手困難だから、もちろんその価値はお値段以上。


すごい人数が集まっていた。200人以上いたのではなかろうか。
メガヒヨもいい席を求めて参加してみた。
しかしながら上演2時間前に行われる抽選ではあっけなく外れ。10人くらいしか当たらないから無理もない。
もちろん当選者は狂喜乱舞。他の人たちは拍手で温かくお祝いしていた。
抽選会自体が楽しいイベントなので、ダメ元でも参加をお薦めしたい。