春に見知らぬ人から手紙が届いた。開けてみると朝顔の種が入っていて、手紙には「中国撫順の朝顔を育てていただけませんか」とあった。そして新聞記事のコピーが入っていて、中国撫順の戦犯管理所の庭に咲いていた朝顔の種ということだった。
終戦後、シベリアで捕虜として働かされていた約千人の元日本兵が移送され、戦犯としてこの中国撫順の戦犯管理所に収容された。収容者の大半は起訴免除や恩赦などで全員釈放されて、帰国する際各自に小さい黒い種が渡された。その黒い種が中庭に咲いていた朝顔の種。「もう二度と武器を持って中国に来ないでください。日本に帰ったら、きれいな花を咲かせてください」そんな管理所の職員の願いがこもっていた。(東京新聞より抜粋)
送ってくださった方が2007年に現地を訪ね30粒ほどもらってきて、種を増やし友人などにプレゼントされているそうだ。ゲストハウスミューの広告を出している新聞の読者で、其のご縁で送ってくださったそうだ。
白とブルーと2種類の種を頂いたが、白は発芽せずブルーだけが育った。今、日本の朝顔より少し小ぶりだがきれいなブルーの花を咲かせている。
このところ、中国との関係がぎくしゃくしているが、こんな時代があったことをお互いに思い返したらと思う。
東京新聞には「日本の首相官邸の庭にもこの花を咲かせてほしいと思った」ともあった。