信心の深さ・・・推敲の素晴らしさ
令和3年3月6日(土)
丈六に
かげろふ高し
石の跡
とする。
さあ、最終句となり得るか。
丈六の高さまで大仏の陽炎が
上がっていれば、視線は台座の
石に残る跡と丈六の高さとの両方
を見なければならない。
そこで、後ろに下がって、
台座から丈六までを見るが遠
すぎて迫力がない。
「石の跡」という表現に
難しさがある。
「石の跡」を「石の上」として
みる。
これだと台座に近づき丈六の高さ
を見上げて大仏が生き返るように
見える。
これでよし。
丈六の
かげろふ高し
石の上
今度は、「丈六」の高さと
「陽炎高し」とが重なりくどくなる感。
「丈六」の高さの表現ではなく
、幻の大仏として見上げる心にして
みればよいだろう。
ついに最終句となる。
丈六に
かげろふ高し
石の上
欠けて頭だけになった大仏にも
これだけの畏敬の念を込めた一句を
捧げる芭蕉の信心深さがわかるよう。