貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

一所不住の雲水の身の不本意な没居

2021-03-25 16:18:18 | 日記

一所不住の雲水の身の不本意な没居

令和3年3月25日(木)

木啄も 

  庵はやぶらず 

     夏木立

   元禄二年作。

 寺をつつくという木啄も、

この庵はつつかず壊さなかった

とみえ、夏木立の中にその姿を

保っている。

   この庵は、芭蕉の尊敬する仏頂和尚が

かつて住んだ庵。

 仏頂和尚は、深川臨川寺に逗留。

臨川寺へ芭蕉はよく出向き、教えを

受けた和尚さん。

 仏頂和尚の徳のためか、木啄も

この庵は遠慮をしたか。

 『おくの細道』紀行本文に

「当国雲岸寺の奥おくに

仏頂和尚山居跡あり」

とある。

 正しい寺名は「雲巌寺」。

 芭蕉の描く啄木鳥は、

夏から秋にかけて、巣作りではなく、

樹木に穴を開けて虫を食べるのだ

と解説書で知った。

 すると、庵の材木は腐っていて

虫の栖になっていたのだという

わけだ。

 仏頂和尚の庵は壊れやすいもので、

和尚の和歌に、

「堅横の 五尺にたらぬ 草の庵

 むすぶもくやし 雨なかりせば」

というほど小さなものであったらしい。

   初句は、

 木啄も 

  庵はくらはず 

      夏木立