助詞ひと文字の差異
令和3年3月14日(日)
山も庭に
うごきいるゝや
夏ざしき
夏座敷とは、庭に面して風通し
のよい夏向きの座敷のこと。
前書きに、
「秋(しゆう)鴉(あ)主人の佳景に対す」
とある。
秋(しゆう)鴉(あ)主人とは、
弟子翠桃の兄である。
この座敷から眺めると、新緑の山が
動いて庭に入ってくるように感じられ、
とても心地よい、
という挨拶句。
元禄二年の作である。
伊勢物語77段の
「山も更に堂の前に動きいでたる
ように・・・」
の影響も考えられる。
吃驚するような一句。
庭の中に山が動いて入ってくる
という、ほんとに力強さを
感じさせる夏の一句。
初句は、
山も庭も
うごき入るゝや
夏座敷
山と庭が並列され、
両方とも動き入るとは、
夏山の素晴らしさが十分に表現
されていない感じ。
そこで、添削。
平仮名一文字で、すっかり違った
句となった。
芭蕉の推敲のセンスは至上!!