日光への畏敬
令和3年3月8日(月)
あらたふと
木(こ)の下闇も
日の光
鬱蒼とした森を歩いていると、
木の陰にも丸い太陽光がたくさん
光って美しい。
こういう光景を、芭蕉は見て初句を
直した時に「暗」ではなく、
「闇」という字を使ったのであろう。
「日光山にて」という説明を
つけて東照宮への挨拶句としたのが
次の句。
たふとさや
青葉若葉の
日の光
「あらたふと」の斬新な表現に
比べると、裃を着けたように
堅苦しい。
その反面、「青葉若葉」のほうは、
ぱっと明るく美しい景色を表現。
ここらの矛盾した表現が句作の難所
なのかも知れない。
そこで、芭蕉の鬼才が冴え花開く
ことに。
何とも見事な変身である。
完成句ということに。
あらたうと
青葉若葉の
日の光