☆・・・20年ぐらい前のカンボジアでの写真。
矢印の私の横には、痩せて、なんか体勢のおかしい子が座っている。
この子、いわゆる「せむし」みたいな背中だった。
私は、妙に冷静な判断をくだす時がある。
ただの奇形か、枯葉剤の影響によるものかわからなかったが、大人には成れないんだろなぁ、と思った。
彼は英語も流暢で、口調も利発だった。
写真を撮るときは、背中の不具合が分からないように、過剰に胸を張っていた。
この頃、何度となくカンボジアに行っていたので、何度もこの少年に会った。
壱郎さんなども彼に会っている。
少年と書いているが、おそらく、15,6歳なのだろう。
小さいのは栄養が足りてないのだ。
歳は聞いてない。
私は、かなりクールな一面があり、それ程の興味を彼に持ってなかった。
名前は聞いていたが、ここには記さない。
そして、15年振りのカンボジアの今回・・・。
とある遺跡で、遺跡監視員の制服を着た男が立っていた。
顔を見て、ピンときた!
「せむし」の少年だった。
さりげなく背中を見ると、ちょっと膨らんでいたが、身体の成長が著しく、気にならない程度の大きさになっていた。
現在の写真は、迷惑になるだろうから載せないが、顔もイケメンの好青年になっていた。
「俺は15年前の君を知っている」
「えっ!?」
「次回は写真を持ってきてあげるよ」
「はい^^」
笑顔も爽やかだ^^
おそらく、結婚し、子供も二,三人いるぐらいだろう。
対して、俺は、独身で、当然子なしで、いつもアダルトビデオを見ている。
つまり、彼は格段の成長をし、私は何も変わっていない・・・。
その遺跡からの移動中、私は彼女に言った。
「彼が、ちゃんと大人になっていることに驚いたよ」
「なんで?」
「だって、せむしだから」
「なんで、背中がああだと大人になれないの」
「・・・、・・・だって身体に障害を負っているということじゃん」
「どうして、障害があると大人になれないの?」
「・・・いや、身体の機能が良くないだろうから、例えば、内臓とかが通常の働きをしないだろうし・・・」
・・・「なんで?」「どうして?」
おそらく、彼女は、私の冷たい視点に怒っていたのだと思う・・・。
(2016/06/13)