☆ああ、こりゃ、傑作! 以上!!
・・・では、済まないだろうから、ちょっと書く。
◇ ◇
主人公は、結婚適齢期を過ぎたOL。
高級ホテルで働いていて、歳相応にそれなりに責任ある役職についている。
物語は、三つのパートに分けることができようか・・・。
先ずは、結婚願望を抱きつつもの、「都合のいい女にされちゃう」篇。
続いて、フランス人の恋人との「ニューヨーク・不安な恋」篇。
最後に、フランスに帰国した恋人を追っての「パリ・見聞録」篇か。
・・・私は、物語がニューヨークで完結すると思っていたので、話がヨーロッパに広がっていくことに意外を感じたが、主人公ノラ(パーカー・ポージー)が、それまでの自分から「吹っ切れる」には、何かのキッカケが必要なのだろう。
日本人の感覚からすると、フランスとの文化の違いは大きいが、アメリカ人がフランスに渡って感じる差異みたいなものも、見ていて少し興味深い。
ポランスキーの『フランティック』は評価低いようだが、私にはアメリカ人がフランスで戸惑う姿が非常に面白かった。
◇ ◇
・・・いや、私が、この作品を見て書いておきたいのはそんなことではない。
主要な役の「視線の演技」の見事さである。
先ず、ノラである。
「都合のいい女」として男に扱われ、新しい男との出会いにも非常に臆病になっている。
でも、その心根は優しく、いつも、男の言葉を信じて、・・・結局、孤独なのである。
それでも、優しく瞳を閉じたり、視線を斜め上にして悲しみを逸らしたり、その仕草をやめない健気さに、私は共感した。
男の私がノラに共感してしまうのだから、三十路に突入した、男性との交際を多数経てきたけど、何故か、うまくいかないタイプの女性などは、その不憫さに共感しまくりだろう。
その母親(ジーナ・ローランズ)は、その辛さを分かっているようだが、女性特有のクールなことを言う。
「最近の若い子は大変ね。選択肢がありすぎるから、どれを選んでいいのか分からないのね・・・」
「私に、どこか欠点があるのだと思う」
◇ ◇
親友のオードリー役も、夫婦の危機にあるが、夫にキスされると、それを受け入れてしまう弱さがある。
夫のマークと視線を合わせ、ノラの不遇を心配する。
また、オードリーは、ノラのフランス行きに同行するのだが、そこで、とある男に抱かれてしまう。
その男が、はじめてオードリーを見たときの視線・・・。
このジョン・カサヴェテスの娘のゾーイ・カサヴェテス監督は、とにかく、対象が意識していないときの他者による「視線」を、非常に物語のポイントに持っていく。
◇ ◇
ノラは、知り合ったフランス人の青年ジュリアンへの恋愛に臆病になっていて、自分の心をさらけ出すことができない。
言葉にもするし、そういう態度も見せている。
しかし、その態度をジュリアンにぶつけないので、ジュリアンには分からない。
ジュリアンは、ノラを「選ぶ」と言う上位にありそうだが、それは、ノラや私たちの勝手な思い込みである。
ノラの不器用な態度は、真摯に恋する人を求めていたジュリアンさえも不安にさせていたのである。
そのジュリアンの不安は、ノラがあらぬ方向を見つめているときの、ノラを見つめる「視線」で良くわかるのである。
「イケメン」の弱さがよく伝わってきて、私などはそこでも共感してしまう。
メルヴィル・プポー・・・、忘れないでおこう!
・・・そして、そのジュリアンの「視線」を客観視できた私達にとっては、その後の物語は、ノラの物語ではなく、ノラとジュリアンの二人の物語へと変貌するのである。
◇ ◇
フランスに渡ってきたけれど、ノラはジュリアンに再会できず、空港への電車に乗る。
そこで、偶然にもジュリアンの姿を見る。
通路を挟んで、無言の二人・・・。
だが、喜怒哀楽の感情が渦巻いている。
最高に「饒舌」なシーンだ。
・・・最後にノラは瞳を閉じて、画面は暗転、エンドクレジットへ。
ノラは瞳を閉じた。
しかし、今回は、それは「不安」ではなく、「安心」の思いからだった。
◇ ◇
(蛇足)
どうでもいい話だが、私は、ノラやジュリアンそれぞれに自分を重ねもしたし、昔つきあった女性たちとも重ねた。
ノラもそうだが、女の子は、どうも、どこかしら「情緒不安定」な一面を持ってるね。
・・・久し振りに映画パンフレットを買ったのだが、パーカー・ポージーが私と同じ年齢だと分かって、嬉しいような気がした^^
(2008/12/16)
・・・では、済まないだろうから、ちょっと書く。
◇ ◇
主人公は、結婚適齢期を過ぎたOL。
高級ホテルで働いていて、歳相応にそれなりに責任ある役職についている。
物語は、三つのパートに分けることができようか・・・。
先ずは、結婚願望を抱きつつもの、「都合のいい女にされちゃう」篇。
続いて、フランス人の恋人との「ニューヨーク・不安な恋」篇。
最後に、フランスに帰国した恋人を追っての「パリ・見聞録」篇か。
・・・私は、物語がニューヨークで完結すると思っていたので、話がヨーロッパに広がっていくことに意外を感じたが、主人公ノラ(パーカー・ポージー)が、それまでの自分から「吹っ切れる」には、何かのキッカケが必要なのだろう。
日本人の感覚からすると、フランスとの文化の違いは大きいが、アメリカ人がフランスに渡って感じる差異みたいなものも、見ていて少し興味深い。
ポランスキーの『フランティック』は評価低いようだが、私にはアメリカ人がフランスで戸惑う姿が非常に面白かった。
◇ ◇
・・・いや、私が、この作品を見て書いておきたいのはそんなことではない。
主要な役の「視線の演技」の見事さである。
先ず、ノラである。
「都合のいい女」として男に扱われ、新しい男との出会いにも非常に臆病になっている。
でも、その心根は優しく、いつも、男の言葉を信じて、・・・結局、孤独なのである。
それでも、優しく瞳を閉じたり、視線を斜め上にして悲しみを逸らしたり、その仕草をやめない健気さに、私は共感した。
男の私がノラに共感してしまうのだから、三十路に突入した、男性との交際を多数経てきたけど、何故か、うまくいかないタイプの女性などは、その不憫さに共感しまくりだろう。
その母親(ジーナ・ローランズ)は、その辛さを分かっているようだが、女性特有のクールなことを言う。
「最近の若い子は大変ね。選択肢がありすぎるから、どれを選んでいいのか分からないのね・・・」
「私に、どこか欠点があるのだと思う」
◇ ◇
親友のオードリー役も、夫婦の危機にあるが、夫にキスされると、それを受け入れてしまう弱さがある。
夫のマークと視線を合わせ、ノラの不遇を心配する。
また、オードリーは、ノラのフランス行きに同行するのだが、そこで、とある男に抱かれてしまう。
その男が、はじめてオードリーを見たときの視線・・・。
このジョン・カサヴェテスの娘のゾーイ・カサヴェテス監督は、とにかく、対象が意識していないときの他者による「視線」を、非常に物語のポイントに持っていく。
◇ ◇
ノラは、知り合ったフランス人の青年ジュリアンへの恋愛に臆病になっていて、自分の心をさらけ出すことができない。
言葉にもするし、そういう態度も見せている。
しかし、その態度をジュリアンにぶつけないので、ジュリアンには分からない。
ジュリアンは、ノラを「選ぶ」と言う上位にありそうだが、それは、ノラや私たちの勝手な思い込みである。
ノラの不器用な態度は、真摯に恋する人を求めていたジュリアンさえも不安にさせていたのである。
そのジュリアンの不安は、ノラがあらぬ方向を見つめているときの、ノラを見つめる「視線」で良くわかるのである。
「イケメン」の弱さがよく伝わってきて、私などはそこでも共感してしまう。
メルヴィル・プポー・・・、忘れないでおこう!
・・・そして、そのジュリアンの「視線」を客観視できた私達にとっては、その後の物語は、ノラの物語ではなく、ノラとジュリアンの二人の物語へと変貌するのである。
◇ ◇
フランスに渡ってきたけれど、ノラはジュリアンに再会できず、空港への電車に乗る。
そこで、偶然にもジュリアンの姿を見る。
通路を挟んで、無言の二人・・・。
だが、喜怒哀楽の感情が渦巻いている。
最高に「饒舌」なシーンだ。
・・・最後にノラは瞳を閉じて、画面は暗転、エンドクレジットへ。
ノラは瞳を閉じた。
しかし、今回は、それは「不安」ではなく、「安心」の思いからだった。
◇ ◇
(蛇足)
どうでもいい話だが、私は、ノラやジュリアンそれぞれに自分を重ねもしたし、昔つきあった女性たちとも重ねた。
ノラもそうだが、女の子は、どうも、どこかしら「情緒不安定」な一面を持ってるね。
・・・久し振りに映画パンフレットを買ったのだが、パーカー・ポージーが私と同じ年齢だと分かって、嬉しいような気がした^^
(2008/12/16)
最初、映画館に私一人だったのですが、上映まじかに女の子がソロで4,5人と入ってきました。
口コミで、DVDはヒットするかも・・・。
この作品をけなしている方がいましたが、この作品をけなせる人が信じられません。
大人の心に染みまする。
これからもよろしくです^^