『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[田母神論文がワヤにしたもの]

2009-02-01 22:15:38 | 保守の一考
☆ちょいと思想的なことを書きたく、<保守の一考>と言うカテゴリーを作ってみました。

   ◇

 私には、自衛隊幹部の友人がいて、たまに会って飲む。

 その方は映画も好きで、私と共に大いに語るし、

 また、私が知識なく戦争や歴史を語るので、会談の折には、色々とサジェスチョンしてくれる。

 今回は、第二次大戦中の大砲について詳しく教えてくれたが、飲みの中盤からの講義だったので、うろ覚えだ^^;

 では、今回の会談の前半は何を話したか?

 それは、私が前々から聞きたかった、現役自衛隊幹部による<田母神論文>についての感想、であった。

 ただ、私の聞き方は、こうだった。

 その方も、兵頭二十八の著書に詳しいと知っているので、こう言った(どうも、私の知り合いには、兵頭氏に近しい方が多い^^)。

「兵頭二十八先生は、田母神論文の出現で、日本の核武装がなくなった、と、ホームページで言ってますが、あれは、どういう意味ですかね?」

     兵頭二十八軍師のホームページ(クリック!)

   *・日本の「核武装」と聞くと、驚く閲覧者もいるかも知れないが、
     現在の保守論壇のオピニオンとしては、日本の自立において、
     必要なものとされ、結構、ポピュラーな主張である。

「ああ、それについては、兵頭さんはまだ語っていないね。数ヶ月前に、田母神さんの論文騒動が起こって、兵頭さんはしばらく沈黙をしていたけど、最近になって、これで核武装がなくなってしまった! と言いはじめたね。それは、蘭さんがブログで告知していた兵頭さんの講演会で語られるんじゃないの? でも、その主張の要旨は理解できていると思う」

     兵頭軍師の講演会告知(クリック!)

「では、その要旨を教えて下さい^^」

「うん、私は、あの田母神さんの講演も聞いたことあるのだけど、あの人自身が、『あの論文は保守言論人の書き写しに過ぎない』と言うようなことを語っているんだよね」

「はい、あれは、昨今の保守論壇の言葉をコラージュしたみたいな印象ですよね。あれを読んだ私の印象は、『ああ、私が書いた文章みたいだ^^;』です。私なら許されましょうが、あの立場の文章では稚拙です」

「うん、何よりも、それら集めた情報を踏まえての、論者ならではの新しい主張というものがない」

「ええ、私も素人ですが、<ノモンハン事件>ブログを書いていく中で、自分なりの考え方の構築を第一に考えています」

「・・・何よりも、あの論文(「日本は侵略国家であったのか」)では、中国方面の内容に限定されすぎている。ならば、真珠湾はどうなんだ? と、アメリカが見れば思うでしょ。色んな事実が明らかになり、日本が真珠湾を奇襲したことについては、相応の理由があったことは明らかになってきた。しかし、こんな言い方はしたくないが、先に手を上げたのは日本のほうなんだよね。現在の世界の、真珠湾における日本への見方は、情状酌量の余地があるレベルでしかないと思うんだ」

「ええ、ハル・ノートなどで、圧迫され続けてはいましたが・・・」

「それをあんな風に、中国方面を基準に論を展開させてしまっていることに問題がある」

「ええ、その中国方面の内容においても、ちょっと飛躍がありますし・・・」

「まあ、論文の内容はさておき、アメリカは、近代史上では、その好き嫌い、善悪は別にしても、歴史を語るに際し、無視できないし、無視したら、あらゆる客観的な視点を放棄することと同じだ。そして、現在においては、同盟国だ。好き嫌い、善悪は別問題としてだよ」

「はい」

「日本が、これから、中国の脅威と対峙するにあたって、核武装は必須だと兵頭さんは確信している。そして、日本の核武装においては、絶対に、アメリカの認めがなくてはあり得ない」

「はい」

「しかし、日本社会は、田母神論文程度で、あんなにも大騒ぎし、左翼マスコミは拒否反応を示した。・・・そして、その後が悪い、日本政界は、田母神さんの排除に乗り出し・・・」

「ええ、田母神さんの更迭はまずいですよね」

「う~ん、その更迭は、わかる点もある。あの程度で、って感じもあるけど、田母神さんの地位や、その内容を考えると・・・」

「その内容?」

「アメリカ方面への情報の欠落。それは、アメリカへの媚びへつらいじゃあないよ。普通に歴史を考えたら、先の大戦におけるアメリカとの衝突について多く言及していないのはおかしいじゃないか」

「ええ、片手落ちの論文ですよね」

「更に問題がある。政界の対応だ」

「ええ、麻生さんは保守だと思ってたのになあ、やっぱ吉田茂の孫だから・・・」

「いや、吉田茂は、イギリス式の政治を目指していて・・・ムニャムニャ。・・・私が言いたいのは、麻生さんは、今後の日本の舵取りにおいて、ちゃんと同盟国アメリカへの気遣いを忘れていない。だから不備のある論文を書いた者に処分を下した者を非とはしなかった」

「はい」

「麻生さんの一番の問題は、その説明義務を怠ったことだよ。説明しない混乱よりも、説明しての混乱を選ぶことこそが民主主義なんだよね。そんな日本の状況を見て、アメリカは思うだろう。コノ国ハ信頼二値シナイ・・・、と」

「・・・故に、日本の核武装は遠のいた、と・・・」

「うん、兵頭さんが考えているのは、そういう流れだと思う」

   ◇

 くしくも、昨日発売した月刊『正論(3月号)』誌で、兵頭氏は、お題は田母神論文ではないのだが、

   <・・・イデアの上で仮構されていた「アメリカの同盟国日本」は消し飛び、
    「属国日本」の現実が戻ってきている>

 と、一文を結んでいた。

 兵頭氏は、超冷静な視線を世界情勢のバランスに対し持っている。

 そこには、無責任な夢物語は抱いていない・・・。

                        (2009/02/01)


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