展君のおばあちゃんがさっき亡くなったと、朝6時半次女が電話で知らせてきた。
展君はすぐに病院へかけつけた。 次女は通夜までは行かなくて良いとの事で子供は保育園、自身はパートに出た。
入院していたがもう駄目かも知れないと言われ、1週間前に展君が見舞ったときには、まだ良く分かっていた。
家を買った事を話したら喜んでくれたようだ。 おばあちゃんっ子だった展君が見舞った翌日から意識が薄れてきたようだ。
「まるで僕が行くのを待っていたみたいに・・」と絶句しながら展君は言った。
子供を連れて行くべきかとか迷っていた次女だが、後悔しないように行った方がいいと、亡くなる2日前の夜一家4人で見舞った。
車で送って行った長女がなつめに「おばあちゃんがんばってねって言うてき」って言って、なつめはおばあちゃんに言った。
展君の実家へ行った時は、隣に住んでいるので何度か会っているし、なつめにも分かる大阪のひぃばあちゃん。
しかしもうおばあちゃんは誰のことも分からなかったようだ。
「一度家へ連れて来て見てもらいたかった・・」 展君は残念がっていた。 叶ったら孫の快挙、どんなに喜ばれたであろうか。
家族葬と言う事で通夜、翌11日の葬儀と親族として最後まで務めをを果たす、夫婦にして初めての体験であった。
子連れで2日とも帰りも遅くなり疲れ切ったようだが、所帯を持ってそして自分たちの家を構えて間なしの出来事。
今までは全て同居の中での行動、その時とは違い自分たちで対面対処。 こうやって色んな事経験を重ねて成長していくのだ。
親と一緒では見えない気付かないことも、別居となった今色々な事に気付いて行きながら日々を送っているだろう。
「寂しくなったでしょう・・」ご近所さんは口をそろえて言う。 いえいえ、しょっちゅう会える距離、自転車3分。
次女夫婦のこれからを思うと、独立して行って本当に良かった・・と、嬉しく思う。