とんとんとん かすかに階段を降りてくる音がした 私はにやり 部屋の戸が すうっと開いた
高1の孫娘である 「じぃじ・・7時10分」 少し小さめだがとっても可愛い声で言う
普段出さないような声で 夫の布団を叩いて「おとうさん・・10分だって」 目をつむっている夫は「ん」
ダンス部の朝練で時間ぎりや雨の時 夫に車を頼みにくる
最初の頃は頭をさげて 「じいじ・・お願いします」と出発時間を言った、まるで職員室へ入ったみたいに。
部屋を出る時も「よろしく」とおじぎをして出ていった
キーホルダーやマスコットやなんやらいっぱいつけた学校ダンス部名入りのリュックを背負って
パンやおにぎり持って車で20分程の学校へ じいじと孫のお楽しみ時間と見送っている
娘は言う「もっと遠い子は早くから電車で行ってるんやで、簡単にじいじにたのんだらあかんやん、
甘えたらあかん。 あんたがもっと早く用意したらええことやん」時に厳しく言う、えらい。
「月に2回にするからとか、まだ今月は頼んでないからとか言いながら、9ケ月が経った。
昨年の9月、部活がない時帰宅して制服ままソファーに寝転がってお菓子を食べスマホをいじっていた。
思わず「制服着替えてからにしなさいって」と言った。 黙って3階へあがったので(怒った?)
箱をふたつ持って降りた。 「いつもありがとう これ、じいじと 敬老の日」と言って私にくれた。
夫のはカップ麺など入れて保温するカップ、蓋付きの、私にはイニシャルの入った蓋つきのマグカップ。
「え~、ありがとう、じいじも喜ぶわ」前日雨の中、学校帰りイオンへ行ったそうな。 気まりが悪かった。
高校選択の時、遠いけれどあのTVでも有名なダンス部がいいか、近いけれどそこよりは偏差値高い所。
落ちたらもともこうもない。 3年間行くのに近い方がいい、長い電車時間は帰りも遅くなるし心配もある。
かかる時間ももったいないと大人は言う。
「ママ落ちたらごめんね」締め切りぎちぎりまで悩んで親と願書を提出した。
中1新設のダンス部、全国大会出場させた経験のあるコーチ、練習が厳しくて毎日帰宅しては愚痴泣き言を言った。
娘はいつも親から目線でなく、子供目線で話をしっかり聞いて、共感ししっかり子供の心を掴んでいた。
子供は一番身近な母親によって、全部吐きだし明日へとがんばる力をもらっているんだと思った。
私は大きな反省だった。 もっと3人の子供たちの話を聞いてやれば良かった、子供はどうすればよいのか
親が自分に言うことは分かっている。 ただ聞いて欲しいだけだったんだ、そう思った。
コロナ禍でも3年の最後、近くのインテックスアリーナの全国大会に出た。 みんなで見に行った。
高校はもっと厳しい、夏季大会や練習の時も・・過呼吸で2回も救急車のお世話になった。
親も「無理せんでもええんやで、やめたっていい。 ダンスだけが正解やないんやから」
頑張っている子に頑張れとは言えないが、頑張りながらやり抜く力が見える、根性がすごい、好きなダンスならばこそ。
この記事を書いていると、すっと孫娘が入って来た、 昨日朝も機材作成の段ボールをいっぱい持参するので
車を頼みに来た。 連チャンさすがに気を使って「じいじ・・お願い本当にお願い・・7時10分に・・」
私は笑った。 可愛さと乗り越えようと頑張る姿・・心の中でがんばれがんばれと言った。
昨日部活の後仲間の一人と映画『ラーゲリより 愛を込めて』難波で見て「今までで一番泣いた」目をはらして遅く
帰って来た。 朝も目が腫れぼったい。 勉強はそこそこできたらいい、高校生活楽しみぃ仲間と!
それこそ・・舞いあがれ!