ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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クレオール・ジョー・バンド

2012-09-10 18:03:32 | ニューオーリンズ
CREOLE JOE BAND / CREOLE JOE BAND

現在来日中のジョー・サンプル&クレオール・ジョー・バンド。ジャズ/フュージョン界の大物ピアニスト、ジョー・サンプルが自身のルーツでもあるザディコをやるために組んだバンドです。昨年5月にクレオール・ジョー・バンド名義で初来日し、そのコンセプトを披露してくれましたが、あれから1年以上が過ぎ、ようやく彼らのスタジオ作「CREOLE JOE BAND」がお目見えいたしました。フュージョン色はほぼ皆無、かといって濃密なザディコという感じでもなく、ポップで聴きやすいサウンドに仕上げられています。なんて言いますか、ルイジアナのホーム・パーティに招かれたような、そんな楽しい感じです。

1曲目「Down In New Orleans」からスタート。和やかな雰囲気で、まずはニューオーリンズ/ルイジアナの音楽へようこそ!といったところでしょうか。昨年の来日公演でもフロントを務めた女性シンガー、シャロン・マーティンの懐の深い暖かな歌声が印象的。この方はニューオーリンズで活躍するジャズ・シンガーのようですね。C.J.シェニエとジョー・サンプルの弾く朗らかなアコーディオンも良い感じ。C.J.シェニエは言わずと知れたザディコ・キングであるクリフトン・シェニエの息子。もちろん、現行ザディコ界のトップ・ランナーの一人。

続いて「Louisiana Woman - Texas Man」。キース・フランクのアコーディオンが軽快に疾走するロッキン・ザディコ。ドラムスのブラッド・フランクはキースの弟。ザディコ界では有名なファミリーです。この土っぽいリズム、最高ですね! ここでザディコには欠かせないラブボードを擦るDemitric Thomasも、おそらくフランク・ファミリーと活動を共にする方なんでしょうね。C.J.シェニエの泥臭い歌声も最高ですし、ジョー・サンプルのピアノのもご機嫌!!

なんとなくネヴィル・ブラザーズっぽいアダルトなファンク・ナンバー「Zydeco Train」。レイ・パーカーJr.のギター・カッティングがまるでニューオーリンズ・ファンクのようで格好良い。ここでドラムを叩くのはニューオーリンズきっての敏腕ドラマー、レイモンド・ウェバー! 流石の切れ味!! Wilbert “T.A.” Millerのハーモニカも効いてます。

これぞルイジアナ流パーティ・ソングな「Jambalaya Jumble」。歌うはやはりニューオーリンズのジャズ/R&Bシンガー、フィリップ・マニュエル。艶やかなR&Bを歌わせたら天下一品の彼ですが、こういった軽やかな曲もかなりいけますね。

そしてこのバンドのテーマ・ソングとも言える「Creole Joe」。弾力抜群のC.J.シェニエの歌声が最高ですが、ここでジョー・サンプルと共にアコーディオンを弾くのはまだ30歳代前半の若手ブライアン・ジャック。ラブボードのJody Lemelleはブライアン・ジャックが率いるザディコ・ギャンブラーズのメンバー。この曲、ポップですけどルイジアナらしいローカル色が感じられてなかなか良い曲ですよね。

フィリップ・マニュエルの素晴らしい歌唱が聴ける「Down Home, Low Down Zydeco Blues」。ここでブルージーなギターを弾きまくっているWayne "Animal" Turnerという方はカントリー界隈のギタリストのようですね。そしてラストはしっとりとしたスロー・ナンバー「If Anybody Ask You」。ヴォーカルはC.J.シェニエとのことですが、随分とアクを押さえてストレートに歌っている印象。短いですがジョー・サンプルのピアノ・ソロが良いですね。

これまでのジョー・サンプルのキャリアから考えたら、彼らしいアルバムとは言えないかもしれませんが、何せ構想12年の末に実現した、ジョー・サンプル自身のルーツ作品ですし、全曲ジョー・サンプルの作曲。ピアノ、オルガン、キーボードはもちろん、11曲中7曲でアコーディオンも弾いてますからね。その分、C.J.シェニエのアコーディオンがあまり聴けないのが残念ですが、彼はヴォーカリストとしてフューチャーされているので良しとしましょう。もちろんC.J.シェニエ以外にもルイジアナ勢が多数参加していますしね。

とにかく、ルイジアナ勢とジョー・サンプル人脈が和気あいあいな、聴いていて思わず笑顔がこぼれるような、そんな作品です。



C.J.CHENIER / CAN'T SIT DOWN
こちらは昨年リリースされたC.J.シェニエの最新作。正直な話、「CREOLE JOE BAND」を聴いた後にこれを聴くと、やっぱりC.J.はこうでなくっちゃ!!って思いますよ。血湧き肉踊るようなグルーヴにアグレッシヴなヴォーカル。最高ですね!もちろんアコーディオンも弾きまくってます。灼熱の「Zydeco Boogie」は「CREOLE JOE BAND」にも参加しているWilbert “T.A.” Millerとの共作。ジョン・リー・フッカーや、カーティス・メイフィールドのカヴァーも有り。2011年度のグラミー賞『Best Regional Roots Music Album』部門にノミネートされました。



さて、そんなジョー・サンプル&クレオール・ジョー・バンドが現在来日中です。既に先日行なわれた東京JAZZでそのステージを体験された方も多いことでしょう。そしていよいよ東京での単独公演が、ブルーノート東京にて、明日9月11日、そして12日の2日間行なわれます。今回は残念ながらC.J.シェニエは不参加なんですが、その変わりに、ブルース“サンパイ”バーンズが来ています。C.J.シェニエに比べると随分とマニアックな存在ですが、マニアック故に、彼が来るというだけで、ザディコ・ファンの間では結構な話題になっているとか。そして気になるラブボード奏者はアレックス・マクドナルド。この人はドゥエイン・ドプシーのバンドで活躍している方だそうで、こちらも期待大! あと女性シンガーのエリカ・フォールズもニューオーリンズのシンガーで、この「CREOLE JOE BAND」にもバック・ヴォーカルで参加していますし、近年のドクター・ジョンや、アーマ・トーマスの作品なんかにも名前を見つけることができたりします。



クレオール・ジョー・バンド、今回の来日メンバー↓

Joe Sample(p,accourdion)
Ray Parker Jr.(g,vo)
Nick Sample(b,vo)
Doug Belote(ds)
June Yamagishi(g)
Bruce "Sunpie" Barnes(vo,accordion)
Skip Nalia(key)
Erica Falls(vo)
Alex McDonald(scrubbing-board,tp)




SUNPIE / LOUP GAROU
ブルース“サンパイ”バーンズの94年作。いきなりサックスやサイパン自身が吹くハープがフューチャーされた異色曲からスタート。でもこれが格好良い! 一方でオールド・スタイルなザディコを感じさせるフレイヴァーも濃厚で、 爽快なイナタさが格好良い! さらにブルージーな味わいもあったりで、そんなごった煮感がまたニューオーリンズらしくて最高! ハービー・マン「Memphis Underground」のザディコ・カヴァーにもにんまり。

ちなみにブルース“サンパイ”バーンズについてもう少し詳しく知りたい方は、ブルース銀座さんのこちらのページ→http://black.ap.teacup.com/sumori/1184.htmlがお薦めです。おそらくサンパイ・バーンズについてこれほど詳しく親切に解説してくださっている日本語のサイトはここだけだと思います。


*9月11日追記: ブルース“サンパイ”バーンズは、ブルーノート東京公演を急遽出演をキャンセルされたそうです。東京ジャズには出演していたそうなんですが、どうしたんでしょう?

http://www.bluenote.co.jp/jp/artist/joe-sample/




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 11.05.21 クレオール・ジョー・バンド@ブルーノート東京(昨年5月の来日公演レポ)