ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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マリア・マッキーに愛を込めて その1

2013-02-26 10:44:19 | ルーツ・ロック
LONE JUSTICE / LONE JUSTICE

何やらラブレターのような恥ずかしいタイトルで書き初めてしまいましたが、要するに3月初めにビルボードライヴにて来日公演を行うマリア・マッキーの予習特集です。当ブログで、これまでマリア・マッキーについてはほとんど触れてこなかったかもしれませんが、実は私にとっては女神のような存在で、80年代後半から90年代の半ばにかけて、間違いなく私のフェイヴァリット・アーティストでした。

私がマリア・マッキーを知ったのは、正確に何年のことだったかは覚えていませんが、確かなのは御茶ノ水のディスク・ユニオンでのこと。そこでたまたま流れていたライヴ・ビデオに目が釘付けになったのです。激しくギターを掻き鳴らしながら吠えるが如くの勢いで歌う女性シンガーに。この人誰?と思ったものの、何故か何所にも手がかりがない。買いもしないのに「このビデオ誰ですか?」と店員さんに聞く勇気もなく、手当り次第に店内のビデオを探したものの見つからず、悶々とした気持ちを抑えつつその日は諦めたんです。ですがあの映像の衝撃が忘れられず、また流れてはいないか?とことあるごとにディスク・ユニオンを覗きにいったりしていたある日、どういうきっかけかは覚えていないのですが、見つけたんです。ローン・ジャスティスというバンドを!そしてそのリード・シンガーがマリア・マッキーだったのです。

そのビデオは「LONE JUSTICE LIVE」という87年にリリースされたものなので、おそらく私がそれを手にしたのも87年だったのだろうと思います。その時既にローン・ジャスティスは1stアルバム「LONE JUSTICE」と2nd作「SHELTER」をリリースしていました。しかも既に解散していたかもしれませんがよく覚えていません。っていうかそういう情報もあまり手に入れられない時代でしたしね。なにせ今から26年も前の話ですよ! 私もまだ10代でしたからね。ビデオもすぐには買えず(後に結局買いましたけど)、まずは2枚のレコードをレンタル店で借りました…。

とにかくデビュー・アルバム「LONE JUSTICE」(写真上)に写るマリア・マッキーの美しさにクラクラしちゃいましたね。そして1曲目「East Of Eden」のボ・ディドリー・ビートに乗ったエネルギッシュなマリアの歌声に大興奮。もうその時点で完全に惚れてしまいました。(すいません、今回はずっとこんな感じです)。当時のマリア・マッキーはジャニス・ジョプリン以来の才能などと賞されていたのですが、ジャニスのようなしゃがれ声ではなく、突き抜けるような美声が奔放に駆け巡っていく感じ。このアルバムは決してパンキッシュではありませんが、当時パンクに傾倒していた私にとって、マリアの歌声はグサグサと胸に突き刺さりましたね。激しいアップ・テンポのカントリー・ソング「Working Late」や「Soap, Soup And Salvation」の格好良さなんかも目から鱗でした。そして「Don't Toss Us Away」や「You Are The Light」のようなスローな曲の美しさにも耳を奪われました。このアルバムは私がマリア・マッキーの魅力に取り憑かれた作品であり、メタル&パンクにどっぷりだった私が初めてカントリー・テイストなるものに心惹かれたアルバムでもあります。ですが、このローン・ジャスティスのドラマーがエミルー・ハリスのホット・バンド等で活躍していたドン・ヘフィントン(実はつい先日、同じビルボードライヴでのヴァン・ダイク・パークス公演にドラマーとして来日していました )だったり、ゲストにEストリート・バンドのスティーヴ・ ヴァン・ザントや、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのマイク・ キャンベル、ベンモント・テンチが参加したりしていることなどは、当時の私にはどうでも良いことでしたね~。



LONE JUSTICE / SHELTER
1st作リリースの翌86年に発表された2nd作「SHELTER」。ですが鳴り物入りでデビューした前作があまり売れなかったようで、マリア以外のメンバーが総入れ替えとなる憂き目に遭っています。(結成メンバーのギタリスト、ライアン・ヘッジコックだけはクレジットされていますけどね)。確かにサウンド的にはダイナミックになって、よりスケールの大きいロックン・ロールを展開してはいるんですが、どうしても売れ線に傾いたという印象が拭えません。ツクツクツクツクと鳴り続けるU2っぽいギターとか、ポップなキーボードとか、あの時代の流行だったんですかね? ちなみにプロデューサーにはジミー・ アイオヴィンとスティーヴ・ ヴァン・ザントが招かれてますが、彼らは前作にも関わっているので、そういう意味では1st作の空気を引き継いではいるんですけどね…。と、若干ネガティヴ意見を書かせて頂きましたが、マリア・マッキーの歌声は前作にも増してキレキレでして、まるでエモーショナルの塊のよう。特に「Wheels」や「Inspiration」の歌唱は凄い! 楽曲も良い曲が多いですし、なんだかんだで名盤なのであります。ですがこれが結局ラスト・アルバムになってしまいます。

ちなみに、ちょっと話がそれますが、ジミー・ アイオヴィンはパティ・スミスの78年作「EASTER」のプロデュースを務めた人で、その時のパティ・スミス・グループのキーボード奏者が第2期ローン・ジャスティスに加入したブルース・ブロディなんです。私の大好きなパティ・スミスとマリア・マッキーがおよそ10年の月日を経て繋がっているという事実を知って、えらく喜んだりしたものでした。当然その人脈にはブルース・スプリングスティーン周辺も絡んでくる訳で、なかなか面白いです。



LONE JUSTICE / LONE JUSTICE LIVE
そしてこちらが例のライヴ・ビデオ。86年12月、ニューヨークのRITSにて収録。「SHELTER」発表後でメンバーは第2期のもの。このビデオは本当に良く見ました。多分、私が生涯で一番繰り返し見たビデオなんじゃないでしょうか。残念ながら今は我が家にビデオデッキが無いので見れなくなって久しいのですが、これを初めて見たときの衝撃は今も忘れません。



LONE JUSTICE / RADIO 1 LIVE IN CONCERT
93年にリリースされたライヴ音源。タイトルから察するにラジオ用の音源なんでしょうね。86年の11月にロンドンで録音さているようです。メンバーは先のビデオと同じです。スタジオ作のような大仰さの無いシンプルな演奏が良いです。そして衝動の赴くままにシャウトするマリアのヴォーカルはもうほとんどパンクな格好良さ。まるでレコードのように歌わない崩しっぷりに痺れます。



LONE JUSTICE / THIS WORLD IS NOT MY HOME
日本では99年にリリースされたベスト・アルバム。とにかくデビュー前の未発表音源に驚喜しました。よりカントリー・テイストが濃厚で、ロカビリーっぽくもあり、ガレージ的でもある。そしてパンキッシュ! なんか嬉しかったですね。そしてデビュー以前のマリア・マッキーに思いを馳せます。

ロサンゼルスで生まれ育ったマリア・マッキー。伝説的サイケデリック・グループとして知られるラヴの主要メンバーだったブライアン・マクリーンを兄に持ちます。10代の頃にライアン・ヘッジコックと出会い、ローン・ジャスティス結成へと至る。このベスト盤にはまだメンバーが固まる前の音源から、ゲフィンとの契約前後のセッションが数曲納められていますが、当初、カントリー色が強過ぎるとゲフィンが契約を躊躇していたというのも頷けるサウンドです。私は大好きですけどね! マール・ハガードやトラディショナルを溌剌とカヴァーする彼らの演奏はこれぞカントリー・パンクの格好良さ!荒々しく勢い抜群のマリア・マッキーの歌声も最高! またローン・ジャスティスはデビュー時からスティーヴ・ ヴァン・ザントやトム・ペティの助力を得るなど、大物ミュージシャンから愛されていたことも知られますが、ここに収録されたデビュー前の音源「Go Away Little Boy」は、なんとボブ・ディランが彼らのために書き下ろしたと言われている楽曲で、レコーディングにもボブ・ディランとロン・ウッドがギターで参加しているようです。これには驚きました。



たった2枚のスタジオ作しか残せなかったバンドではありますが、その足跡は現在でも輝きを放ち続けるローン・ジャスティス。最後にいくつか動画をご紹介。


まずは最近見つけた映像で、1985年というデビュー当時のフェス出演時のライヴ映像から彼らの代表曲「East Of Eden」。こんな映像あったんですね~。驚きました! ライヴにしてはマリアが割りとちゃんと歌ってます。
http://www.youtube.com/watch?v=SCoKX6c3iME&feature=fvwp


こちらは私がマリア・マッキーに出会ったあのビデオから「Ways To Be Wicked」。カントリー・ロックな開放感の中にR&B的な感情の発露とパンクの衝動が混在してる。こんな風に歌える女性シンガーは世界広と言えどマリアだけです。
http://www.youtube.com/watch?v=IQtRfLtyr0g


おそらく解散した87年頃と思われるMTVでのライヴ映像。これぞカウ・パンク!楽し気に歌うマリアが可愛い!
http://www.youtube.com/watch?v=vD2W1LDFuLQ


はい、次回もこんな感じで続きます。マリア・マッキーに愛を込めて!(すいません…。)