徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

中で弾けばいいこと/第9節浦和戦

2010-05-02 04:45:17 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
武田「半分しかやっていないけど、声が出ないくらい声を出した。(中略)みんなで守っているという感じがあるので、僕だけじゃないと思う」(J'sGOAL 5月1日付
平岡「サイドから攻められる分には中で弾けばいいことだし、あまり恐くはなかった」(J'sGOAL 5月1日付

GWシリーズが始まった。スカパー!で浦和戦。いい意味で一進一退という内容で力が入る。
サイドを押し切られる場面は多々あったが、クロスを入れられても「中で弾き返せばいいんでそ」というシンプル極まりないエスパルスの伝統は守られている。PA近辺で浦和の切り込みが意外と甘かったのは幸運だったかもしれないが。
こういうゲームを屋内のテレビで観るのは不健康だなと思う。

淳吾、宏介はちと空回り気味だったのが気になるが(その点でまだエスパルスを“絶好調”とは言えない、言いたくない)、エスパルスのしぶとさ、勝負強さが際立っている。まあ最後の場面、兵働はフローデの動きが「見えていた」というから、勝負強さというよりも、これは「チーム全体がゲームを見えている状態」というべきか。劇的勝利がアウスタの集客にも効果があることを願いたいものだ(でもエコパはもう勘弁)。

この後はプレーヤーにとっては地獄のような連戦が続く。
中3日で京都@西京極(5日)、中2日で新潟戦@アウスタ(8日)。さらに15日にはW杯中断前のリーグ最終戦で東京戦@味スタ。さらに、さらに22日から30日にかけてナビスコカップ予選3連戦横浜@アウスタ、神戸@ホームズ、浦和戦@埼スタが続くという、アホみたいなスケジュールである(中断前最終戦は6月6日の磐田戦@アウスタ)。
関東軍は5ゲームぐらい行けるか。

とにもかくにも5月は浦和で始まり浦和で終わる。

(追記)
<一日の長>の使い方が間違っているとしか思えない爆発的フリーライターに告ぐ。<一日の長>を使いたいなら、攻守の切り替えの早さ、守備ブロックの形成の徹底、さらには平岡のコメントのような“シンプル”な健太エスパルスの伝統でもある認識の浸透を指して、<レッズの攻撃に対してエスパルスの守備は一日の長があった>と使うべきなんじゃないかい。まあ彼はオフェンススタイルの比較で使ってるわけだが、それでは尚更意味不明である。
まあ先入観があると書くのが楽なのは判りますけどね、使い回しで書けるから。
<一日の長>があったけど負けましたってギャグか。

マガの特集

2010-04-28 04:25:10 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10

「サッカーマガジン」2010年5月11・18日合併号

サカマガの特集。まあいつもながら成績が良ければ扱いは違うわな。

4年前にはサカダイでこんな特集もあった。
現在の躍進は、やはり必然なのです。まだ全員主力だし。

「サッカーダイジェスト」2006年10月3日号

今回はせっかくGW合併号なんだから(せめて次号が出るまで)勝ち続けていただきたいもんですな。

ちなみに今週号の武智さんのコラムにこんなエピソードがあった。

<またかよ、と言われそうだが、小野伸二はやはりうまい。この試合では体をネットのようにしてボールを丸く収める胸のトラップに感激してしまった。あと、客席に飛んできたボールををヘディングでピッチに返した小学生にも。>(武智幸徳「ピッチのそら耳」#379 サッカーとピッチ)

やっぱりあれ、そうだったのか。
オレのシーチケ席もボールが飛んできやすいエリアなので、実際どうやって返そうか悩んでいたんだが…やっぱりボレーかヘディングか。もしくは隣のオヤジさんとスカイラブ・ハリケーンとか。
大人だしな。

働く王様/第8節大宮戦

2010-04-25 12:59:07 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
伸二「とにかく簡単に勝てる試合というのは一つもないので、本当に1本のシュート、1点が入るかどうかがすごく大事になると思います」(4月24日 MATCHDAY PROGRAMME VOL.5)

移動中、市内に入ると小雨がぱらつき、静岡駅に着いたときには晴れ間も見え、アウスタに向かっている途中で晴天。持ってくるのを忘れたポンチョをわざわざ買わなくてもいいかと思うのはフツーである。キックオフ前まではそう思う。
まさかゲーム中だけ猛烈に雨が降るとは。ホントにゲーム中だけ、である。
さすがに前半だけでずぶ濡れになったのでハーフタイムにポンチョを買いにいくと…グッズ売り場は階段下まで並ぶ長蛇の列。しかもこの時点で売り切れ、15分ほどの入荷待ちだという。
もう諦めた。覚悟を決めた。
わざわざ45分間のためだけにポンチョを買うのもアホらしい。てか買うために並んでゲームを観られないのでは本末転倒である。で、完全にずぶ濡れになった。
それにしても寒い。冬でもないのにこんなに寒いのは何年か前の柏戦@日本平以来か。雷雨の大宮戦@NACK5でもずぶ濡れになったがここまで寒くはなかったと思う(季節がちと違うが)。

前半は天気もゲームも寒かった。大宮が序盤から飛ばしてきたこともあってボールロストしまくり。
「きっと僕や伸二さん、兵働さんのところにプレッシャーをかけてくると思うので、簡単にボールを失わないように気をつけたいです」(4月24日 MATCHDAY PROGRAMME VOL.5)とタクが言う通りの展開。気をつけてもああなっちゃう。しかもこの荒天だからいくらホームで、主力抜けまくりの大宮相手でもイーブンの戦いになる。大宮はこういう状況になるとさらに怖いチームである。
後半に入るとさすがに清水が押し戻し一進一退の展開になったが、追いつかれても不思議とこれまでのような焦燥感はなかった(去年終盤の連勝時のような危うさも)。これが(まだ序盤とはいえ)リアルで優勝争いをしているチームのなせる業か。
兵働と真希が得点したことで今季の公式戦得点者は12人に増えた。そこが注目されてもいるわけだが、そもそも清水は以前から特定のシューターに依存するようなチームでもないので(だから得点が少なかったのだが)、まあ何を今更という感じでもある(一昨年の瓦斯戦@味スタ参照である)。

北野(大宮)「あれ(2点目の失点)もシュータリング(シュートのようなセンタリング)だけど(中略)あのシュートはニアポストに当たってコースが変わっているし、かなりえぐかった」(J'sGOAL 4月24日付

真希「まあやっぱり、勝っても次メンバーが変わるだとか、そういう部分で、皆『チャンスがあるんだ』っていう気持ちでやれていることが、チーム内で競争ができて、それが良いのではないかなと思います」(Sの極み 4月24日付)

この日も伸二は攻守に渡って積極的に動き続けた。アシストを決めたとはいえ、切り替えの早さ、守備意識の高さ、失点後にチームを鼓舞する姿、すべてが絵になる男である。
エスパルスはあの時代の清商のように働く王様のチームになるのか。何か、そんな感じがするんだな。静岡の地震で亡くなられたあの人、静岡ならではの生粋の高校サッカーファンは“伸二のチーム”をどんな風に観るんだろ、とか。
(ちなみにこの日の勝ちロコで真っ先にピッチに姿を現したのは伸二だった。何か、それだけで…ね)

伸二「真希(山本)もゴールしたんで、中盤で残るは僕ぐらいになっちゃてるんで…そういうのをレッズ戦に合わせてみんな取ってくれたんで、このレッズ戦で自分が取ることによって、またみんなが盛り上がってくれるだろうし、僕自身も自信にもなると思うので、まあ常に『狙って』はいますけど、浦和戦にね、必ず取れるようにやってきます」(Sの極み 4月24日付)

今季は優勝しちゃうので中継以外のスタジアムの出来事(映像)も残そうと思い、今季のホーム戦を撮り続けているカメラ(ビデオ)も雨にもマケズ何とか無事。ああ、よかった。

さ、エコパはどうしようかと…。

ダイの特集

2010-04-24 03:37:05 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10


プロ野球ぐらい成熟してくれば、こういう企画ならまだ紙媒体の方がアドバンテージがあるような気がする。武将ネタ自体は去年のうちの方が旬だったと思うが…。



で、我がチームの長谷川健太は小早川隆景。安易に今川とかいかないところがいいやね。
調子がいいと扱いもいい。担当の広島さんもデカい顔してんだろか。
あ…広島…毛利…小早川…。

5月1日

2010-04-22 21:12:40 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
JAGSの野々村さんが何で「実質1位」と言い続けたのかさっぱりわからなかったが(いや優勝予想が名古屋だから、というつまらない理由に違いないのだが)そんな机上の空論は予想通り覆された。
昨日の未消化ゲームの結果が出て、順位から暫定の文字が消えた。
結局名古屋に交わされることなく清水の2位が確定。


このまんま今週をやり過したら5月1日はエコパに行く気になるかもしれん…。

ポストテル/第6節仙台戦

2010-04-12 02:18:36 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
アウスタで仙台戦

一応、まだ6節とはいえ首位決戦…とは思えない大差がついた。
しかも2年ほど前の味スタでの東京戦のように5点の得点者がすべて違うという、とても素晴らしい結果だ。中でもなかなか結果の出せなかった永井(浦和時代にACLであんなゴールを決めていたような記憶があるな…)、PSMで“らしい”ゴールを決めて以降は、どうも空回り気味で今ひとつ調子が乗り切れていないように見えていた淳吾のゴールには正直胸が熱くなった。
何か、いいチームになってきたなあ…とか。
ここのところ清水の選手層に言及する人がいる。確かに今季の伸二やエディの加入は大きいけれども、そもそも清水の選手層が厚いことは数年前からわかっていたことで、これはいよいよ本物になろうとしているということなのだ。
時間はかかってしまったけれども、あのテルがついにベンチに座っているというのはとても象徴的なことだ。ポストテルというのは健太エスパルスにとっては最大の懸案のひとつだったと思うし、タクの本格化というのは本当に嬉しいことだと思う。もちろんいざというときのクローザーとしてのテルの輝きはまったく失われてはいないけれども。
タクの2点目はそういう意味でも素晴らしかった。
フローデも安定感が増してきた。
まだまだ、これからですな。

サポパはスルーして駅南酒場で1時間少々酒。

さすがにのんびりし過ぎたのでそろそろ仕事もギア入れていかないとヤバいなあ…と帰り道に思う。

(追記)
「最初は静かなチームだと思った」「僕は代表のためじゃなく、エスパルスのためにやっている」(スポニチ 4月12日付

今年は優勝するつもりなので/第5節 横浜マリノス戦

2010-04-04 01:44:14 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
健太「中村が代わって、逆にF・マリノスはアグレッシブになってボールを非常に動かされた」(J's GOAL 4月3日付

日産スタジアムで横浜マリノス戦。行列に並んでいるときにゴトタケ先生発見。

キックオフ後、わずか5分で小野、辻尾、岡崎のトリプルシンジによる見事な<崩し>で先制。さらに前半終了間際にも伸二のFKからオカが詰めて追加点。
しかし内容は、フリーキックこそ同数だがシュート19本(清水8本)、コーナーキック14本(清水2本)と、先制直後から後半にかけてかなり苦しいものだった。前節神戸戦で引き分けたとはいえ攻撃陣が爆発しているマリノス相手に、アウエイとはいえ受身で重心がかなり低く感じたのも苦しさの原因。後半、テル、平岡を投入して健太も覚悟を決めたとこちらも腹を括った。
まあ、神戸や大宮や新潟戦で慣れてますが。こういうヒリヒリした展開(マリノスは奴らの戦い方とはちょっと違うが)。
しかし今日のゲームはPK阻止以外でも西部が素晴らしかった。ナビスコカップで武田が想像以上にアクレッシヴで安定したパフォーマンスを見せたのが影響したのか、何か持っているポテンシャルを発揮した印象で嬉しくなってしまった。これに加えて海人と碓井君が控えているというのは、ちょっと、どこの日本代表かと思えるぐらいのハイレベルの争い(この日はダブルヨーヘイ)。
それにしても新はツイてない。PK献上職人のイメージが…つかなきゃいいが。
これで暫定首位が復活。

オカ「(開幕から負けなしということについて)
今年は優勝するつもりなので
いいスタートが切れて良かった」(J's GOAL 4月3日付

明日(今日)鹿島のゲームが残っていて、広島と名古屋は1節未消化で、そもそもまだ5節で勝ち点も団子状態なんでアレなんですが(浦和3位だよ!)、このまま調子上げて行って欲しいなあ…。

ところで…気になったコメントがあったので書く。
去年の順位予想でも結構本気で2位予想したマリノスのポテンシャルをオレは高く評価している。実情は知らないので軽々しいことは書けないのだけれども、コーキチ監督が継続されていればマリノスには違う展開もあったのかもしれないと思う。チームとしては魅力的だと思っている。
しかし、今日の、このコメントはいただけない。

清水「たとえミスとかアクシデントとかで点を取られたとしても、それを取り返すサッカー」
山瀬「今日の失点は崩されてというより、ミス絡みになってしまったところが残念」
渡辺「失点シーンは崩されたわけではない。もったいないというか、いらない失点だったと思う」
波戸「最初の失点のところでもう少し、いい判断をしていれば、こういう結果になっていなかった。最初の1点目が、あまりよくない形での失点だった」
(以上、J's GOAL 4月3日付

波戸と他の3人のコメントを読み比べてみる。何を言ってるんでしょうか、冷静な波戸さん以外のこの3人は。
それを<崩された>と言うんだ。
<崩す>というのはギャップを作り、スペースを突き(飛び込み)、ミスを誘い、そして抜け目なくゴールすることに他ならない。清水のプレイに意志があれば、あの得点は美しい流れからの得点と見るのが正しい。
まあ、美しい、美しくないは完全に主観ですが。
てか<アクシデント>というなら、どう考えたって(清水視線で)オウンゴール臭いマリノスの得点のことを言うのだ。

あれは実にもったいない、下らない失点だった。
それでも西部神の価値はまったく変わらない。

さらに、ところで…。
俊輔がいた方がもっと楽だったかもしれない。
とは皆思ったことだろう、うん。

(追記 4月4日)
<長谷川健太監督に、こんなことを聞いてみた。「岡崎慎司のゴール・・ 相手ディフェンダーのクリアボールが、正確に彼の足許に転がってきたわけだが、あれは、偶発的なものだったのか、それとも必然的なファクターも内包していたのか・・岡崎慎司については、長谷川さんは熟知しているはずだから、そのことについてコメントをいただきたいのだが・・」

「岡?のゴールは、決して偶然だけではなかった・・ここでは、それだけは言っておきたいですね・・」>(湯浅健二の「J」ワンポイント 第5節 2010年4月3日、土曜日

共闘/第4節 川崎戦

2010-03-28 00:43:00 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
伸二「全員サッカーで誰が出ても自分たちのスタイルを変えずにやれるようにしている。それが勝点を積み重ねられている要因だと思います。誰とやってもやれています。自分も生かされながら、相手も生かす。このスタンスはこのまま続けていきます」(J'sGOAL 3月27日付

等々力で川崎戦。ゴール裏1階は完全な日陰の上に強風ですっかり体温を奪われてしまった。声を出すぐらいしか身体を温める術はない。ゴール裏は久しぶりだったけれども2人分ぐらいは声が出た。

このゲームは大場健司に捧げられる。
プレーヤーは喪章をつけてゲームに臨み、ゴール裏も1分間の黙祷を捧げた。
惜しい場面も多かったし、信じられないようなミスもあったが、今日は勝ちたかったし、勝てるゲームだった。

健太「最後になりますが、エスパルスを非常に愛してくれ、エスパルスのために執筆活動をした大場健司にですね、この場を借りて心からお悔やみを申し上げたいと思います」(J'sGOAL 3月27日付

テル「いつもだったらいるもんね。勝って何かしたかったなと思います。エスパルス長いですし、長くいたから付き合い長いところもありましたし、当たり前にいる人がいないのは何か変な感じですね」(J'sGOAL 3月27日付

<明日のGO GO S-PULSEは先日、享年43歳の若さでお亡くなりになられた現番組の前身であるキックオフ サンデーのメインパーソナリティーを務められ、番組にも非常に縁のあるフリーライターの大場健司さんを偲んで、内容を少し変更し追悼番組を放送します。岩下敬輔選手も7時過ぎに駆けつけてくれる予定です。番組は当時のキックオフ音源から大場健司さんの声をお届けしながら進めていく予定です。>(GO GO S-PULSE/エフエムしみず 3月27日付

エスキョク以前の話を書く。
在京サポであるオレにとっては正直浦和やFC東京、柏といったクラブとサポーターの関係、距離感の方が身近であり、共感できるものだった。彼らは文字通りの<共闘>していた。
さらに正直いってしまえば2002年以降の暗黒時代、清水の一部の選手コメントからは明らかなサッカーエリート臭が漂っていて、まったく<共に闘う>などというニュアンスが感じられないときがあった。逆にいえばそれが近所にJリーガーの実家が山ほどあるというサッカー王国のサッカー王国たる所以でもあるわけなのだけれども、オレは近所の、知り合いのニイちゃんを生暖かく応援しているわけではない。要するに観戦し、応援するという文化が希薄だったと思うのだ。
オレはクラブに生温さと距離を感じていた。

それが変わり始める契機となったのが、暗黒時代に生まれたゴール裏の新しい動きと大場氏のSの極みという情報サイトの誕生だったのではないかと思う。
オレが大場氏に一番感謝したいのは迷走していたフロントの問題を指摘しつつ、クラブ、チームとサポーターとの奇妙な距離感を、愛に溢れた精力的な取材と愚直ともいえるメディアリテラシーに基づく詳細な情報によって埋めていってくれたことだ。それはきっとフロントをも動かす遠因になっただろう。
彼の仕事によってフロントはもちろんチームも、そしてサポーターも変わったと思う。
エスパルスは<共闘>するクラブになった。

2005年、長谷川健太はプレーヤーに改めてクラブへの愛を求め、チームを組み立て直した。個人事業主に対してそんな要求はウェット過ぎるかもしれないけれども、健太のやり方は、実にオレの気持ちに響くものだった。
変わる瞬間、変わった瞬間が鮮烈すぎた。
Sの極みは、停滞していたとき、変わり始めたとき、変わり続けるとき、その動きを詳細に伝え続けた。もちろん大場氏は表も裏も知った上で、変わり続けるエスパルスを伝え続けたのだろうけれども。
「優勝候補になる」という“空気”をようやく本物にした健太が臨む新しいシーズン。大場健司はそれまでの仕事で大きな功績と影響を残した。しかし彼自身のライター、ジャーナリストとしての本当の仕事はこれからだったのに、と思う。

<デビール>であれほど情念的に、粘着質に指弾したキックオフサンデーの後継番組で追悼プログラムが組まれるというのも皮肉なものだが、それもまた、変わった、ということなのだろう。

今日の喪章はひとりのジャーナリスト、そして“サポーター”のためにプレーヤーたちから進んで申し出たものなのだという。
勝ちたかったし勝てるゲームだと思ったが、それもサッカー。ただしこの日のゲームはエスパルスの新しい歴史に残る、忘れられない素晴らしい共闘だったと思う。
29日には本当にお別れです。

そしてフットボールの日常は続く。

そんなタイトルのスカパーの番組あったよな。

清水エスパルス・フォーエバー

2010-03-25 00:24:32 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
<弊クラブと親交の深かったJリーグ登録フリーランスの大場健司様(享年43歳)が、平成22年3月24日(水)午前6時50分にご逝去されました。ここに謹んでお知らせいたします。>(清水エスパルス公式 3月24日付

<既にエスパルス公式サイトでご存知の方もいらっしゃると思いますが、このサイトの主宰者である大場健司さんが、3月24日、急逝されました。私たち事務局スタッフも突然の知らせに驚いています。今年はエスパルス集大成の1年として、エスパルスの選手、監督、スタッフの方々、大場さん、そして、ご覧頂いている皆様とともに、喜びを分かち合いたい、そして、優勝したあとの大場さんの記事を読みたい、と心から願っていた矢先の出来事でした。>(Sの極み 3月24日付)

ちょうど12時を過ぎた頃に吉沢康一さんから連絡を貰った。フリーライターの大場健司さんが急逝されたという。

直接の面識はほとんどない。2、3回ほどメールでのやり取りをしたり、一昨年か昨年の魚町稲荷での必勝祈願で声を掛けたことがあるぐらい。それでもオレと清水エスパルスの間にはいつでも大場健司という男がいたのは間違いない。
彼はエスパルスにとっては暗黒時代とも言える頃に個人で<Sの極み>という情報サイトを立ち上げ、ほぼ連日更新し続けた。オレは毎日、毎日、毎日、毎日、欠かさずそれを読んだ。
そしてエスパルスは数年の暗黒時代を脱し成長期を経て、今ひとつの収穫期を迎えようとしている。
今年こそいけるよ、大場さん、そんなに厳しいこと書かなくたって大丈夫だよ。
それなのに大場健司はいない。いなくなっちまった。タイトルを獲得した健太エスパルスをレポートすべきジャーナリストであり、サポーターの大場健司はもういない。
それは同じサポーターとしてどれだけ寂しいことだろう。

神楽坂の打ち合わせが終わってから錦糸町の酒場に入った。
カウンターに座ってひとりで飲んでいたら、店のオネエチャンが厨房に向かって言う。
「○○さんの奥さんのお姉さんがひとりで店に来てカウンターに座って……泣いてましたよ」
酒場にひとりで来るようなのってそんなのばっかりかよ。
思わず笑っちまった。感傷的な気分は吹き飛んだような気がした。

軽く酔っ払って家に帰ってから、エスパルス公式サイトと<Sの極み>で本当に、嘘じゃなくて、一週間前のエイプリルフールでもなくて、正式に訃報が報じられていて、泣いた。
同世代で、静岡で同じような風景を見ながら成長し、エスパルスをサポートした男の死を心から悼みたい。<清水エスパルス・フォーエバー>という言葉は彼の死にも捧げられるべきだ。

健太エスパルスの軌跡を描いた本は大場さんが書くべきだとずっと思っていた。大場さんにもそう書いてメールを送ったのを思い出した。
俺たちの物語はまだこれから始まるんだけどさ。
本人は死んだなんて思ってないかもしれないけれども、悔しいよね。

いつもながらの/第3節神戸戦

2010-03-21 23:18:20 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
フローデ「1ゴール奪った後に、できるだけセーフティに試合を運びたいという気持ちが働くのは、選手の心理としては少なからずあるものです。それにサッカーにおいては、瞬時に、めまぐるしく状況が変化していくなかで、その1点を守り抜くのか、あるいは2点目を取りに行くのかという判断を下すことは容易なことではありません。さらに、追加点を奪いにいくという時点でリスクが生まれますから」(MATCHDAY PROGRAMMEvol.2 3月20日発行より)

土曜日。アウスタで神戸戦
MATCHDAY PROGRAMMEvol.2でフローデ自身が<本当にいい状態です>というほど今のプレーにキレがあるとはまだ思えないが、フローデと淳吾は山形戦よりは多少良化したといった印象。露骨に激しくアタックしてくるDFに対してなかなかキープできずに簡単に捌いていくしかないフローデは仕方ないにしても、淳吾が前線から積極的にチェイスしていく姿は現状を変えていこうという意志は感じた。淳吾は清水のメッシになるべきプレーヤーなんだから断固支持しますよ。
まあ内容はいつもながらの神戸戦で互いの良さを消していく消耗戦。とはいえ勝てばこれはこれで面白いゲームなわけで、エディのスーパーゴールは最高のご馳走でありました。

これで開幕から3戦負けなしでひとまず首位。
オカに続いて岩下の離脱濃厚は多少不安ではあるが、今週末の川崎戦が実に楽しみである。4月3日のマリノス戦の方もかなり楽しみだったりする。清水のブロックはあんなに俊輔をフリーにはしないでしょ。マリノスが強い強い言われてるうちに対戦したいものである。


てか川崎のパクリすんなよ、パル。

confidence/第2節山形戦

2010-03-14 12:57:33 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10

健太「ヨンセン(記録上は藤本)、岡崎、終わってみれば最後は伊東も3年ぶりに点を取ってくれたということで、最高の結果が出せたんじゃないかと思っている。ただ、後半の戦い方という部分では、まだまだ修正すべき部分があると思っているし、ある時間帯では非常にラインが下がってしまって、なかなか前に押し出していけないような時間帯もあったので、また1週間きちっとトレーニングして、来週の神戸戦に備えていきたい」(J's GOAL 3月13日付

いよいよホーム開幕戦の山形戦
スーツ姿の伸二がスタジアムに入ってくる姿がアストロヴィジョンに映し出されたとき、スタジアムの雰囲気はちょっと言葉には言い表せないような期待感に溢れた。オレもちょっと胸が熱くなった。
とはいえ、ヘリで試合球を投下するとか、それなりの演出はあったものの今年のホーム開幕戦はスタジアム全体もそれほど気負いもなく淡々とした雰囲気が感じられた。すでに開幕戦は消化しているためか、それともここ数年の(期待の)テンションが高すぎたためなのか、モンテサポには悪いが山形戦ということもあるのか…それは、ある意味でチームへの信頼、確信とも言えるかもしれない。まあ、それが今年のキャッチフレーズでもあるconfidenceなわけだ。
こういうときの清水は盤石である。

風が強く、気温も高い。
前半、風上を選択した山形は、明らかに前節の広島のように早い時間に先制点を奪って凌ぎ切ろうというプランだったのだろうが、それにしてもミスが多すぎた(清水のプレスが誘発させたとも言えるが)。そして鹿島から移籍した田代と増田はちょっと驚くほど空気と化していた。やっぱりまだ良くも悪くも古橋のチームだよなあ。
早い時間にフローデの美しく力強いゴールで先制。前半にゲームを決められるシーンは何度かあったとは思うが、終了間際まで追加点は奪えなかったものの、ほとんど危なげない内容だった。やはり伸二がいることで中盤の安定感は相当上がったと感じる。
フィードに対してなかなかフローデにボールが収まらず苦労していた点、淳吾が空回り気味だった点(あれでMVPでは淳吾に対して失礼だろう)、ボスナーと西部(岩下)の連携あたりには不満は残るが、それは序盤ということもあるだろうし、まだ伸びしろの範疇だろう。特にフローデの調子が上がってくれば3トップの安定感はさらに増してくるだろうし、中途半端なカウンターを食らう場面も少なくなってくるはずだ。

オカの今シーズン初得点に加えて、テルの日本平5年ぶりの得点にスタジアムは去年の日本平でのダービー並みの幸福感に包まれた。スカパーで観直してみたら、テルの笑顔は当然として、健太やその他のプレーヤーの笑顔のハッピーなことと言ったらなかった。まあ結果論だけれども2戦連続で途中交代したプレーヤーが得点しているのもいい空気を作っているんだろうと思う。
ホーム開幕戦としては、営業的にも最高の内容・展開になったことは間違いないんじゃないかな。勝ちロコからまだフリーの観客が残っているうちにすぐさま「王者の旗」を歌う演出も珍しく良かったと思う。あ、あと唯一不安だった、例の<オーノシンジ>の新チャントも、ゲームが始まり、伸二がいい動きすれば自然と声も大きくなるわな。

今年の最重要テーマのひとつがスタートダッシュだが、そもそもスタートダッシュというのはいつまでのことを言うのか。4節の川崎戦はひとつの山場だが、やはり7節のガンバ戦をどんな順位で迎えられるのか。それとも中断直前の天敵FC東京戦か。そもそも前半戦、特に序盤のホーム戦はかなり組み易しの、有利な対戦順なのでこれは確実に勝ち点を稼いでおきたい。後半戦、終盤の対戦も確実に勝ち点を稼ぐべき対戦相手だし、最終節はガンバ戦だし、こりゃ優勝争いパターンの組み合わせだよな。個人的には、当面稼ぎが減るから前半戦は関東でのアウエイ戦が多いのも助かるわ……などとマッチデイプログラムに掲載されれたスケジュールを見ながら駅南酒場で呑む。それにしても今日のゲームもしょうもない審判だったなあ、とか。
で、オレもハッピーすぎて呑み過ぎた。ボトルも2本目に突入したところで時間切れ。

我ながらよく東京まで無事(たぶん)に帰れたと思う。

何が楽しかっただよ!大前コノヤロー/第1節広島戦

2010-03-08 19:17:01 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
健太「高校3年から(入って)出た初めての試合……コンサドーレか何かの試合で使ったときは、『全然何もできなかったけど楽しかったです』っていうコメントで(記者笑)、『こいつ、コノヤロー』と思って(笑)。『何が楽しかっただよ!お前コノヤロー』って(記者笑)。『悔しがれ』と思ったんで(笑)。まあ段々それがね、やっぱりやれないことの辛さというかね、悔しさっていうのを覚えてきて、非常に前向きに取り組んできた成果が、キャンプ等を通してね、出たんじゃないかなと」(Sの極み 3月7日付)

土曜日。スカパー!で広島戦
スタートダッシュが至上命令である今季初戦。結果的にはちょっとどうかと思うような審判だったのでアレなのだけれども、よりによっていきなりPK献上。これではキックオフ直後に先制点を叩き込まれた磐田を笑えない(いや、笑ったが)。
それにしても広島の戦い方には呆れた。好戦的な監督は相変わらず強気なコメントを吐いているが、開幕戦とはいえ、ホームで、Jの中でも面白いサッカーをすると言われたチームが、怪しいPKを決めた後はかつての大分のようなサッカーを展開した。さすがにお互い慎重だった前半こそ一進一退だったが後半に入ると清水が押し込む時間が増えた。
しかし同点ゴールすら決まらない。
が、まあ、引き篭もりサッカーも決めきれないサッカーも開幕戦だからと言えないか。他会場の結果も予想通りのロースコアである。
まあ例年通り開幕にピークを合わせ、さらに今回は気の毒な塚本君の件もあり、開幕戦で異次元の魂が入っちゃった大宮は別だったが(それにしても“J1昇格以来初の首位に立った!”とか書いちゃうライターやそんな劇的状況でも開幕戦の動員が10,210人というのはいかがなものか)。
まあ了戒美子のことはどうでもいい。

そしてロスタイム。淳吾のFKを頭で決めたのが元紀だった。
やはり元紀は何か持っているとしか思えない。
そしてオカが台頭してきたのも3年目だった。
今季は、清水での雌伏の刻が無駄ではなかったことを元紀も証明して欲しいものである。
もちろんしょうもない引き篭もりサッカー相手に勝ち点3は欲しかったところだが、メンタル的には勝ちにも等しい。

次は13日、いよいよホーム開幕戦。

順位予想

2010-03-06 11:42:08 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
間もなく2010シーズンもキックオフだが、直前で順位予想。

1位 清水
2位 鹿島
3位 川崎
4位 G大阪
5位 名古屋
6位 C大阪
7位 浦和
8位 広島
9位 FC東京
10位 横浜M

清水は(自分の立場として)別格だけどその下がベタなのは仕方ない。10位以下なら木村監督が辞めるそうなのでマリノスは10位。一昨年の大分、去年の新潟(広島)枠はセレッソ、神戸か。

15位 大宮
16位 新潟 
17位 仙台
18位 山形

大宮はお約束で。2年目の山形はキツいような気がする。2年目だから。大分みたいな真似をしない山形には頑張って欲しいところ。

西部謙司という男/Jリーグ順位予想(清水のみ)

2010-03-04 20:37:05 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
低い低いとは見聞きしていたがサカマガ、サカダイともに悪質な予想はほとんどなかった。名古屋1位とか、予想的に頭が悪すぎるとしか思えないけれども要するにわかんないよね、ということだろう(カリスマ監督に期待とか、昨年9位のチームを単純な足し算で優勝予想するのは記者、ライターとしてどうかと思うが)。

しかし、フタケタはちょっと意味合いが違う。
悪魔の数字、フタケタ。

フタケタというのは清水の上に9とか10以上、上位クラブがあるということである。予想している節穴に願望や希望が入ってるのは明らかだが、近年安定上位にいて、昨年は終盤大崩したとはいえ(“理由”ははっきりしている)、終盤に瞬間的に首位に立ったクラブをフタケタ、である。
節穴の名前を挙げる。

10位
小須田泰二(サカダイ/磐田担当)
奥間翔(サカダイ/湘南担当)
佐藤政志(サカマガ/新潟日報)

専門誌の編集部員のくせにこれには呆れた。
そして、

13位
西部謙司

問題は今年も西部謙司である。
この男、昨年も2ケタ順位にした上に短いコメントは言い訳に終始していた。そして今年も2年連続の2ケタ予想。しかも2年連続13位。どこをどう予想したら10位以下などといういい加減な予想ができるのか。そんなに予想が嫌ならなら断ればいいのである。

そんな西部謙司という逆風の中、果敢にも1位予想して下さった慧眼の持ち主もいる。それが京都の生んだ名選手、水戸ホーリーホックをシブいチームに育てた名伯楽、スカパーではいつも楽しいトークを聞かせてくれる好解説者、前田秀樹様だ。また静岡新聞の宮崎尚顕さんが1位に予想するのは当然として、サカダイの担当者、広島由寛さんがようやく1位予想をしてくれたのは実に喜ばしいことである。

オレの予想は開幕前日。