博徒無情
1969年/日活
監督:斎藤武市
脚本:星川清司
出演:松原智恵子、露口茂、渡哲也、扇ひろ子、奈良岡朋子、平田重四郎、長門裕之、渋沢詩子、近藤宏、高品格
<若い博徒・村次に惚れた加代だが、村次は親分の仇討ちを失敗して入獄してしまう。残された加代は慣れないヤクザの世界で村次の出所を待つが…。東映における任侠映画の成功は、日活の映画製作にも少なからず影響を与えた。そんな中、清純派の松原智恵子を仁侠映画の柱として売り出そうとしたのが『侠花列伝・襲名賭博』と本作である。>
アクションと言いながら松原智恵子の主演だけあってほぼ全編任侠メロドラマ。冒頭から意味不明なほど、猛烈に、かなり一方的に村次(渡哲也)にヒートアップする加代(松原智恵子)。セットの中で繰り広げられるふたりの出会いは、空間こそ濃密なのだが、加代は村次の何に惹かれたのかよくわからない。まあ、メロドラマのフォーリンラブは理屈じゃないですね。
仇の親分(高品格)への襲撃をしくじった村次は間もなく入獄するも、相手方のヤクザの腕を一本斬り落としただけなので刑期は1年半。思えばこの「1年半」という情念の引き鉄の軽さが、ドラマとしてもかなり軽く感じさせてしまうのかもしれない。この1年半の間に出会った男がことごとく傷つき、恩人の息子さえ岡惚れさせて死に至らしめてしまうファムファタール。当然ながら「女だてら」のパートは扇ひろ子に完全委任で、松原智恵子は“ヤクザのバシタ”にはなり切れず、それでも男たちを振り回す無邪気な魔性の女を演じる(そんな演出意図はなかったと思うけれども)。
ファムファタールの誘惑に引き摺られながらも、踏み止まる、これまた運命の男・露口茂が美味しい役どころ。アクションや任侠の爽快感に欠けるメロドラマなのだから、逆に渡哲也が三角関係で嫉妬に身を焦がすような場面があったらもっと良かったのに、とは思う。ただしこの年、渡哲也は主演、助演合わせて年間12本のフル回転だった模様。
1969年/日活
監督:斎藤武市
脚本:星川清司
出演:松原智恵子、露口茂、渡哲也、扇ひろ子、奈良岡朋子、平田重四郎、長門裕之、渋沢詩子、近藤宏、高品格
<若い博徒・村次に惚れた加代だが、村次は親分の仇討ちを失敗して入獄してしまう。残された加代は慣れないヤクザの世界で村次の出所を待つが…。東映における任侠映画の成功は、日活の映画製作にも少なからず影響を与えた。そんな中、清純派の松原智恵子を仁侠映画の柱として売り出そうとしたのが『侠花列伝・襲名賭博』と本作である。>
アクションと言いながら松原智恵子の主演だけあってほぼ全編任侠メロドラマ。冒頭から意味不明なほど、猛烈に、かなり一方的に村次(渡哲也)にヒートアップする加代(松原智恵子)。セットの中で繰り広げられるふたりの出会いは、空間こそ濃密なのだが、加代は村次の何に惹かれたのかよくわからない。まあ、メロドラマのフォーリンラブは理屈じゃないですね。
仇の親分(高品格)への襲撃をしくじった村次は間もなく入獄するも、相手方のヤクザの腕を一本斬り落としただけなので刑期は1年半。思えばこの「1年半」という情念の引き鉄の軽さが、ドラマとしてもかなり軽く感じさせてしまうのかもしれない。この1年半の間に出会った男がことごとく傷つき、恩人の息子さえ岡惚れさせて死に至らしめてしまうファムファタール。当然ながら「女だてら」のパートは扇ひろ子に完全委任で、松原智恵子は“ヤクザのバシタ”にはなり切れず、それでも男たちを振り回す無邪気な魔性の女を演じる(そんな演出意図はなかったと思うけれども)。
ファムファタールの誘惑に引き摺られながらも、踏み止まる、これまた運命の男・露口茂が美味しい役どころ。アクションや任侠の爽快感に欠けるメロドラマなのだから、逆に渡哲也が三角関係で嫉妬に身を焦がすような場面があったらもっと良かったのに、とは思う。ただしこの年、渡哲也は主演、助演合わせて年間12本のフル回転だった模様。
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