増島拓哉の『闇夜の底で踊れ』を読んだ。小説すばる新人賞受賞作。
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主人公伊藤は元やくざの組員で、今はパチンコ依存症。金がなくなればアルバイトして、たね銭をつくってまたパチンコ。パチンコで当たればソープランドへ行く生活。そんななか高級ソープ嬢の詩織に入れあげて闇金で借金。窮地に陥った主人公に救いの手(?)を差し伸べてくれたのは、以前所属していた組の兄貴分山本だった。
なかなかに読ませる作品で、黒川博行ばりの関西弁の軽妙なトーク、テンポよく意外な展開で読み応えあり。著者は19歳の時に著したとのことだが、どんな人生歩んできたの?面白く読める作品で、おススメだ。
以下ネタバレを含むので未読の方は読まないように。
最終盤になって、兄貴分山本と詩織とがグルになって主人公を引き込んだという意外な事実と、伊藤はバイセクシャルで、これを暴露されると激情するという性格が明らかにされる。いやー、そんなからくりがあったのね。