昨年10月に訪れた「ブルガリア・ルーマニア大周遊」の旅行記をホームページに書いていて、現在、ルーマニアのシギショアラの部分にさしかかっています。
ブルガリアもルーマニアもヨーロッパの原風景が残っている国として、自然も文化も、そして、人々も素朴で暖かい!という印象をもって旅行をしたのですが、よく考えると経済がどうなっているのかに思いが到りませんでした。
そんな中で、もう大分前になりますが、朝日新聞にルーマニアの社会問題ともいえる記事が載っていましたので、機会があればその記事をこのブログで紹介したいと考えていました。
この記事が掲載されたのは、今年の1月9日ですから、もう4月前の記事です。
国際面の14面に大きな見出しで「国外出稼ぎ 残る子に影」とあり、その次の中くらいの見出しに「ルーマニア自殺・非行が問題化」という文字が躍っていました。
内容としては、「8年前に欧州連合(EU)に加わったルーマニアで、他国への出稼ぎが急増している。母国への仕送りが家計を豊にする一方で、残された子供たちの自殺や非行といった問題がメディアの報じられ,社会の注目を集めている。」というものです。
そして、記者がブカレストの中心地、低所得者層が多く住む、ラホバ地区の第141小学校を訪ね、校庭の隅の別棟の教室で、ダイアナちゃん(8)という女の子の記事を載せています。
彼女の父親が5年前にフランスに出稼ぎに出て以来、幼かったダイアナちゃんはだれとも口をきかなくなった、というのです。
さらに、次の段落では、「祖父母に預けられた16歳の少年がシンナー吸引で死亡、預け先の叔父に虐待された少女が7歳の弟と路上生活をしているところを警察が保護」といった報道が相次いでいると書いています。
こうした問題は、親がEUの他の加盟国で働くことが出来るようになってから劇的に増えているそうで、昔の日本の東北のような「出稼ぎ」が原因のようです。
その数、国内人口、1900万人に対し250万~350万人ともいわれているそうです。
そして、どんな国に出稼ぎに行っているのかといいますと、「2011年にイタリアで登録されたルーマニア人移民は97万人、スペインでは84万人。」だといいます。
なぜ、この両国に多いのか?「高齢化が進む両国で、言葉が似るルーマニア人労働者の需要が家事や介護の現場で多く、貧しい女性の出稼ぎにつながる。」のです。
簡単にいえば、言葉が似ていて、貧しい!、そして、他国の高齢化が出稼ぎの需要につながっているという話ですが、ルーマニアの貧しさを象徴してるような出来事でコメントのしようがありません。
ちなみに、2011年のブルガリアの一人あたり国内総生産(GDP)はEU平均の49%で、ブルガリア(47%)に次いで低い数字となっています。
でも、出稼ぎは「肯定的側面があることも見落とすべきではない」そうで、その仕送り(送金)が貧しい農村の生活改善に役立っているといいます。
反面、出稼ぎ急増は民主化後深刻な問題となった人口減少を加速させていて、1990年に約2300万人だった人口は2011年(国調)には1904万人になっているといいます。
EUの一員になり、他の加盟国で自由に働く権利を得た07年から移民が激増したと言いますが、子供たちの自殺・非行の多発と経済活動などが低下する人口減少という大きなマイナスをどうのように解決したら良いのでしょうか?
ところで、ブルガリアも同じような問題を抱えているのでしょうか?両国が大好きになった人間として心配しています。
でも、小生にはこのブログやホームページを通じて両国の素晴らしさを伝えて、旅行者が増えること以外に出来ることはなさそうです。
今日の巻頭写真は、ルーマニアの世界遺産・ピエルタンの要塞教会です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます