皆さんは「地方制度」という一見、格調高い言葉を聞いたことがあるでしょうか?
小生は、「紅顔の美少年の頃」ではなく、青春の真っ直中という20代前半の時に、この「地方制度」に関する仕事をしていたことがあります。
といいますと、「嘘」になってしまいますが、この仕事を担当していた国の組織(旧自治省)に在籍していたことがあります。
自治省行政局行政課という組織ですが、憲法が保障している地方自治制度を調査・企画立案するという誠に「大胆な仕事」を担当するところです。
簡単に言いますと、地方制度の現状とあり方を調査研究して、改正すべき点がある場合には地方自治法という法律の改正などを行うのですが、よくよく考えてみますと、このような大事な法案を国会に提出(政府案)しているのですから官僚の権限と責任は、誠に大きいといえます。
また、官僚は、日本で最高学府といわれる東大や京大のようなところを卒業した人が多いのですが、給料を貰いながら自分に与えられた仕事を調査研究するのですから、専門家としての知識も相当なもので、大学の教授くらいの学識を持っている方も多数いると思います。
とは、いいながら小生に言わせれば今の地方制度は、官僚に誠に都合の良い制度になっているように思えてなりません。
第一に、都道府県と市町村という二重構造の制度が必要なのでしょうか?
また、都道府県と国の地方支分局(地方整備局、農政局などの国の省庁別の出先機関です。)も同じような仕事をしています。
そして、都道府県と市町村の仕事も、どのように分担しているのか分からないのではないでしょうか?
現在、道州制度が議論されていますが、国と地方の組織のあり方と事務分担(権限)を明確にして、分かりやすいものにして欲しいものです。
そして、最も重要なことは、こうした地方制度が安定するかどうかの鍵を握る財政制度です。
3割自治という言葉を聞いたことがあると思いますが、小生の推論を述べます。
戦後に地方制度を設計する際に、地方が独立できないような制度を作り上げたのは誰だったのでしょうか?
すなわち、地方に権限と財源を与えてしまうと、困るのは国の各省庁と国会議員だったのではないでしょうか?
明治時代からの中央集権主義の「うま味」を知っていた人達の「陰謀」又は「戦略」だったと思うのです。
下司の勘ぐり?そんなことはないと思いますよ。
地方の役人は、許認可と補助金、交付税制度などに疑問を持ちながらも、仕方なしに頭を下げていた時代がずーーと続いていたのです。
地方にとって重要な財源である借金の制度も問題がありました。
地方が借金する場合は、国の許可を得なさい、というのですから、地方は、まるで国の「子ども」のようです。
それでいながら、国自身は借金漬けなのですから、開いた口が塞がりません。
国民の代表である国会の了解を取っている、という言い訳が聞こえそうですが、それならば、地方も住民の代表である地方議会の了解を取っているということになり、国の許可が必要という理屈は、通用しないことになります。
小泉改革の地方分権一括法で「許可制」から「届出制」に見直されたようですが、起債計画のヒヤリングや財源措置(地方が事前に総務省に届け出をせずに勝手に借金した分は、交付税措置をしない。)を通じて実質的に同じことが行われているといえるのではないでしょうか。
地方自治の本旨を実現すべき総務省ですら、こういう姿勢ですから、官僚は自分達の利益(許認可、補助金などの仕事)を守ることしか頭にないのでは!と思ってしまいました。
ところで、最近は、地方の実状も大きく変わってきました。
知事や市長などの首長に有名人が就任して、勉強していますので、国と地方の関係で何が課題であるかが明らかになってきました。
そのため、その政策や国に対する発言などが多くの国民から支持されるようになりました。
また、それを支える職員も、政策の企画立案やその実行を通じて現場の充実感とでもいうべきものを味わって、国の職員では経験できない「地に着いた実力」を身につけてきました。
このような中で、官僚批判が連日のように報道される厳しい時代ですが、日本もオバマさんがいうところの「チェンジ」の時代に入ったのだと思います。
このことは、地方制度ばかりではなく、日本の行財政制度そのものが変わる時代に入った、という気がしてなりませんが、皆さんはどう感じているでしょうか!
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