今日の朝日新聞をみましたら、海外旅行の事故に関する補償と任意保険の記事がでていました。
皆さんご存じのように今年の7月にはスイスで鉄道事故があり、8月にはアメリカで自動車の事故があり、日本人が死亡したり、負傷したりしています。
また、その前の大きな事故といえば、韓国の射撃場の火災事故ですが、これらの事故で遺族や怪我をされた方々は肉体的にも精神的にも大変なことになっていると思います。
その上に十分な補償がないとすれば、金銭面で大きな負担がのしかかってくるのではないでしょうか?
そのため、私たちは、「もったいかな?」とも思いながらも、旅行会社が斡旋する保険に必ず加入しています。
ところが、この「もったいないかな?」という気持を皆さんが保険に加入しないかたちで実践されていることに驚いてしまいました。
新聞記事によると、任意の保険に加入している方は25%強のようで、4人に1人しか加入していないということなのです。
韓国の事故では一泊二日ということもあって、1人も加入していなかったそうです。
そうなると、事故で負傷して後遺症が残ったりしますと、その後の治療費などが大きくかかりますので、結果的に事故の被害者である旅行者が負担することになるそうです。
小生は、法律の専門家ではありませんから詳しいことはわかりませんが、海外旅行(ツアー)で事故が起こった場合の責任は、誰が負うのでしょうか?
旅行者の立場からすれば、ツアーを企画した旅行会社だと思うのですが、法律的にはそのようにはなっていないようです。
旅行会社からすれば、スイスの鉄道事故を見ればわかりますように、事故を起こしたのは鉄道会社だから、その責任は鉄道会社にあるといいたいのでしょう。
また、アメリカの車の事故の責任ですが、これも現地の会社の責任ということになるようです。
しかし、そうなると事故にあった旅行者(ツアー参加者)は、個人で、しかも海外の会社と交渉をするという話になってしまい、金銭的な賠償(損害賠償)をしてもらうことは、非常に難しいということになってしまいます。
そこで、旅行者としては、旅行会社に責任があるとして、HISさんとツアー参加者で訴訟になっている事例が記事になっていましたが、裁判の結果はどうなるのでしょうか?
なお、旅行業界では、お見舞いという意味合いで、「特別補償」という制度をつくっていて、海外旅行の事故で被害にあった場合には、被害のの程度に応じて一定の金銭を交付しているようです。
実は、この「補償」というのがくせ者だと小生は思うのです。
皆さんは「損失補償」という言葉を聞いたことがありますか?
憲法29条の定め?そうなのです。適法な公権力の行使によって損なわれた特別な犠牲による財産的補償のことを「損失補償」といっているようです。
そして、「特別な犠牲とはなにか」といった法律の専門家の議論があるようですが、ここでのポイントは、「適法な」という文字です。
つまり、海外旅行の特別補償という制度も旅行会社からすれば「我々には責任はない(適法)」といいたいようなのです。
だったら、特別補償するのもおかしい!という意見もあると思いますが会社としても補償という名の見舞金を出すということではないでしょうか?
なお、具体的な補償額については、新聞をご覧ください。
こうした損失補償に対して「損害賠償」という言葉があります。
損害賠償には、皆さんご存知のように民法上「債務不履行に基づく損害賠償」と「不法行為に基づく損害賠償」がありますが、海外旅行の事故は、後者の「不法行為に基づく損害賠償」ということになると思います。
この不法行為は、原則として故意又は過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害することですから、海外旅行でいえば、旅行会社が故意又は過失により事故を起こしたのかという点がポイントになります。
そうなると、外国の運転手が働き過ぎ(過労)であることを承知していたなど何らかの特別な事情がなければ、旅行会社が損害賠償の責任を負うということはなさそうです。
旅行者は、自己防衛するしかないのですが、ここで登場するのが旅行会社が斡旋している海外旅行の任意保険です。
これを小生などは「強制保険」だと思って加入するくらいの気持が大切だと、この新聞記事を読んで思うようになりました。
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