Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

川面のペットボトル

2020年04月04日 06時10分40秒 | エッセイ
自宅近くを流れる川の、きれいに整備された沿道は
格好のウオーキングコースだ。
秋から初春にかけ鳥たちが憩い、さらに4、5月の陽春の日には
亀がずらり並んで甲羅干しをしている。
もちろん釣り人も糸を垂れる。
そんなのどかな中を歩くのは、何とも気持ちが良い。

   そのようなある日、30㍍ほど先の向こう岸に目をやると
   竿をやや長くした網(虫用か魚用かよくわからないが)
   それで何かをすくい上げている男の人がいた。
   「きっと魚だろう」そう思った時
   ペットボトルを詰め込み、はち切れそうになっている
   ビニール袋をハンドルあたりにくくりつけた自転車が
   すぐ側に立ててあるのに気付いた。
   しばらく立ち止まって見ていると
   すくっていたのは川面に漂っているペットボトルだった。
   川をきれいにしようというボランティアなのか。
   それとも、そうやってすくい上げたものを回収業者へ持ち込み
   わずかなお金に換えようというのか。
            
それにしても、なぜこうもジュースやお茶、あるいは飲料水用などの
ペットボトルを無造作と思えるほど川に投げ捨てるのであろうか。
ペットボトルだけではない。
スーパーのレジ袋や総菜類のプラスチック容器なども川辺の道に放置され
挙げ句、風に吹かれて川に落ち漂っている。

   これらはいずれ海へ運ばれていくか、あるいは
   そのまま川底に沈み、泥土の中に埋もれ込んでいく。
   
   プラスチックの原料は石油であり、自然界では容易に分解されない。
   それが地球環境にさまざまな悪影響を及ぼしているのは
   すでに言い尽くされた話である。
   プラスチックごみ問題をどう解決するか。
   これが全世界の課題となっているはずなのに、川面に浮いた
   ペットボトルがその悲しい現実を見せつける。
                   
もう随分前のように思えるが、昨年日本で開催されたラグビーワールドカップには
各国の記者が訪日し大会そのものを報道するだけでなく
街中で拾った日本の情景をレポートし、世界へ発信した。
英国の公共放送BBCの「我々が日本のラグビーW杯を愛する理由」
との特集記事も話題となった一つだ。その中で、こんなふうに言っている。
「他に誰もいず、どちらからも車は来ていないのに
小さな交差点でも信号が青に変わるのを待っている」
「駅のホームに描かれた線に沿ってきちんと並んで乗車を待ち
誰も割り込まないし、列を乱さない」
そんな光景に驚き、「日本人はルールをきちんと守るし
そうすることで日本での生活は心地よいものになる」
などと大変な持ち上げようだった。
開催国ゆえの多少のリップサービスもあったろうが
これほど言われると面映ゆい限りだ。                                                              
    また、また新型コロナウィルスの話になる。
   これ以上の感染拡大を防ぐにはどうすればよいのか。
   「都市封鎖」になりかねない、そんな瀬戸際にあるというのに
   危機感が薄い人もいる。また、政府のやり方に
   不平・不満を言いたくなることも確かにある。
   だが、コロナ退治には国民全員が心を一つにすること
   それが、なにより大事なのではないか。ここでも我慢が求められる。
   世界の人たちは、日本はそんな国・国民だと思っている。