【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

燕/『七人の魔法使い』

2009-04-18 14:48:40 | Weblog
 今朝、燕が飛んでいるのに気がつきました。「ああ、帰ってきたな」と思いましたが、さて、彼らは去年ここから飛び立った燕と同一人物、もとい、同一燕なんでしょうか。もしそうだったらどうやって“ここ”に帰ってこられるんでしょう。帰巣本能? もしそうでないなら、どうやって彼らは日本を住み分けているのでしょう。早い者勝ち?

【ただいま読書中】
七人の魔法使い』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 著、 野口絵美 訳、 佐竹美保 絵、徳間書店、1700円(税別)

 ハワードが学校から帰ってくると、台所にゴロツキがいました。とんでもない巨躯と脳みそなんか詰まってなさそうな小さな頭、操るのは魔法のナイフ。「2000を寄こせ、とアーチャーが言っている」とゴロツキは言います。
 ハワードの父クエンティン・サイクスは作家ですが、13年前に一文字も書けなくなるスランプになった時、友人のマウントジョイと3ヶ月ごとに2000語のタワゴトを書いて送るという約束をしました。とにかくなんでも文字を書けばスランプからの脱出のきっかけになるだろう、という頼りない目論見だったのですが、それが大成功。サイクスは本を次々書けるようになり作家として成功します。ところがこの「2000語のタワゴト」が、町を支配する七人の魔法使いの一人によって何かに使われ、他の魔法使いたちもそのせいで支配され町から出ることができなくなってしまっています。魔法使いたちはサイクスの“秘密”を探ろうとします。しかしサイクスには“身に覚え”がありません。書いているのは文字通りのタワゴトなのですから。しかし、魔法使いたちが町を支配している姿や世界を征服したいという意図を知り、サイクスは筆を折ります(実際にはタイプライターに南京錠をかけます)。サイクスに何とか自分のために「2000語」を書かせようと、魔法使いたちは一家に“攻撃”をしかけます。毎日毎日派手な嫌がらせ。ハワードは、その状況をなんとかしようといろいろ動き始めますが……
 やがて、町が閉じこめられているのは13年ではなくて26年であることがわかります。さらにDWJのいつもの「伏線」が……今回はちょっと変わっていて、誰かが言ったことだけではなくて“言わないこと”までもが伏線として機能しています。謎解きの面白さ、魔法、SF的な趣向、そして家族への(一筋縄ではいかない)思い……DWJのいつもの“面白さ”も健在です。DWJの掌に載せられて、はらはらどきどきのストーリー展開に付き合って、至福の時間をどうぞ。