【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

自分にプレゼント

2010-10-05 19:22:02 | Weblog
誕生日、ということで自分で自分にプレゼントをしました。バッファローのwifiルーターです。使う回線はドコモ。これまで家庭外ではイーモバイルの一番安い端末を使ってモバイル通信をしていたのですが、遅いし使える範囲がドコモやauとは明らかに狭いのが不満で、ちょうど2年使ったから払うお金も少なくてすむ、というタイミングが決断の後押しをしました。まだ設定が済んだ段階なのですが、残念ながらあまり速くなった印象はありません。出張の時新幹線の車内では使いやすくなるかな? イーモバイルだとぶちぶち切れてましたのでちょっと期待。ただ、私のところの家庭内LAN(有線と無線)は任天堂とは相性が悪いもので組んでいるしわざわざセキュリティをWEPに落として使う気がなかったのですが、このルーターを使うとAOSSで簡単にニンテンドーDSがネットに接続できる、のだそうです。子どもが今よりさらに勉強しなくなりそうで、ついでに私もそっちに流れてしまいそうで、コワイな。

【ただいま読書中】『金谷上人行状記 ──ある奇僧の半生』横井金谷 著、 藤森成吉 訳、 平凡社、1965年、2000円(税別)

9月26日に読書日記で書いた『天馬空をゆく』の“原作”です。
あらすじは『天馬空をゆく』と同じなのですが、こちらの口調がとんでもなく面白い。自分のことを「上人さま」と持ち上げているかと思ったら「この上人めが」と突然落とす。ここで述べられている彼の人生がすべて真実かどうか確認のしようはありません(訳者はその努力をして、少なくとも寺や地名はほぼすべて実在することまでは確認しました)が、この口調で勢いよくたたんたんたんとたたみかけられたら、こちらは笑い転げながら降参するしかありません。訳者も楽しんでいるらしく「これはやや眉唾物の気がするが、鬼面人をおどろかすクセのない上人のこと、しばらく原文通りに訳しておこう」とか「そんな田舎者ならぬ現代のわれわれにも結構おもしろい話で、しかも話上手の上人と来ているから、彼らが夢中にならなかったら不思議だろう」とか茶々を入れまくっています(最後の頃になるとずいぶん長文の茶々というか解説もどしどし登場します。思わずいろいろ“語りたく”なる素材なのでしょう)。
真面目な生活をする場合でも不真面目をやる場合でも、上人は一生懸命です。で、結局「大将」になってしまいます。ただその“手下”が、そのへんの子どもたちだったりヤクザだったり、と変化しているだけで、ある意味上人はまったくぶれてはいません。近江から江戸へ、千葉へ行ってまた江戸、一気に長崎、東に戻る途中で妻帯、尾張に長逗留……ろくに金もないのに大旅行を繰り返し、とうとう大峰参りにも山伏として参加。最後は(当時は七月二十四日で山留めと定められていた)富士山登山を八月に。季節としてもきわどいものですが、兵糧はにぎりめしだけで、水筒さえ持たない無謀さです。
本書の特徴は、訳者が解説に書いた「波瀾万丈、滑稽百出、洒落楽天、天衣無縫」で言い尽くされているでしょう。惜しいのは、本書では字が多くて絵がほとんどないこと。まだ『天馬空をゆく』の方がはるかに著者の描いた絵が多く掲載されていますが、この絵が一々味があります。イラストっぽい水墨画。まあ、お暇のある方は是非ご一読を。読んで損はしません。



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