【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

ネールアート

2010-10-16 17:59:22 | Weblog
私が子ども時代にはマニキュアでも派手に見えましたが、今はネールアートの時代のようです。ところであれをやり過ぎた場合、仕事は(力仕事でなくて、事務や接客などでも)難しくなるでしょうし、トイレでちゃんと手を洗っているのかも気になります。気にしすぎ?

【ただいま読書中】『魔法の指輪 ──ルイスと魔法使い協会』ジョン・ベレアーズ 著、 三辺律子 訳、 アーティストハウス、2001年、1600円(税別)

「ルイスと魔法使い協会」三作目です。ルイスがニュー・ゼベダイにやって来てからはや2年。ローズ・リタと親友になって1年。ルイスはもう12歳ですし、ローズ・リタは13歳。なんとティーンエージャーです。ローズ・リタは「男の子になりたい」「ずっと子どもでいたい」と願っています。思春期になったからでしょう、その願いはますます強くなっています。しかしルイスは「ふつうの男の子になりたい」と願い、この夏休みはずっとボーイ・スカウトのキャンプに行くことにしました。ローズ・リタは怒り悲しみます。どうして一緒に遊んでいるのでは駄目なの? ツィマーマン夫人は変わった従兄弟オレーから農場と「魔法の指輪を発見した」と書いてある変わった手紙を遺産として贈られ、ローズ・リタを誘います。一緒に農場を見に行こう、と。
この第1章で、私は自分の思春期直前のことをまざまざと思い出します。自分や友人たちが変わっていくことへのとまどいもありましたが、異性の人間が劇的に変化するのはある意味期待とともに恐怖体験に近いものでもありましたっけ。
そうそう、ツィマーマン夫人は1950年型の新車プリマスを買っています。「ガソリンの配給制度がなくなって」というセリフも登場します。そうそう、このシリーズは1948年に始まったんでしたね。
オレーの農場の手前、食料品店の女主人ガーティの様子は変でした。明らかに常軌を逸しています。そして農場は、荒らされ、指輪は盗まれていました。
農場を後にしたツィマーマン夫人とローズ・リタは、ミシガン州をのんびり旅して回ります。しかし、不思議な出来事が二人を待っていました(あるいは追いかけてきました)。何かが起きようとしています。でも、何が? 誰が? なぜ? どうやって? 確実なのは、狙われているのはツィマーマン夫人だということだけです。
そして、ツィマーマン夫人は魔法で姿を消されてしまいます。家から300マイル離れたところで、ローズ・リタはひとりぼっち。疲れと空腹と寂しさと怯えから思わず泣いてしまうローズ・リタですが、泣いちゃだめ、行動するしかないのよ、と自分に言いきかせます。たとえ自分にできることがなにもなかったとしても。
動いた結果ローズ・リタはガーティが悪い魔女であることを知ります。ことの張本人はガーティではないかと目星をつきます。ただしそれは半分正解でした。指輪はなんと「○○○○の指輪」だったのです。そして……
ただ……「悪い魔女」と簡単に言いますが、彼女は彼女で“背景”を持っています。思春期に好きだった子をフローレンス(ツィマーマン夫人の若き頃)に取られ、やっと結婚した相手は暴力亭主。この世に不満と恨みだけを抱いての人生だったのです。だったら彼女が若さと幸福を望むのは無理がないとこちらは思わず同情したくなります。ただ、その手段が悪いのは許せませんが。
不思議なファンタジーです。男と女の友情をベースに、人の成長や人生について、ちっともお説教口調にならずさりげなく“真実”をちらりちらりと見せてくれます。この本を読んだ子どもには、「人生の魔法」がうまくかかるかもしれません。


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