【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

抜くに抜けず

2011-03-15 18:54:35 | Weblog

 すぐ目の前をパトカーが走っていました。ふだんからエコ運転を心がけているのでのんびりとついていきましたが、面白かったのは自動車専用道路に入ってから。パトカーに続いて左側車線を制限速度内で走っていると、右側車線を後ろからヒュンとやって来た車がいます。「おや、抜くのかな」と思っているとさすがにパトカーに気がついて、私の車の横で減速、そのままの勢いでパトカーの隣に並んで併走となってしまいました。
 その道は制限速度が時速60km。パトカーは50kmくらいで走っています。たぶん60kmで走ったら抜いた瞬間スピード違反ですから、50を60で抜いてもらおうという“親心”かな、と思います。で、10kmの速度差でもじわじわ前に出ることはできますから、パトカーの視野の外に出たらそこで加速すれば、ということかな、と。ところが右側車線の車はなぜか50kmでぴったり併走を続けるものですから、いつのまにか二列縦隊がぎっしりと。途中で私は左に逸れて一般道に降りたので後のことは知りませんが、どこまであの二列縦隊は進行していったのでしょうねえ。

【ただいま読書中】『ハイウェイ惑星』石原藤夫 著、 ハヤカワ文庫JA55、1975年、280円

 懐かしい本を書庫から引っ張り出してみました。
 進化の過程で「車輪」を発生させた生物が繁栄するとしたら、それはその惑星にどのような条件が揃っている場合か、という発想の「ハイウェイ惑星」。幅3kmの道路が緯度経度に沿って縦横に星を包み込んでいる惑星「ネット」に調査に出かけた、惑星開発コンサルタント社のヒノとシオダ。道路を建造した種族は3000万年前に滅亡していましたが、道路は自己修復機能を持っていて今でも使える状態です。そしてそこには、驚くべき「車輪生物」が繁栄していました。
 奇天烈な発想をベースに、ダーウィンの進化論を“おもちゃ”にして仕上げた作品です。もちろん「無理」はあちこちにあるのですが、あまりうるさいことを言わずに雰囲気を楽しみましょう。
 人工知能による完璧な安定性を実現した「安定惑星」では人工知能の限界が。「重力遮断怪獣グラヴィゴン」が暴れまくる「空洞惑星」では重力について。知的生物が分裂や出芽で増えているかのように見える「バイナリー惑星」では当然生物学。「イリュージョン惑星」では相対性理論が扱われますがここで大問題になるのは「ローレンツ短縮が光学的にどのように撮影されるか」です。

 次々変わった惑星が登場して読者を楽しませてくれますが、本書の特徴は主人公が「サラリーマン」であることでしょう。上役の悪口を言い与えられた機材などの愚痴をこぼしながら、ヒノとシオダは惑星開発のための調査を「日常的なお仕事」としてこなしているのです。この辺の「日常」と奇妙奇天烈な惑星(と宇宙人)、およびその背景として語られる「学術」のギャップがたまりません。