【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

東西のインド

2016-03-01 06:36:13 | Weblog

 イギリスやオランダが「東インド会社」を作っていたことは世界史で習いました。ところで「東」があるのだったら「西」もあるはずですよね。どこにあったか覚えています? インドの西部? いいえ。ヒントは「西インド諸島」です。

【ただいま読書中】『宇宙食 ──人間は宇宙で何を食べてきたのか』田島眞 著、 共立出版、2015年、1600円(税別)

 宇宙で初めて食事をしたのは、アメリカ人でした。はじめは「無重力(正確には微少重力)環境で人はものが飲み込めるのか、が大問題となり、飲み込みやすそうな錠剤やチューブ入りの「宇宙食」が開発されました。しかし、宇宙空間でもちゃんと飲食ができることがわかり、本格的な宇宙食が開発されるようになります。当時の最新技術である、フリーズドライやレトルトといった技術をNASAは積極的に取り入れました。さらに品質管理のために「HACCP」(危害分析重要管理点)を作り出します。それまで食品の管理は、出来上がったものからいくらかサンプルをとってそれを検査して品質や衛生状態等を評価していました。しかしHACCPは製造工程からきっちり管理して安全を確保するやり方です。
 宇宙食に求められる条件はさまざまです。形態は、無重力で飲食できるように、欠片が飛び散らない・適度な粘度・一口サイズ、などが求められます。栄養や味付けにも、宇宙空間特有の条件があります。宇宙では味覚が鈍くなって強い味付けが好まれるのですが、NASAでは健康のためにこれからは「減塩」の方向だそうです。
 ISSには各国の宇宙飛行士が滞在していますから、各国の宇宙食もあります。ロシア・中国・フランス・イタリア・カナダ、そして、日本。日本宇宙食では、カゴメのケチャップ・日清食品のラーメン・ハウスのレトルトカレーなどおなじみの食品が並んでいてなんだかほっとします。
 宇宙食を地上へ、という動きもあります。災害用の非常食・介護食・機能性食品などとの共通性が多いため、応用が利くのではないか、というのです。
 未来の宇宙食の話も楽しいものです。とりあえず火星探査では、宇宙食は3年の賞味期限が必要です。瓶詰めや缶詰では簡単にクリアできますが、缶詰だけ食べるのは味気ない。そこで、3Dプリンタによる“調理”とか、野菜栽培とかのアイデアが出されています。私は火星飛行は無理ですが、地上でそういった「宇宙食」を食べるチャンスがあるなら、ぴょんと飛びつきたい気分です。