フクシマの核汚染水を海洋放出する、と政府は頑張っていますが、、これってもったいない態度じゃないです? だってトリチウムは核融合のための貴重な資源でしょ。せっせと集めて有効利用したらどうでしょう。たしか水を電気分解したら濃縮できたのではなかったかな? ならばそのために専用の原発を運転したらどうです?
【ただいま読書中】『環境にお金を払う仕組み ──PES(生態系サービスへの支払い)が分かる本』柴田晋吾 著、 大学教育出版、2200円(税別)
資本主義の世界では「価値」は「値段が付くかどうか」で決まります。しかし世の中には「金に換算しづらい価値」もございます。
「環境」について「生態系サービス」は4つのタイプに区分されています。「供給サービス」は食料・淡水・木材・燃料など「売れるもの」なので分かりやすい。「調整サービス」は、森林の防災機能・洪水防止・気候制御・炭素固定・水質浄化など、重要であることは分かるけど値段はつけにくいものばかり。「文化的サービス」は、レクリエーション・教育などで、こちらはいくらな値段がつけやすそうです。そして、これらの3つのサービスの基礎に「基盤サービス」があります。これは、栄養循環・土壌形成・種の保全・生息地の保全などで、今の経済中心の世界では値段はつけられない(=無価値と見なされる)ものばかりです。でも、これが破壊されたら、人類は生存不可能になるんですけどね。
昨日の『錆びた太陽』ではゾンビに課税するなんて驚愕のアイデアがもてあそばれていましたが、こちらの「環境に課金をする」も実際にはなかなか難しそうです。しかし、必要でしょう。
本書では各国の取り組みが次々紹介されますが、私にはわかりにくい書き方でした。ある程度この話に詳しい人には説明は不要の事実も、初めてこういった概念に出くわした人間には「そもそも」が必要なのです。そもそもなんでこんな話が始まったのか、そもそもどこで誰が始めたのか、そういった歴史を概観する話から始めてもらえたらもっと分かりやすくなっていたのではないかな。各論については読み込めばとりあえず分かりますけれどね。
アマゾンの熱帯雨林の「開発」を見ても分かりますが、「供給サービス」に偏してしまうと「調整」「文化」は後回しとなり、「基盤サービス」は徹底的に破壊されてしまいます。環境を破壊したら金儲けができる社会システムをそのまま保存して「自然保護」を訴えても、金が欲しい人には通用しないでしょう。環境を破壊しなければ金儲けになる社会通念を確立してそれをベースに社会システムを作らないと、将来の人類の運命は暗い、なんて暗いことを思ってしまいました。