俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

ロゴス

2008-12-09 13:49:54 | Weblog
 「初めにロゴスありき。ロゴスは神と共にありき。ロゴスは神なりき。」(新約聖書「ヨハネによる福音書」より)
 日本語の聖書ではロゴスは「言葉」と訳されている。私は昔からこの訳語に不満を持っていた。言葉は表現のためには非常に不便な道具だ。オーロラを言葉で表現するのが不可能なように、思想を言葉で伝えることは難しい。相手が同等のレベルに達していなければ言葉は伝わらない。
 言葉に神秘的な力を認めて言葉を神のように崇め奉るのは嘘つきの詩人と、同じく嘘つきの宗教家だけだ。
 新しい思想にはそれに該当する言葉が無いからそれを表現することは困難だ。言葉として存在するのは既に共通認識となった概念だけだ。例えば赤外線を知覚することができる人がいてもその色を伝達することはできない。せいぜい「赤外線色」と一人で名付けるぐらいしかできず、言葉としての意味を持たない。
 ところで「初めにロゴスありき」に対してニーチェはこんな見事なパロディを何かに書いていた。ロゴスに「無意味」を充てて「初めに無意味ありき。無意味は神と共にありき。無意味は神なりき。」
 私はもう少し真面目に「理(ことわり)」を充てたい。古典ギリシャ語辞典には「論理、真理」という訳語が充てられており「論理」と訳する人もいるが、論理は人工的な約束事だ。論理以前の「法則」や「超越的なルール」と捕らえたほうが良いと思う。
 何らかの「法則」が見つけられて、それに基づいて世界は秩序付けられた。原始状態においては混沌であった世界が何らかの秩序を持つことによって意思の疎通が可能となり、人間の大規模な共同生活も可能になったのだろう。

保険

2008-12-09 13:32:22 | Weblog
 保険は加入者の大半が損をする仕組みだ。もしそうでなければ保険会社の経営は成り立たない。加入者はそれを承知で、万一を考えて加入する。
 航空保険を考えれば分かり易い。大半の人は無事に飛行を終える。保険金は掛け捨てにされる。それでも多くの人が保険に加入するのは最悪を想定して、そのデメリットを軽減しようとするからだ。
 健康保険も同じことだ。大半の人が損をする。私事だが、私は毎月約20,000円を会社の健康保険組合に支払っているが殆ど掛け捨ての状態だ。ヘビースモーカーかつヘビードリンカーではあるが、水泳の効能か、2年に1度くらい歯科で治療を受ける以外、全く医療機関を利用することは無い。(今年だけは例外だ。肺ガン疑惑のせいで3度も無駄に精密検査を受けさせられたから。)
 では誰が得をするのか。病弱な人や慢性病に苦しむ人だ。弱者の生活を守るために医療保険制度があると言っても間違いではなかろう。
 この相互扶助という機能を考慮せず、医療保険金を自らの意思で滞納しておいて、いざ自分や子供が病気になったら「医療費が高い」と文句を言うのは卑怯だ。これは航空保険に加入せずに事故に会った人の遺族が、加入してもいない保険会社に支払いを求めるようなものだ。
 日本国民は健康保険に加入することが義務付けられている。義務を果たさない者に権利がある筈が無い。こんな理不尽な連中を甘やかすべきではない。
 アメリカには日本のような医療の国民皆保険制度は無い。このことをマスコミは医療制度の遅れとして報じ勝ちだが、無保険者を甘やかすような現状ではむしろ任意保険制度のほうが公平だろう。大半の保険加入者が必要以上に負担している制度にタダ乗りしようとするような特権者を認めるべきではない。

外国人労働者

2008-12-09 13:12:46 | Weblog
 景気が悪化しているために最近では余り聞かれないが、一時期「人口が減少するから国力を維持するために外国人労働者を受け入れるべきだ」という主張があった。実際にブラジルから日系二世や三世を単純労働者として、フィリピン人を介護士や看護士として受け入れたりした。
 今では外国人を受け入れることより日本人の雇用確保のほうが優先されている。では外国人労働者はどうなったか。マスコミは余り伝えないが、多くは使い捨てにされて帰国しただろう。
 外国人は奴隷なのだろうか。日本人が働きたがらない3K(きつい・汚い・危険)の職場で低賃金で働かされ、景気が悪化したら真っ先に切り捨てられる。日本人は外国人には人権を認めないのだろうか。こんな国に働きに来るのは犯罪によってボロ儲けを企む者だけになってしまうだろう。