俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

天球

2008-12-27 14:21:55 | Weblog
 天球は実は球形ではなくドーム型ではないかと思っている。つまり真上が最も近く地平線に近づくにつれて遠くなっている。
 このことを知人に話しても納得してもらえなかった。しかし実際に空を見てからやっと同意してくれた。多分「真っ赤な太陽」と同様、思い込みがあるために感じたとおりには意識されないのだろう。
 人間の感覚がこうなっているのなら、私の長年の疑問も氷解する。私はなぜ地平線近くの月が大きく見えるのか疑問に思っていた。
 脳は勝手に(意識せずに)知覚を補正する。同じ大きさに見えるものでも遠くにあるものは大きく、近くにあるものは小さく補正される。
 月の見た目の大きさが実際には同じでも、近く感じる上空にある時は小さく、遠く感じる地表近くにある時には大きいと脳が補正するから、地平線近くの月は大きく見えるのではないだろうか。

不況時の増税

2008-12-27 14:05:59 | Weblog
 不況時に増税を検討する馬鹿な国は日本政府だけだろう。英国では付加価値税が減税されているのに何を考えているのかと思う。
 企業からの法人税が減り、個人からの所得税が減れば国としての収入が足りなくなる。収入不足を補うためには増税が必要だという理屈は無茶苦茶だ。
 増税すれば国民の生活費は減少する。国民の生活を悪化させてでも国の財政を改善しようとするのはまるで時代劇の悪代官のようだ。
 国家というリヴァイアサンはその構成員である国民を犠牲にしてでも自己増殖を図ろうとする。本来、国民のためにあるべき国家が、国民の利益を蔑ろにして国の繁栄を図ろうとする。
 私はアナーキストではないが、こんな国家なら無いほうがマシだ。
 警察・消防・国防の3つを私は最低限必要な「官」だと考えている。しかしこの3者でさえ暴走すれば「悪」になる。太平洋戦争は国防が暴走して国を破綻に導いた。警察が暴走すれば警察国家になる。
 必ずしも必要とは思えない「官」は国民の利益を無視して自己増殖を図る。「官は無制限・無制約に肥大しようとする」と誰かが言ったが至言だろう。
 麻生首相が言うように100年に一度の経済危機なら100年に一度の経済対策が必要だろう。但しそれは増税ではなく減税だ。国民の生活を守ることが優先課題であり国が「焼け太り」するような政策を採るべきではない。

オードリー・ヘップバーン

2008-12-27 13:50:00 | Weblog
 書店で「スクリーン」の2月号(実質的に「新年号」)を見て驚いた。オードリー・ヘップバーンの特集が組まれていたからだ。80年前に生まれて既に亡くなった女優が新年号で特集記事になるのは今なお彼女が日本で最も愛されている外人女優だからだろう。また日本人の「女性美」を徹底的に歪めた張本人も彼女だろう。
 スリムな体、長い手足、小さな頭、英国貴族の末裔としての知的で高貴な顔立ち、現代日本人の美の理想は彼女に集約される。
 彼女と同時代にはエリザベス・テーラーやマリリン・モンローのような肉感的な美人女優もいた。しかし日本人は肉感的な美女よりもヘップバーンを愛した。これは日本人が昔から「出っ尻・鳩胸」を嫌っていたからでもあろう。「出っ尻・鳩胸」のグラマー女優よりも鉛筆のようなヘップバーンを美しいと感じるほうが従来の美意識の延長としては当然だろう。
 グラマラスな美女はそれまで淡白な和食に慣れ親しんだ日本人にいきなり血の匂いのするステーキを食べさせようとするようなもので、日本人には馴染めなかったのだろう。しかしその後、日本人にも「オッパイ大好き」の男が増えている。
 美はかなり主観的なものだ。今後、日本人の女性美観がどんな方向に向かうのかヤジ馬的な関心を持っている。