俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

平泳ぎ

2011-08-05 14:21:59 | Weblog
 先日の世界水泳での200m平泳ぎで北島選手は2位に終わった。最後の50mで追い抜かれたことについて解説者は「スタミナ切れ」と言っていたが何を見ているのかと言いたい。
 北島選手が失速した原因はラスト25mでピッチを上げたことにある。北島選手の持ち味は大きくゆったりとしたストロークだ。素早く掻き素早く蹴ってあとは最小限の抵抗にして滑るように進むのが彼の泳法だ。
 平泳ぎは推進力も抵抗も大きい泳法だ。推進力を強めようとしてストローク数を増やせば体が立ち上がってしまうので抵抗が増えて却って遅くなる。
 走る場合、ピッチを上げれば速度は増す。それは距離=歩幅×歩数だからだ。しかもスピードが上がれば歩幅も広がる。
 平泳ぎではこの数式は通用しない。確かに距離=1掻き当たりの距離×ストローク数という式は成立する。しかし1掻き当たりの距離はピッチを上げれば上げるほど短くなる。
 クロールや背泳のような抵抗の少ない泳法ではさほど顕著ではないが、平泳ぎの場合は掻くために体を起こすことが抵抗増に直結するのでピッチを上げても速度が上がるとは限らない。
 陸上生活に慣れて抵抗の少ない空気の中で生きている人間は水の抵抗を軽視し勝ちだ。北島選手のような超一流のアスリートでさえ焦ったらピッチを上げてしまうほどだ。頑張ってピッチを上げれば却って遅くなるということが平泳ぎの皮肉な現実だ。

所得制限

2011-08-05 14:05:55 | Weblog
 民主党・自民党・公明党による協議は子ども手当ての対象を年収960万円程度未満とすることで合意した。当然のことだ。年収300万円の人から徴収した税金を年収1000万円以上の人の子ども手当に使うなど全く理不尽なことだ。本来弱者の味方である筈の民主党がこの件に関しては金持ち優遇策を採って来た。
 なぜ民主党は所得制限を認めなかったのか。「社会で子供を育てる」という理念からだろうか。
 実際のところは、大きな支持母体である組合幹部に阿ていたからだろう。大企業の組合幹部の給料は1000万円を超えているからだ。
 私の元勤務先もそうだった。組合員である係長の給与は毎年上がるが、組合員でない課長の給料は据え置かれ続けた。その結果、ベテラン係長や組合幹部の給料は大半の課長よりも高給だった。
 係長という立場は便利だ。たとえ高給取りであろうとも中間管理職ではなく末端労働者として発言できる。ノブレス・オブリージュ(高貴な者の負担)など無視できる。そんな強欲な組合幹部の意向に基づいて所得制限の無い子ども手当てという妙な制度になっていたのだろう。自民党は金持ちの味方だと言われるが、民主党は金持ちの大企業労組幹部の味方だ。

実績

2011-08-05 13:51:09 | Weblog
 先日真田山プールで、係員から注意された男が逆切れして喚いていた。「昨日は何も言わなかったのになぜ今日は文句を言うんだ!」係員は結局ルール違反を黙認した。これでこの男はルール違反のお墨付きを得、今後ずっとルール違反を繰り返すだろう。こうしてルールは済し崩しにされる。
 係員が何と言おうとこの男は「昨日は許されていたのになぜ今日はダメなんだ」と馬鹿の1つ覚えのように繰り返していた。日本人は妙にこの屁理屈に弱い。もし西洋人や中国人ならはっきりとこう言うだろう。「我々は昨日のことについて云々するつもりは毛頭無い。今貴方がやっていることがルール違反だと言っているだけだ。ルールに従うか速やかに退出するかどちらかを選びなさい。これは最終通告です。」
 このゴネ男の理屈が理不尽であることは明らかだ。3分前からルール違反を繰り返していて注意されたら「なぜ3分前に注意しなかったんだ」とゴネているのと同じことだ。係員は断固たる態度を取るべきだ。
 テキ屋も同じ理屈を使う。彼らは「これまでずっとこうだった」と問題を過去での対応へと転嫁する。人間は過去を反省することはできるが改めることはできないことに付け込んだ詭弁だ。彼らの土俵には乗らず、あくまで現在の問題として解決を図るべきだ。合意したことならともかく合意していないことまで過去に囚われる必要は無い。今、改めれば済むことだ。