俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

フクシマ

2011-08-30 14:28:26 | Weblog
 ベルギーで活躍するゴールキーパーの川島選手が相手チームのサポーターから「フクシマ」とヤジられたそうだ。
 どういう意味なのかしばらく理解できなかったがどうやら「外国の技術を猿真似して原発を作ったもののそれを使い熟せずに大事故を起こして世界中に放射能をバラ撒いている愚かな日本人」という意味らしい。
 一理あるだけに耳が痛い。経済大国ではなく技術大国として存在感を高めようとしていた日本にとっては大きな痛手だ。
 ところで中国での高速鉄道事故に複雑な思いを持った人もいたのではないだろうか。日本からの技術支援を受けながらアメリカなどで特許取得を働き掛けていた中国の厚顔無恥ぶりに怒っていた人は少なくなかろう。
 実は私自身も事故の直後に「中国の高速鉄道は中国の独自技術だった。もし日本の技術をそのまま採り入れていたらこんな事故は起こらなかった筈だ」と友人に話していた。
 今回の原発事故は技術大国日本の威信を大いに傷付けた。東電が風評被害に責任を負うべきなら、家電メーカーなどを含む全輸出企業に対しても賠償すべきだろう。

地震列島

2011-08-30 14:12:34 | Weblog
 23日に米国東部では67年ぶりにM(マグニチュード)5.8の地震が起こった。これよりも大きい地震は1897年のм5.9まで遡らなければならないとのことだ。м9.0の地震に見舞われた日本人としては米国東部の地震の少なさが羨ましい。1900年以降に狭い東京(江戸)で震度5以上を記録したм6以上の地震だけでも10回以上あり、その前の50年間には8回以上記録されている。
 震度5以上の地震は1970年から2000年までの間に、日本では3,954回起こっている。一方、米国全土では322回、ドイツとフランスでは2回、イギリスでは何と一回も追っていない。米国での地震は大部分が西側つまり太平洋岸に偏っている。
 陸地面積の僅か0.25%を占めるに過ぎない日本列島では大噴火の1割、大地震の2割が発生している。日本列島は実は世界でも有数の危険地域なのだ。
 異常なまでの地震頻発地である日本を他の地域と同一視すべきではない。建物の耐震強度基準が厳しいのは当然だ。これをグローバルスタンダードに合わせて甘くすれば毎年多数のビルが倒壊することになるだろう。福島第一原発も米国の東海岸にあれば充分安全な原発だろう。砂漠に畑を作るべきではないように、日本に原発と超高層ビルを作るべきではない。

情報隠蔽

2011-08-30 13:56:14 | Weblog
 放射性物質は3月12日から15日に掛けて大量に放出されていたらしい。この期間、放出量も汚染量も隠蔽されていたし、緊急時迅速放射能影響予測システムのSPEEDIのデータが公表されたのはピーク時を遥かに過ぎた23日だった。このシステムはその間、政府だけが独占的に利用していた。
 政府が環境放射能数値を公表したのは15日の夕刻になってからだった。それもお馴染みの枝野官房長官による会見ではなく、こっそりと文部科学省のホームページ内で公開していた。これは国民に周知させることが目的ではなく「隠さなかった」というアリバイ作りのためだろう。
 緊急避難のヤマ場は12日から15日だった。しかし政府は12日の午後6時25分に20㎞圏に避難指示を出した後しばらく放置し、何と1ヶ月近く経った4月11日になってから原発の西北部の地域を計画的避難区域に指定した。この計画的避難区域という言葉は「避難指示漏れ区域」と理解すべきだろう。避難指示区域よりも汚染度が高いにも関わらず政府が情報を隠蔽したために避難指示が出されなかった地域だ。
 これは人災ではなく菅災だ。菅内閣が情報を隠蔽したために起こった人為的な被災だ。もしこの地域で今後、障害や病気が有意に増加した場合には菅元総理大臣を刑事被告人とすべきだろう。情報隠蔽の罪は計り知れないほど重い。