俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

潮岬

2011-08-16 14:35:22 | Weblog
 この夏、近畿地方で最も涼しいのは潮岬だ。本州最南端の潮岬が最も涼しい。近畿の各地で37℃を記録しても潮岬だけはせいぜい31℃だ。
 こんな奇妙なことが起こるのは三方を海に囲まれた潮岬が海洋性気候になっているからだ。水は温まりにくく冷めにくい。夏の水辺は「涼しそう」なだけではなく実際に涼しい。海水温が30℃を超えることは殆んどないし、0℃以下になることは絶対にない。そのため潮岬は夏涼しく、冬暖かいという理想的な気温になる。沖縄の夏も涼しい。せいぜい33℃ぐらいまでしか上がらない。
 夏暑いのは内陸部だ。東の熊谷と西の枚方は東西の猛暑都市として名高く、どちらも内陸にある。
 だからと言って潮岬が住み易いという訳ではない。かつてウォーターフロントがブームになった時に海辺に転居した知人がいた。彼は軽率だったと悔やんでいた。海辺住まいには大きな問題がある。塩害のために自動車も家電もすぐに傷む。鉄製品は錆びるし洗濯物は塩臭くなるそうだ。
 涼しい海辺での生活はパラダイスではない。気温だけで住居を選べば酷い目に会いかねない。

所得格差

2011-08-16 14:22:39 | Weblog
 経済成長をしていれば働く場所は幾らでもある。企業はオフィスや工場や店舗を増やし続けるから常に求人中の状態になる。求人難なら雇用条件は上昇する。職を失ってもすぐに新しい職を見つけられる。
 オフィスなどの法人需要と労働者の個人需要があれば都市の土地の価格も上がる。こうして賃金も資産も上昇した。
 不況になると状況は一変する。企業はオフィスも工場も店舗も削減しようとする。人余りになれば雇用条件は悪化する。これが土地余りを招けば地価も下落する。
 かつて1億総中流と言われた時代があった。この時の所得階層は独楽(コマ)型だったと思われる。つまり中流が極端に厚く、上流や下流は独楽の軸のような少数者だった。普通のピラミッド型とは全然違う世にも稀な社会だ。こんな格差の無い社会を経験していると正常と思えるピラミッド型でさえ社会問題になる。
 良い悪いは別にしてアメリカなどのような所得階層のピラミッド型が普通なのではないだろうか。独楽型は経済成長が生んだ奇跡であり、中国のような富士の裾野型にさえならなければ容認されるべきだろう。

ダイオキシン

2011-08-16 14:04:52 | Weblog
 ダイオキシン類対策特別措置法は稀に見る悪法だ。悪法と言うよりも、危機を煽るマスコミと世論に迎合する無知な政治家が作った天下の愚法だろう。
 もともとはプラスチックゴミの焼却時に発生する有毒ガスが問題だった。ところがいつの間にかガスの成分の一部に過ぎないダイオキシンだけがクローズアップされた。なぜ有毒ガス問題がダイオキシン問題に摩り替えられたのかは全く不可解だ。そして家庭や学校のゴミ焼却炉や焚き火までもダイオキシンを出すとして問題視されるようになった。そのうちゴミ焼却炉に近い所沢市の野菜(実は茶葉だった)がダイオキシンに汚染されているとニュースステーションが報じて大騒ぎとなった。こんな騒動の中でダイオキシン類対策特別措置法が制定された。
 現在ではダイオキシンの有毒性は低いとされている。科学ではなく偏見に基づいて作られた無意味な法律だ。家庭でゴミを燃やせなくなったので自治体が回収するゴミは大幅に増えた。庭の落ち葉までゴミとして回収するようになったからだ。
 もしダイオキシンが本当に危険なら、かつてのイギリスの煙突掃除夫のように焼き鳥屋や蒲焼屋で職業病が発生していた筈だ。焚き火や焼き鳥で発生するダイオキシンがもしサリンの数百倍も有毒なら人類はとっくに死滅していただろう。ダイオキシンと比べれば自動車の排気ガスのほうがずっと有害だ。
 日本憲政史上に残る集団ヒステリーが生んだ愚法はいつになったら廃止されるのだろうか。このまま放置すれば「平成の生類憐みの令」として将来、揶揄されることになるだろう。