俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

不平等

2012-01-03 16:54:08 | Weblog
 サラリーマンだった頃は、電車は男の乗り物だと思っていた。通勤時間帯での利用者は7割から8割が男だったからだ。
 退職してから様々な時間帯に電車を利用するようになってから、男よりも女の利用者のほうが多いと気付いた。考えてみれば当たり前のことだ。男の大部分は職場に拘禁されている。外出する男は外回りの営業職が大半だろう。自動車の利用率も高い。そういう状況だから女性優遇策は理に適っている。女性専用車を作って女性に迎合するのは当然のことだ。
 女性専用車は便利な位置に設けられている。男性に対しては「中央付近の不便な位置に女性専用車を設けている」と言い訳をするがそれは嘘だ。もしそうなら女性が黙っている筈が無い。私はJRの天王寺、梅田、鶴橋、難波の駅を比較的多く利用するが、いつも女性専用車の隣の車両に乗る。最前列や最後尾の車両が便利な訳ではないし、追突や衝突事故が起こった場合は最も危険だ。女性専用車は改札や乗り換えのためには便利な位置にあることが多い。
 ショッピングセンターのトイレも不平等だ。女性用トイレのほうが圧倒的に多く機能的にも優れている。これも妥当だ。客の数は女性のほうが多く、トイレの使用頻度も高いからだ。
 平等にすることは必ずしも正しくない。不平等にすることによって多数者を喜ばせることができるという事実を見逃すべきではない。大半の道具は多数者である右利き用に作られている。

三権分立

2012-01-03 16:40:47 | Weblog
 三権分立は政治の暴走を防ぐための優れたセイフティネットだ。立法・行政・司法がお互いに牽制し合うことによって権力が分散されて独裁が起こらない仕組みになっている。
 政権交代直後の民主党は三権分立のメカニズムを理解していなかったようだ。「政治主導」をスローガンにして党主導を狙い過ぎた。丁度、官僚に対する不信感が高まっていたのでその時流に乗ったとも言えるが、その結果は散々なものだった。特に普天間問題はどうしようもなく拗らせてしまった。官僚をうまく使っていればこんな悲惨な事態を招かなかっただろう。
 議員には選良という意識がある。官僚や裁判官は国民による審判を受けていないが自分達は国民から選ばれたのだから偉いと思い上がっている。しかしあくまでも議員として選ばれただけであり大臣候補として選ばれた訳ではない。一川防衛大臣の支持率など1割も無かろう。こんな人を大臣に留めることは政治家の思い上がりだ。立法が行政や司法を蔑視することは許されない。かと言って最近のように政治家が官僚の言いなりになっているのも困ったものだ。三権はあくまで対等な関係であって欲しい。

全体主義

2012-01-03 16:24:59 | Weblog
 私は社会主義と国家主義を類似した政治形態だと考えている。どちらも個人よりも全体を重視して全体の利益のためなら個人を犠牲にしても構わないと考えている。これらは「左の全体主義」と「右の全体主義」だ。
 但し右と左の区別は決して容易ではない。国家主義の代表格の筈のナチスの正式名称は「国民社会主義ドイツ労働者党」だ。名称上では明らかに社会主義政党であり優れた福祉政策も多数ある。これを「右の全体主義」のシンボルにするのはおかしい。多分、終戦の時点では「右の全体主義」は否定され、ソ連などの「左の全体主義」は肯定されていたのでこう位置付けられたのだろう。
 北朝鮮は社会主義国家と自称しているが、明らかに「右の全体主義」国家だろう。世襲制の軍事独裁政権はどう考えても「左の全体主義」には該当しない。
 右であれ左であれ全体主義の特徴は次のことだろう。まず言論が統制されている。国にとって都合の悪い事実は伏せられる。
 次に最高権力者の権限が大きいことが挙げられる。司法までが最高権力者の言いなりになるから三権分立は機能しない。
 私は決して民主主義の信奉者ではないが、全体主義と比べれば遙かにマシなシステムであることは間違い無かろう。