俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

デフレ

2012-04-03 15:14:00 | Weblog
 日本では消費が不振だ。金を使わずに貯める人が増えている。それは、金は使うことによって目減りするからだ。1万円札は使うまでは1万円の価値を持つ。しかしそれで服を買えば目減りする。その服は5千円でも売れないからだ。金を物に換えれば資産は減る。これは市場経済ではやむを得ないことだ。売価にはマージンが含まれており一般に商品原価は5割以下だ。薬や化粧品に至っては1割以下とさえ言われている。購入という活動は資産価値を減らすことに繋がる。従って人は必要に迫られるまで購入を遅らせようとする。腹が減るまで食べないし家電は壊れるまで使う。
 どうしてこうなったのだろうか。デフレのせいだ。インフレの時代には早く買ったほうが得だった。今1,000円で買える品が翌日には1,100円に値上がりするかも知れなかった。1,000円の商品の原価が500円であろうとも1,100円で買わされるよりはマシだった。買うことを躊躇していれば損をするから人は急いで購入した。
 ハイパーインフレは困るが緩やかなインフレなら好ましいということだろう。物価が上がれば売上が増え給料も上がる。物価を抑制しようとし過ぎれば景気は停滞する。同じ程度ならデフレよりもインフレのほうが好ましい。もっと早くインフレ目標を定めるべきだったと思う。

円高と円安

2012-04-03 14:57:45 | Weblog
 ガソリンが高騰している。原油価格の上昇と円安が原因だと言う。もっと円安になれば更に値上がりするだろう。ここに来て一時騒がれた円高亡国論は鳴りを潜めているが、為替の功罪について検討してみよう。
 もともと水と海洋資源以外には恵まれていない日本で工業製品を作る場合、エネルギーを含めて原材料を輸入せざるを得ない。円高なら輸入価格が下がる。原価が下がれば製品価格を下げることが可能だ。円高であろうと輸出に支障は無い。
 円安であれば輸入品の価格は上がる。原価が上がれば製品価格を上げざるを得ない。しかし円安なので輸出価格は下がる。この場合も為替は中立だ。
 為替相場が安定しているなら為替は輸出に悪影響を及ぼさない。デメリットがあるのは円安時に高値で輸入して円高時に輸出しようとする場合であり、メリットがあるのは円高時に輸入して円安時に輸出する場合だ。超円高と騒がれたのは丁度前者が具現化したからだ。120円台の円安で輸入して70円台の超円高で輸出することになったからだ。今はその逆で70円台の超円高で輸入して少しだけ円安の80円台で輸出するから有利な状況だ。
 こう考えると輸出のためには徐々に円安になることが望ましということが分かる。安く買って高く売れるからだ。中国は徐々に元高にしている。これは資源大国だから可能な戦略であり、日本が真似をすれば酷い目に会うだろう。

電力

2012-04-03 14:37:26 | Weblog
 日本の発電力の26%を占めていた原発が止まれば電力が不足する。この問題を解決するためには①供給を増やす②需要を抑える③電力価格を上げない④環境問題を起こさない、の4点に注目して考える必要がある。
 結論を先に言えば②需要を抑える、しか無い。この場合①を充たさないが③と④は充たせる。
 ①供給を増やす、を目指す場合、③電力価格を上げない、を優先すれば低コストな石炭発電を拡充せざるを得ない。しかし石炭発電は大量のCO2を発生するだけではなく放射能まで放出するから④を充たせない。
 供給を増やしつつ④環境問題を起こさない、ことを目論めば持続可能エネルギーに頼ることになるが、太陽光発電も風力発電も現状ではかなり高コストであり③を充たせない。
 では需要を抑えるためにはどうすれば良いだろうか。雇用確保という観点から産業用電力は削れまい。すると自ずから家庭用電力を減らすということになる。そして最も電力消費量の多いエアコンに注目すべきだろう。
 そもそもなぜ夏に電力使用量が最大になるのだろうか。夏は日差しが強く日照時間も長い。照明に必要な電力は年間で最も少ない。夏の電力使用量が増える原因は唯一、エアコンだ。エアコンは気温を下げない。屋内の気温を下げる以上に屋外の空気を暖める暖房装置だ。特別な施設以外でのエアコンの自粛あるいは禁止が最善の対策だろう。エアコンの使用が減ればヒートアイランド現象も緩和される。極論すればエアコンか脱原発かの二者択一だ。ほんの数十年前まではエアコンは殆んど普及していなかったのだから、日本人が夏の暑さに耐えられないとは思えない。