俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

ヒットパレード

2012-04-06 13:27:13 | Weblog
 高校野球の応援でブラスバンドが「サウスポー」や「狙い撃ち」などを演奏する。時には「ザ・ヒットパレード」も演奏される。これは50年ほど前のテレビ番組のテーマソングだが、「ヒットパレード」ではなく「引っ張れぇ」の意味で使われている。
 「ザ・ヒットパレード」は洋楽を日本語で歌う番組だった。戦前の世代は敵性外国語だった英語が分らない人が多かったのでそういう人をターゲットにしていたのだろう。
 ところが時々、困った歌が登場した。特に映画の主題歌ではタイトルと歌詞の乖離が著しかった。
 例えばビートルズの`A hard day's night「大変な日の夜」'の邦題は「ビートルズがやって来る ヤア!ヤア!ヤア!」だった。日本語の歌詞は「♪昼も夜も我武者羅に働く♪」で邦題と歌詞は全く合っていなかった。
 シルヴィ・バルタンの「アイドルを探せ」はもっと酷かった。もともとこの歌は映画の挿入歌であり主題歌ではなかった。挿入歌に映画のタイトルを付けてしまったからタイトルと歌詞は全く整合しなかった。歌の原題は`La plus belle pour aller danser「ダンスに行くための最高の美女」'であり、日本語の歌詞の「♪誰よりも貴方が一番幸せなの♪」という表現は「何と傲慢な女なのか」と感じる人が多く滅法評判が悪かった。

無料

2012-04-06 13:12:01 | Weblog
 大阪市には敬老パスという制度がある。70歳以上の大阪市民は市営地下鉄・バスを無料で利用できる。これまで何度も見直しが検討されたが、今回ようやく改善されるようだ。
 無料サービスとは正にバラ撒き行政だ。受益者ではなく納税者に負担を押し付けるシステムだ。公道のような公共施設ではなく、特定の人しか利用しない施設やサービスは少なくとも一部を受益者が負担すべきだろう。
 かつて老人医療費が無料化されたことがあった。病院・医院は老人に占領されて、患者は長時間待たされた。当時こんなジョークがあった。病院の待合室で老人が噂話をしていた。「近頃Aさんが来ないけれでどこか具合が悪いのかな」つまり不要不急の老人が病院に集まり老人サロンと化していた。
 無料化すれば本来そのサービスを必要としない人まで利用しようとする。救急車がタクシー代わりにされていることなどがその典型例だ。
 私が通っている公営プールは体育の日には無料開放をする。タダなら利用しなければ損だと考える意地汚い人が集まるから雰囲気は最悪だ。彼らは一見さんだからマナーが悪く技術も低い。私は定期券を買っているがこの日だけは使用したくない。本来の顧客を蔑ろにして有象無象の連中に便宜を図っているのが無料開放日の実態だろう。一部負担金を課するだけで砂糖に群がる蟻を追い払うことができる。

消費税率

2012-04-06 12:56:34 | Weblog
 消費増税法案を巡って民主党と国民新党で党内の亀裂が生じているが、食品の税率については全く議論されているようには思えない。英国での0%を始め、ヨーロッパの多くの国では食品の税率は低く抑えられている。食品の税率を低くすれば逆累進性はかなり緩和される。
 なぜこんな現実的な対策が検討されないのだろうか。誰でも考えそうなことだけに意図的に封じられているように思える。では誰の意図か、富裕層だ。政治家も官僚もマスコミ関係者も殆んどが富裕層だ。富裕層がグルになれば言論は統制できるということだ。
 富裕層のエンゲル係数は低い。従って低単価である食品の消費税など痛くも痒くもない。彼らが困るのは贅沢品に対して高い税率が掛けられることだ。
 もし一律8%ではなく、食品5%・非食品8%という税率にすれば税収が不足する。その場合、非食品の税率を10%あるいはそれ以上にする必要が生じる。彼らにとってそれは好ましいことではない。だから一律8%にして彼らの負担を減らして貧乏人の負担を増やそうとする。一律8%という税率は公平なようでいて実は不公平な制度だ。富裕層を利して、エンゲル係数の高い庶民の負担を増やすからだ。食品の特例化を認めないのは彼らの利益を守るためであり、選択肢としてさえ採り上げないのは愚民政策に他ならない。