野田首相が「田中真紀子文部科学大臣の発信力に期待する」とコメントした。それを聞いて「政治家の発信力とは?」、「発信力の無い政治家は?」などと考えてしまった。発信力の無い人は政治家として不適任と言えるし、発信力のある人は、何をどのように発信するかが重要である。
そして、今朝、柳澤寿男氏がバルカン室内管弦楽団を率いて日本で演奏活動をしている様子をNHKテレビで見た。同氏の活動については、以前にもやはりNHKで紹介されていた。今回は、主として被災地や被災者を対象にした演奏活動のようである。このようなことは、NHKが報道しなければ知らずにいるところであった。あらためて、マスコミの発信力、そして発信内容について考えさせられる。
先日、「サイトウキネンオーケストラ」の公演に関するNHKの特番を見た。「火刑台上のジャンヌダルク」上演をメインにした内容であった。このオペラでは合唱団の存在が大変重要でること。そして、大人の合唱団には「栗友会」のメンバー数十人が参加していて、彼ら、彼女らの活躍無くして演奏会の成功はありえなかったこと等、を知りつつ放映を見て驚いた。
けっこう長いインタビュー、あるいはナレーションの中で「栗友会」の名は一度も言われず、出たのは出演者名としてテロップだけであった。あげくに、インタビュアー(森田美由紀アナ)の「合唱団の9割以上が地元の人」発言にいたっては、知る人が聞けば唖然とするばかりであった。なるほど、「松本のサイトウキネン」を前面に出すためには、このような編集をするのがマスコミ(NHK)なのだ。「メインテーマを強調するためには事実をも隠蔽し、時には事実以上に誇大報告もする」がマスコミの常套手段であることを再認識した。ただし、オペラの全曲放映は良かった。
発信力について、付言したい。政治家が発信力を発揮するのは当然であり、もっともっと「世のため、人のため」に積極果敢な発信を期待したい。更に言いたいのは、作家、芸術家、科学者等の方々が、ご自分の専門分野においてはもちろんだが、もっと、もっと幅広く世の中に向けて発言、発信して欲しいと思っている。人間のなす業には、人・社会に関わらないものは無いはずである。社会的に影響力のある方々の発信力に期待したい。