今更感がありますが舞台「blue egoist」について。
新宿での制作発表パフォーマンスの映像を見て「ぅわぁ、めっちゃカッコイイ」「観た~い」となり
チケット取って行ってきました大阪公演どういう内容なのか全くわからないまま
斬新で尖っていて、こんな演劇もあるんだという感じでインパクトがありました。内容は重かったですけど
映像も含め先進的でスタイリッシュな演出と、古典的でアナログな演出の組み合わせが面白いな~と思いました。
まぁ人が演じているという時点でアナログなのかもしれませんが
音楽やダンス、セットの使い方もめちゃくちゃカッコ良くてテンション上がりました
かいちゃん(七海ひろき)目当てで行って、オペラでロックオンするつもりだったのに、
みんなカッコイイからみんな観たいになって、始まって一瞬でオペラを諦めました。2階最後列だったのに
というわけで大楽の配信を買う羽目に。買って損はしませんでしたけどね~
大楽の配信があったのは助かりました。
配信は東京だけということが多くて、地方公演の後には配信が見れないということが結構あるので。
観劇してから配信を見たいという人間なので、ホント有難かったです
(最近配信買いすぎじゃない?は置いておいて)
見るたびに新しい気付きがあって、見終わってもいろんなことを考えてしまう作品でした。
ネタバレしています。
ぼんやり予想していた範囲内からは、完全に外れてましたね
確かにライブパフォーマンス✖ダークファンタジーでした。
シュールでブラックで難解なお伽噺。
どんな作品も観た人(読んだ人)によって、違った感想になるのは当たり前ではあるんですが。
登場人物それぞれの過去、現在、未来、そして全員の出会いと別れの意味をいくらでも深掘り出来てしまう。
それが出来るのはお伽噺だからこそかなと思います。いろんな解釈が出来る余白があるからかなと。
ざっくり言うと、世界から存在をスルーされ疎外されてきた、人ではない異形のものたちが出会い、
人の世界で居場所を見つけ、SNSでバズったりして楽しく暮らしていたのに、ある事件が起きたことによって
今度は一転バッシングの嵐に。仲間うちに亀裂が入り、結果としてバラバラになってしまうというお話。
人類が生まれてからずっとある普遍的な問題に、現代的な問題も無理なくストーリーに取り込んでるのが凄いなと思います。
同族からもいじめられたり、はじかれたりして居場所が無かった者たちが、やっと見つけた居場所。
なのに鬼の子は「人のフリ」をして楽しく過ごしていることに疑問を持ってしまう。
それは偽り。本来の自分じゃない。
なんでそのままの自分を受け入れてくれないの?なんで自分たちは我慢しなきゃいけないの?それは悲しい問いで
確かにそのままの自分を受け入れてほしいというのはわかります。人間社会でもあるあるですものね。
ただ大なり小なりみんな我慢してるのが社会というものなんだよ、としか言えないかな
人を殺傷したい、他人の物を盗みたいという衝動は、社会で生きていく限り許されない。
お互いに譲り合って生きていくしかない。
これからどうする、となった時、吸血鬼さんが街に来る前にいた「森へ帰ろう!」と提案しますが、
蜘蛛男さんは反対します。「一緒にいない方がいい。」「また誰かを傷つけてしまう。」
割とキレやすいキャラですが、本質は優しいみたい
諍いが起きた時に仲間を傷つけてしまったことで自分が傷ついている。
それに対して吸血鬼さんは「嘘でもいいから」「また森で会おう」と言うんですよね
「ウソでもいいから」
楽しい時間は確かにあった。
その思い出を胸にそれぞれ旅立っていくけど、またどこかで会えるかもしれない。
森へ行ったら誰かが待っていてくれるかもしれない。
そしてみんなで笑いあえる日がくるかもしれない。
そんな希望を残した終わり方でした。