未就学児に対する無償医療の錨上がった
登録:2018-12-08 06:55 修正:2018-12-08 10:26
登録:2018-12-08 06:55 修正:2018-12-08 10:26
少子高齢化社会へのロードマップ
来年から1歳未満の医療費「0ウォン」
2025年までに未就学児へ拡大
子ども2人以上の家庭にも「多子世帯」支援
育児休職から復帰した場合人件費税額の控除
「パパクォーター制」「親保険」は除外
女性界「キャンペーン以上の対策は見当たらない」

妊婦と子育てママが主人公になって楽しむ「ディア・マム・フェスティバル」が10月3日、ソウル広津区の子ども大公園で開かれた。同行事は、ソウル市が妊婦を支援し、少子化問題の解決策を探るために開いた=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社
来年から満1歳未満の児童の医療費を事実上「ゼロ」にすることに続き、2025年までに全未就学児に「無償医療」同様の医療費全額支援を行う案が進められる。児童手当の支給対象や金額も拡大される見通しだ。
7日、大統領直属の少子化高齢社会委員会(少子化委)はこうした内容を盛り込んだ「第3次少子化・高齢化社会政策ロードマップ」を発表した。朴槿恵(パク・クネ)政権時代に作られた第3次基本計画を覆して新たに描いた“地図”には、少子化問題を解決するため、「出産奨励」ではなく「生活の質」を高めると共に、「男女平等」の社会を作るという目標が盛り込まれた。
■児童医療費の心配なくす
まず「児童無償医療」に該当する医療費支援政策が施行される。これまで満1歳未満の児童が病院で診療を受ける際、健康保険の本人負担金は平均16万5千ウォン(約1万6千円)程度だった。政府は来年からこれを平均5万6000ウォン(約5600円)水準に減らし、妊婦に支給される国民幸福カードの支援金額を50万ウォン(約5万)から60万ウォン(約6万)に引き上げ、医療費を賄えるようにした。そうなると、個人が負担しなければならない乳幼児医療費はほとんどなくなる。
さらに児童医療費の支援対象を「未就学児」まで拡大する計画だ。健康保険の非給与項目を減らして保障性を強化し、地方自治体が本人負担金を支援する方式で具体化するものとみられる。スウェーデンでは20歳まで、日本の東京都では小学校児童まで医療費が無料だ。少子化委員会のイ・チャンジュン企画調整官は「出産奨励金など乱立した地方自治体の現金性支援を医療費助成などに回す案を検討中」だと明らかにした。少子化委は、児童手当や子育て手当、自治体の出産奨励金など、別個に支援される様々な養育支援政策を合理的に再編する案を、来年打ち出す予定だ。ここで児童手当の支援対象と金額を拡大する案も共に検討される。来年1月から、児童手当月10万ウォン(約1万円)は6歳未満の全ての児童に支給される。
また、多子世帯に対する支援の基準が、2021年以降の「子供3人以上」から「2人以上」に変わるものとみられる。多子世帯は保育園の優先入所や住宅特別供給などの恩恵を受けられる。
■育児休暇を取得しやすく
育児休職や労働時間短縮要求が「当然の権利」になるようにする対策も施行される。来年から配偶者の出産休暇が有給3日から10日に拡大され、賃金削減のない育児期の勤労時間の短縮期間も最大1年から最大2年まで使えるようになる。育児休職期間の健康保険料の負担も最小化する。長期的には育児や介護、学業など各条件によって労働時間を調節する「勤労時間短縮請求権」が導入される予定だ。
現在、13%に止まっている育児休職者のうち、男性の割合を20%台へと引き上げるための計画も打ち出された。少子化委は育児休職給与の所得代替率を、最初の3カ月間は通常賃金の100%ラインまで大幅に引き上げてから、段階的に引き下げる案を検討している。しかし、男性が育児休暇を2カ月以上使ういわゆる「パパクォーター制」や、労使が一緒に基金を作って育児休職費用を払う「親保険」など、新たな制度は検討されたものの、最終案では除外された。「少子化パラダイムの転換」という宣言にふさわしい“革命的な変化”はないということだ。
国公立の保育園や幼稚園、職場内保育所の拡充にも拍車をかける。公保育施設を利用する児童の割合を40%まで引き上げる時点を、2022年から2021年まで繰り上げた。このため、今後500世帯以上のマンションを建設する際、国公立の保育施設の建設を義務付けると共に、300人以上の事業場にも職場内保育所の設置が義務付けられる。
■差別をなくす
職場内の性差別をなくすため、現在500人以上となっている「職種・職級別の男女賃金現況の義務提出企業」の対象を、資産5兆ウォン(約5千億円)以上で、職員300人以上の企業に拡大する。小規模事業所では雇用平等移行を推進するため、「雇用平等専門組織」を設ける案を検討する。来年から女性のキャリア断絶を防ぐため、育児休職後、職場に復帰する労働者に対する人件費税額控除(1年間中小企業10%、中堅企業5%)の支援を行う予定だ。これに対し、韓国女性労働者会など12の女性労働団体は論評を発表し、「政府が強力な法制度を設けて企業を強制しても足りない状況なのに、労働時間の短縮や男性育児休職に対するキャンペーン以上の対策は見当たらない」と批判した。
さらに、非婚家庭を差別する各種法と制度の改善も進められる。「継母や継父、配偶者の子女」など住民登録謄・抄本の表記や、民法の「婚外子」の区別などを無くす法案が現在国会に発議されている。出生登録漏れがないよう医療機関が出生事実を知らせる「出生通報制」と、実名出生届け出が困難な児童の場合、匿名申告を許可する「(仮称)保護出産制」の導入も推進する。

今月7日、政府ソウル庁舎で開かれた低出産高齢社会委員会で、キム・サンヒ副委員長(右から3番目)が発言している//ハンギョレ新聞社
同日、少子化委員会本委員会に出席した民間委員は「子育てしやすい社会」という大方の政策方向には共感しながらも、小学校児童のケア問題や公共社会サービスインフラの拡充、ジェンダー対策などが依然として不十分だと評価した。少子化委員会のキム・サンヒ副委員長は「地域の人口政策パラダイムを『出産奨励』から『生活の基盤拡充』に転換できるよう全省庁協議体を構成する一方、養育支援体系と育児休職制度の改編、高齢者の年齢基準に関連した制度補完などに対する社会的論議を来年から始める」と明らかにした。
ファン・イェラン、パク・ダヘ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)