韓日関係改善を政権2年目の最大の外交課題に設定し、日本政府の呼応を期待したが、強制動員など歴史問題の解決は容易ではなく、大義名分はもちろん実利も得られない状況に陥ったものとみられる。

2023-03-04 08:57:38 | 韓国を知ろう
 

激しい反発呼んだ尹大統領の歴史認識…対日外交速度戦の「泥沼」

登録:2023-03-03 06:29 修正:2023-03-03 07:17
 
 
尹錫悦大統領が2日午後、ソウル龍山の大統領室庁舎で開かれた国家報勲部昇格と在外同胞庁の新設を骨子とする「政府組織法」公布案署名式で、祝辞を述べている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル) 大統領が日本について「軍国主義侵略者から協力パートナーに変わった」との認識を示したことで、激しい反発世論に直面した。韓日関係改善を政権2年目の最大の外交課題に設定し、日本政府の呼応を期待したが、強制動員など歴史問題の解決は容易ではなく、大義名分はもちろん実利も得られない状況に陥ったものとみられる。

 尹大統領は1日、三一節(独立運動記念日)記念演説で、日本を「協力するパートナー」に位置付け、「世界史の変化に十分に備えられず、国権を喪失し苦痛を受けた韓国の過去を振り返らなければならない」と述べた。波紋が広がったことを受け、大統領室の主要関係者は2日、記者団に「安全保障・経済危機の克服に向け韓日間の協力が重要だというのが(昨日の演説の)主な内容」だとし、鎮火に乗り出した。同関係者はさらに「両国には二つの勢力があるようだ。過去を克服し未来に向かって進もうとする勢力と、反日感情と嫌韓感情を利用して政治的な反射利益を得ようとする勢力」だとし、「どちらが国家利益を真剣に考えているのか、国民が賢明な判断を下すだろう」と述べた。尹大統領の歴史観に疑問を呈する側に「政治的意図」があると攻撃し、「敵味方の論理」で対抗しているわけだ。

 尹大統領は就任直後、「首脳間のシャトル外交の復元」を対日外交の優先目標に掲げた。韓米日3カ国の協力に基づく経済・安全保障ブロックの強化を目指す米国の外交政策に積極的に呼応したのだ。4月の開催を希望する韓米首脳会談前に、日本との強制動員交渉を終わらせるという尹大統領の意思が、三一節記念演説に投影されたという分析もある。尹大統領のこのような動きは米国の期待にも合致する。米国務省のネッド・プライス報道官は「尹大統領の未来志向的なビジョンを強く支持する」と述べており、米ホワイトハウス高官も尹大統領の三一節記念演説について「深い感銘を受けた。政治的な勇気を発揮した」と絶賛した。

 しかし、強制動員問題の解決に向けた韓日政府間の交渉は出口を見出せずにいる。ある外交消息筋は同日、本紙の取材に対し、「三菱重工業など被告企業は被害補償に参加しない方針を日本政府が決めたと聞いている」と伝えたが、大統領室関係者は「事実と異なる」としながらも、具体的な内容は明らかにしなかった。日本の戦犯企業が参加しない「第3者返済」では国内世論を説得することが難しく、これを貫こうとする尹大統領の「速度戦」は国内の反発世論を爆発させるきっかけになりうる。

 「市民の会独立」のイ・マニョル理事長(元国史編纂委員長)は、「大陸勢力と海洋勢力がぶつかる朝鮮半島の状況で、敵味方を越えて我々の利益を図る賢明な対処が急がれる。敵味方の枠組みに閉じ込められた尹大統領の現実認識が嘆かわしい」と述べた。チョ・ソンリョル元大阪総領事も「李明博(イ・ミョンバク)政権や朴槿恵(パク・クネ)政権でさえも過去と未来を前後の問題と捉えており、切り離すことはなかった。韓日関係で不可分な歴史問題と当面の懸案を切り離そうとする大統領室の認識が問題」だと批判した。

キム・ミナ、クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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