ロシア産石油制裁、「産地ロンダリング」で抜け穴だらけ
インド企業、精製油を世界各地に輸出し、高収益あげる
米国と欧州がウクライナを侵略したロシアに対する制裁で石油輸出を阻んでいるが、いわゆる「産地ロンダリング」を経て依然として取り引きされていると、ウォール・ストリート・ジャーナルが1日(現地時間)付で報道した。
同報道によると、ロシアに対する制裁以降、国際石油企業らはロシア産原油をガソリンや軽油、または他の化学物質などに精油し、産地を曖昧にしてから取引しているという。このような取引にはインド企業が主要な役割を果たしていることがわかった。インドに到着したロシア産原油が精油過程を経て、スエズ運河と大西洋を渡り、米国まで運ばれているということだ。
この過程で石油を公海で密かに別の船に積み替える(いわゆる「瀬取り」)方式も動員されている。すでに国際制裁を受けている北朝鮮やイラン、ベネズエラが、国際監視網をくぐりぬけて石油取引をする時によく使う方法だ。このような手口は主に地中海や西アフリカの海、北海などで行われており、このように積み替えられたロシア産原油は中国、インド、欧州に持ち込まれている。
そのため、ロシアの石油輸出は西側諸国のロシア制裁が初めて始まった3月には急減したが、1カ月でほぼ回復した。4月のロシアの石油輸出量は侵略以前の水準である810万バレルに達している。
この過程で大きな役割を果たしたのがインドの輸入増加だった。インドのロシア産石油輸入量は、戦前の1日3万バレルから最近は80バレルへと26倍以上急増した。ロシアが、西側諸国の制裁で輸出の道が閉ざされた石油をブレント原油より1バレル当たり35ドルも低い値段でインドに販売しているためだ。これを受け、インドの精油輸出は戦前より欧州では3分の1、米国では43%も増えた。ロシアから安価な原油を持ち込んでガソリンや軽油などで精油した後、最近急騰した相場で大量輸出し、大きな利益をあげているものとみられる。
ロシア産石油の購入物量を戦前より7倍増やしたインドの巨大エネルギー企業「リライアンス・インダストリーズ」は4月21日、ガソリン化合物のアルキレート運搬船を賃貸し、パキスタンと接した西北部のシカ港から出港させた。同船は5月22日、ニューヨークで荷役した。スウェーデンのシンクタンク「エネルギー・クリーンエアーセンター」(CREA)の関係者は「リライアンスがロシア原油を安価で買ってインドで精油処理した後、転売するために米国に持ち込んだようだ」と話した。リライアンスはこれに対する釈明要求に応じなかった。
先週、ロシア産原油を積んだ船「ジョン1号」は、石油200万バレルを積める「ローレン2号」と西アフリカ海上で会った。ローレン2号はロシア石油を運んだ後、ジブラルタルに向かっており、最終目的地は中国と予想される。
アジア企業がイランやベネズエラ、ロシア産原油を買うのは違法ではない。しかし、銀行取引制限など他の制裁にともなう不利益と政治的リスクなどを懸念し、輸入企業や販売企業のほとんどが取引内訳を隠そうとする。このため、ロシア産原油を積んだ船舶が位置を隠すため、衛星航法システム(GPS)を切って運航するケースも急増している。
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