今日は、僕の好きな短編小説を一つ紹介したいと思います。
その短編小説は、芥川龍之介の「蜜柑」です。
芥川龍之介の小説の中でも一番好きな小説で、文章で人をこういう気持ちにさせられたら最高だなあと思います。
この小説で書かれたことは、芥川が実際に体験した出来事だそうです。
だから、主人公は芥川龍之介自身になります。
「蜜柑」は、短編小説のお手本のような小説で、小説の構成もなかなか興味深い。
短編小説は、起承転結のような長い構成は難しい。そこで、前フリとオチのような一つの変化で読ませることが多い。
この小説も、前フリがあり、ある出来事があって、大きく心が変化するという構成になっています。
前フリとは、最後のオチと真逆な状態のことです。例えば、アホみたいなふりして実は賢かったり、貧乏だったのに金持ちになるとか、前の部分がフリになります。
この小説は、前フリが長いのが特徴です。そして、最後に大きく心が動かされ、ガラリと情景が変化する。
横須賀線の汽車に乗る芥川は、すごく疲れていて不機嫌です。
読んでいて気分が悪くなります。
そこに13歳くらいの娘が、汽車に乗ってくる。その娘が、また芥川を不機嫌にさせる。
その不機嫌さが、最後のクライマックスまで続きます。
そして、最後に奇跡的な変化が起こる。
そういう話です。
これもYou Tubeで朗読があります。12分くらい。
リンクを張っておきますので、良かったら、ぜひ聴いてみてください。
芥川龍之介「蜜柑」
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