その壱 さかいめ
大家の徳兵衛の遠縁にあたる
草履屋 飯田屋の主 九兵衛から
跡取り息子の弥兵衛を長屋に住まわせ
棒手振りの仕事を手伝わせてほしいと頼まれる
弥兵衛はヤクザともめ事を起こしたりと
与太者崩れの男だった
魚屋の辰次は音を上げたが
おつむの弱い八百屋の金太には
弥太郎の方が振り回されるが
それを逆手に
金を騙し取る
それを知った万松の二人・・・
金太に対する万松の接し方
洒落として笑えるか
人を傷つけるか
その境目
その弐 あかぎれ
これまたいい話
旗本屋敷で下働きをしているお福
富山の薬売り 和助といい仲になり
年に何回か通ってくる
実は和助は元武士で事情があり
妻子とは別れた
お福が仕える旗本屋敷に
行儀見習いに来ている武家の娘
千歳様
彼女は和助の娘だった
その千歳様に災難がふりかかる
それに尽力したのが
おけら長屋の鉄斎と両替商の常陸屋太郎兵衛
太郎兵衛が
意地悪な旗本に言うセリフがたまらない!!
あかぎれは千歳様が下働きのお福に対しても
親切にあかぎれの薬をくれたことから
その参 あおおに
これもいい話
人に心を開かない油問屋の次男 喜之助(二十歳)と
乾物問屋相模屋の長男 長太郎(九歳)が仲良くなる
長太郎は先妻の子で
後妻には無視され居心地が悪い
長太郎には喘息もちの清一郎という弟がいて
その子のために
喜之助と二人冒険に出かける
夫婦仲が悪い長太郎 清一郎の両親に
聖庵堂のお満が啖呵を切る所や
相模屋の隠居で
おけら長屋の住民 与兵衛
つまり長太郎の祖父が
息子 相模屋の主人の愛人問題を
解決するところは最高
「あおおに」
喜之助が書いた話の中で
男の子と強い鬼になりたい青鬼が
桃仙卿というところに生えている
希願草という草を煎じて飲むと
強い鬼になれることを知り
二人で旅に出る
喜之助は青鬼になったということ
その四 もりそば
この話はあまり好きではない
大食いの類は嫌い
盛蕎麦の大食い大会で勝てば
好きな子に気持ちを打ち明けるという話
その五 おくりび
に組の纏持ち 政五郎
江戸では若い女に人気があるのは
与力 力士 そして町火消の頭取
これを「江戸の三男」と呼んでいた
顔も良く、背が高い政五郎は大人気
ところが纏持ちは三代続いた江戸っ子じゃないと
なれないのに
彼は下野国の百姓の倅ということが
バレてしまう
火消しが刺青を入れるのは
火事で焼け死んだ時に
身元がわからないと困るかららしい
堅気さんが親からもらった身体を
刺青で汚すなんざ
とんでもねえ
火消ってえのは
命知らずの馬鹿がなるんですと
刺青に憧れたものに対する
戒めの言葉