トライアングルの部屋

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仙台在住で大の阪神ファン

本所おけら長屋 十 畠山健二

2025-01-07 09:24:17 | 本 2025年

その壱 さかいめ

大家の徳兵衛の遠縁にあたる

草履屋 飯田屋の主 九兵衛から

跡取り息子の弥兵衛を長屋に住まわせ

棒手振りの仕事を手伝わせてほしいと頼まれる

 

弥兵衛はヤクザともめ事を起こしたりと

与太者崩れの男だった

 

魚屋の辰次は音を上げたが

おつむの弱い八百屋の金太には

弥太郎の方が振り回されるが

それを逆手に

金を騙し取る

 

それを知った万松の二人・・・

 

金太に対する万松の接し方

洒落として笑えるか

人を傷つけるか

その境目

 

その弐 あかぎれ

 

これまたいい話

 

旗本屋敷で下働きをしているお福

富山の薬売り 和助といい仲になり

年に何回か通ってくる

 

実は和助は元武士で事情があり

妻子とは別れた

 

お福が仕える旗本屋敷に

行儀見習いに来ている武家の娘

千歳様

 

彼女は和助の娘だった

 

その千歳様に災難がふりかかる

 

それに尽力したのが

おけら長屋の鉄斎と両替商の常陸屋太郎兵衛

 

太郎兵衛が

意地悪な旗本に言うセリフがたまらない!!

 

あかぎれは千歳様が下働きのお福に対しても

親切にあかぎれの薬をくれたことから

 

その参 あおおに

 

これもいい話

 

人に心を開かない油問屋の次男 喜之助(二十歳)と

乾物問屋相模屋の長男 長太郎(九歳)が仲良くなる

 

長太郎は先妻の子で

後妻には無視され居心地が悪い

 

長太郎には喘息もちの清一郎という弟がいて

その子のために

喜之助と二人冒険に出かける

 

夫婦仲が悪い長太郎 清一郎の両親に

聖庵堂のお満が啖呵を切る所や

相模屋の隠居で

おけら長屋の住民 与兵衛

つまり長太郎の祖父が

息子 相模屋の主人の愛人問題を

解決するところは最高

 

「あおおに」

喜之助が書いた話の中で

男の子と強い鬼になりたい青鬼が

桃仙卿というところに生えている

希願草という草を煎じて飲むと

強い鬼になれることを知り

二人で旅に出る

喜之助は青鬼になったということ

 

その四 もりそば

 

この話はあまり好きではない

大食いの類は嫌い

 

盛蕎麦の大食い大会で勝てば

好きな子に気持ちを打ち明けるという話

 

その五 おくりび

 

に組の纏持ち 政五郎

 

江戸では若い女に人気があるのは

与力 力士 そして町火消の頭取

これを「江戸の三男」と呼んでいた

 

顔も良く、背が高い政五郎は大人気

 

ところが纏持ちは三代続いた江戸っ子じゃないと

なれないのに

彼は下野国の百姓の倅ということが

バレてしまう

 

火消しが刺青を入れるのは

火事で焼け死んだ時に

身元がわからないと困るかららしい

 

堅気さんが親からもらった身体を

刺青で汚すなんざ

とんでもねえ

 

火消ってえのは

命知らずの馬鹿がなるんですと

 

刺青に憧れたものに対する

戒めの言葉

 

 

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本所おけら長屋 九 畠山健二

2025-01-04 15:06:05 | 本 2025年

その壱 まいわし

 

藩と藩との争いに巻き込まれ

試合をすることになったのは

赤鰯とバカにされている赤岩

 

赤鰯とは赤く錆びた刀のこと

 

刀が錆びて赤くなれば

赤い鰯のように見える

腑抜けた武士のことを嘲って言う

 

その腑抜けが藩を代表して

相手藩と闘うことになったのだから

身内からも妬まれてしまう

 

その原因を作ったのが殿様

自分のせいで試合をするハメに・・・

 

その殿様は

暴れん坊将軍のように

旗本の三男坊と称して

庶民の暮らしというか

おけら長屋と親しくしている

 

そうとは知らない長屋の連中は

本人を前にして

殿様が悪いと

悪口を言いたい放題

 

さて試合はどうなる事やら

 

その弐 おてだま

 

おけら長屋に

お浅という歳は三十半ばくらいの女が越してくる

 

ところがひと月もたたぬうちに

忽然と姿を消してしまう

 

お染はほかの長屋で

お浅によく似た女が

長屋に住む男たちをたぶらかし

お金を騙し取られていたという噂を耳にする

 

おけら長屋ではどうも大家の徳兵衛

隠居の与兵衛が騙されたらしい

 

その参 すがたみ

 

聖庵堂の医師の助手 お満は

木田屋という江戸でも指折りの薬種問屋の娘

 

その木田屋の大番頭が

おけら長屋の万造、松吉に

頼みごとをしてくる

 

お萬の兄の秀太郎が

吉原の花魁に入れ揚げてしまったと

 

 

主の宗右衛門や世間に知られることなく

穏便に諦めさせる手立てはないものかという

相談だった

 

花魁とはどういうものか

 

よく時代劇で観る花魁道中とは

呼び出し昼三(ちゅうさん)と呼ばれる

最上の花魁が

仲ノ町を通って引手茶屋まで行くこと

 

呼び出し昼三と遊びたければ

最も格の高い妓楼である惣籬(そうまがき)(大見世)に上がるしかない

惣籬に上がるには

必ず引手茶屋を通さなくてはならない

 

客はまず引手茶屋に上がり

豪勢な宴席を設け

そこに花魁を呼び

一緒に妓楼へと登楼する

 

だいぶ複雑

 

初会は対面するだけで

話もできず目も合わせられない

 

二度目は対面

 

三度目でようやく話ができ

気に入られれば床を共にできるというわけ

 

そこで万造は妓楼に出入りしている

髪結の弟子ということで

お満をその花魁に会わせ

秀太郎が諦めるようにしてほしいと

頼むことにする

 

この話では

その紫月花魁の悲しい生い立ちや

悲恋など泣かせてくれる

 

その四 かんざし

 

八五郎とお里の娘 お糸が嫁いだ左官の文七

御蔵前片町にある金物問屋 大和屋

仕事が終わったのに

出来が気に入らないと代金の払いを渋っている

 

その五 うらかた

 

「その弐 うらかた」に登場したお浅は

その四の話の金物問屋大和屋の娘だった

 

母が亡くなり

父親に後妻がきた

その後父親も亡くなると

後妻と番頭に追い出されていた

 

文七への代金を払わせ

お浅の仇も打ちたいと

おけら長屋が立ち上がる

 

笑いあり 涙あり

古典落語のテイストと紹介されているけど

江戸の下町好き 落語好きには

たまらない話ばかり

 

どこから読んでもおもしろい

全話読切快作!!

 

ドラマ化は?

万造は誰がいいか?

がさつな人???思いつかない

 

図書館で借りると

最初の一巻目あたりは

かなりくたびれた本だったけど

九まで来るとかなりきれいです

 

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