流（りゅう）

はじめてのデートは　２０年近く前の夏の寒い日

あの日　僕等は合流して　いまではずいぶん年を取った

不況だったころから不景気に移行して

時代も変わり　僕の定年後にはまた新しい時代になる

キミは早々に人生の冬支度をはじめ　

僕はキミの思考の速さに追いつけない

けど

流（りゅう）

僕等が生まれる前から流れは大きく

流れで合流して　流れに飲まれて　僕等は皆　消えゆく

流（りゅう）

大河の流れのように水の量は多く

泳ぐより身をまかせて　流れにまかせて　人は皆　消えゆく

おそれることはない　たくさんの人の行方を追うように

泳ぐより身をまかせて　流れにまかせて　僕等は皆　消えゆく

おそれることはない　流れにまかせて…

流れるままに…

人らしさ

今朝　2階の窓から　

近所の高齢の人が歩いていくのを見た

歩いている姿を見ているより　歩いて出かけたほうが人らしい

活動できるうちは　元気でいたいよね

最近は　座ったままのことが多くて　歩く機会がない

今日は　朝と夕方２度の散歩と　買い物

人らしさ

毎日が　つらくなければいいのに

毎日が　嫌なことがなければいいのに

子どものころとは違うんだから　自らすすめて歩いていく

「能動的」なんて難しい言葉はいいの　

嫌なことはいつも周りからやってくる

たくさんのことを見つめて　たくさんのことを見送って

歩いている姿を見ているより　歩いて出かけたほうが人らしい

活動できるうちは　元気でいたいもの

いつまで続くかな　元気でいたいもの

やさしさに触れられたなら

秋になって　友だちが言うの　

「悲しいね」

目に見える美しいもの　見聞きする信じられること

そんな世界に生まれて　友だちは「悲しいね」って言うの

楽しい話をしたいね　できることなら

でも　わたしは忙しくて　なかなか話し相手になれない

やさしさに触れられたなら

さみしい季節だね　誰かと逢いたいね

友だちの不安な心　支えになってあげられない

理解できそうで理解できない　

ごめんね　大人になっただけで　毎日が気ぜわしくて

また逢おうね　その一言が　気休めになれば

きっとまた逢おうね　その一言が　気休めになれば