企業内の検査結果をごまかして、製品を販売してしまって、数年後に内部監査や内部通報で、その事実が明らかになるというニュースがときどき流れます。
忘れた頃に、同じような検査不正が起こり、「あっ、またか」と思ってしまいます。
企業側には、検査不正の発覚により、販売先に対して、追加の費用が発生したり、損害賠償金等の損失が発生したりします。
この追加の費用や損失の原因は、検査不正をして製品を販売した事業年度に発生していますので、本来は、この時点で、費用または損失を計上すべきですが、そんな会計処理はしません。
検査部門が不正をしても、販売部門や経理部門が知らなかった場合は、検査不正がないという前提で製品を販売し、決算書類に売上を計上しているからです。
商品やサービスを購入する側、つまり顧客も不正がなかったことを前提として、商品やサービスを購入します。
決算書類を利用して、融資する金融機関や投資する投資家も同様に、不正がなかったことを前提として、融資や投資をします。
企業が行う仕入・販売・資金調達・情報開示等の活動は、企業が正しい活動を行っているという前提で成り立っているのです。
正しい企業活動とは、どのようなものでしょうか。
仏教の五戒を参考に考えてみました。
お釈迦様の智慧を借りたようなものです。
これらの前提があって、企業の経済活動があるべきであると考えます。
正しき企業活動の前提
一 嘘をつかない。
ごまかさない。
二 盗み取らない。
だまし取らない。
三 人を殺さない。
傷つけない。
四 帰属する国、国民を裏切らない。
善良な人々の信頼を失墜させない。
五 本来の目的以外に、うつつを抜かさない。
与えられた本当の使命以外に、心を奪われない。
企業等を規律付けるものとして、現在、ガバナンス・コード等に力が入れられているようです。
でも、私が考える「正しき企業活動の前提」は、もっと根源的なもので、当然と思われているが、実はできていない、日常的には、忘れさられているが、たいへん大切なものです。
財務情報の公開においても、この正しき企業活動の前提が成り立っていなければ、意味がなくなってしまいます。
多くの企業、個人(私企業)。政府、地方公共団体等の公企業(政治家も、公務員も)そして、国際機関等の経済主体の多くに認識してもらいたいと考えます。
会計に関連した私の考えについて、書いています。
できるだけ分かり易く書きたいのですが、難しくなるときもあるかもしれません。
会計は分からないけど興味がある方、会計を勉強したいと思っている方、会計に携わっている方、何かのご縁で私のブログを読んでいただいた方等、皆様のお役に立てれば幸いです。
皆様に、神さま仏さまのご加護がありますように。
61歳のオッサン公認会計士でした。
では、また。