ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・46

2015-07-17 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

朝、排便を済ましその中のスタッフを洗って再びポンプしてトイレから出ていく。これをやるのは組織のストッカーだけだろう。毎日、ほぼ同じ数のトイレが汚れていた。ストッカーは4~5名いる。1人10~20gをポンプすれば監房内には少ない時で50g、多い時には100gくらいはストックされている。フィリップスが言う絶対に見つからない場所とはこの事だったのだ。
 何度SPのチェックが入っても、もし捕まるとしたら1パケくらいを不用意に持っていた末端の売人くらいだろう。シンジケートはダメージを受けない。現在のBバラックはいつも静かだ。多分そこに数名のストッカーがいる筈だ。Cバラックの小売はムサカの6房とジュドゥの7房だ。以前は組織も小売も同じ旧Bバラックに入っていた。少なからず危険を伴っていただろう。今回の新しい監房で旧Bバラックにいたムサカ、ジュドゥをCバラックに移動させ小売の拠点とした。組織はBバラックに残り安全を確保した。
 肛門から中へ入れるのは簡単だが直ぐには出てこない。朝とは違ってこの時間、便意がない。下腹や肛門の周りをマッサージしているとやっと出てきた。あまり綺麗じゃない。水で洗ってスタッフはブリーフの中に隠してトイレの外へ出た。大きな木の前ではイスラム教徒の礼拝が始まっていた。
チャーリーがチャッキして来た。

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ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・45

2015-07-14 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

 3時のロックが開錠されても外を歩いている者は少ない。まだ午後の暑さが厳しい時間帯だ。ぼくはビリを持って7房へ行った。レゲェーを聞きながら取り留めのない話をし、ビリを吸っていた。その間、ショッカンとインド人がパケを買いに来た。ジュドゥは商売人だ。まずお金を受取ってからパケを渡す。何と言い訳しょうが金のない奴は相手にしない。パケが小さいとか効きが悪いとか値下げを含んだ文句には、じゃパケを戻せと強気だ。リズムのある気風の良いジュドゥの会話は聞いていて楽しい。
「トミー俺といると楽しいか」
彼は人気がある。人の出入りが多くいつも賑わっていた。
 4時頃、ダイクと身体を洗いに行く、いつもの生活パターンだ。水で身体を冷やしてからベッドの下に潜り込む、この暑さだと扇風機はもう止められない。その風が入らないようにベッドの下は広い布で蔽ってあるのだ。ここでぼくはスタッフをポンプしている事に気付いた。ダイクを待たせてペットボトルの水を持ってトイレへ行った。トイレの内鍵を掛け便器を跨いだ時、どこに座るか迷った。一旦いつもの位置に座ってみたがもしスタッフを落とし穴に落としてしまったら浮いてくる事はないだろう、便槽の中へ沈んでしまう、これじゃ不味い。前へ進む。小便の受け皿は傾斜がついている。丸くパッキングしたスタッフがぽろっと出て転がったら後ろ手では取れない。反対に向いてみる。お尻を入口に向けると目の下がちょうど落とし穴だ。これだったらスタッフを失う事はない、万全だ。ぼくはやっと気が付いた、何故トイレが汚れているのか。ポンプだったのだ。

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ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・44

2015-07-08 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

  4月17日(月曜日)
 気温は40度まではいっていないが毎日、暑い日が続いている。天井の扇風機はスタッフを吸う時に止める以外、回り続けていた。5月に入ると気温は連日40度を記録する。太陽に熱せられた体温より高い熱風は木陰の涼しさに逃げたとしても意味はない。吹く風が涼しいのは体温以下の場合であってそれを超えると温風乾燥機の中に居るようなものだ。昼食が終わりスタッフを一服してベッドで横になっていると
「トミー気をつけろ、7房にSPのチェックが入った」
とフィリップス。何故、彼には分かるのか、確かに外房の天井は鉄格子だけだから声は通る。同じ房内に居るのに彼だけが分かるというのはアフリカ人だけが分かる連絡手段があるのだろう。英語が分かる刑務官の前でチェックが入ったから気をつけろと英語で知らせる事は出来ない。ぼくはスタッフをビニールで二重にラッピングしそれにオイルを塗った。股を開いて屈みオイルを塗ったビニールの小さな塊りを肛門の中に入れ込んだ。初めてのポンプだった。スタッフをやり続けるなら自分の事は自分で守らなければならない。異物を入れた肛門内に不快感が続いた。異物を押し出そうとする便意感だ。我慢して横になっていると少しずつ違和感が無くなってきた。幸いSPのチェックはこの房までは来なかった。

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ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・43

2015-07-05 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

   4月17日(月曜日)
 気温は40度まではいっていないが毎日、暑い日が続いている。天井の扇風機はスタッフを吸う時に止める以外、回り続けていた。5月に入ると気温は連日40度を記録する。太陽に熱せられた体温より高い熱風は木陰の涼しさに逃げたとしても意味はない。吹く風が涼しいのは体温以下の場合であってそれを超えると温風乾燥機の中に居るようなものだ。昼食が終わりスタッフを一服してベッドで横になっていると
「トミー気をつけろ、7房にSPのチェックが入った」
とフィリップス。何故、彼には分かるのか、確かに外房の天井は鉄格子だけだから声は通る。同じ房内に居るのに彼だけが分かるというのはアフリカ人だけが分かる連絡手段があるのだろう。英語が分かる刑務官の前でチェックが入ったから気をつけろと英語で知らせる事は出来ない。ぼくはスタッフをビニールで二重にラッピングしそれにオイルを塗った。股を開いて屈みオイルを塗ったビニールの小さな塊りを肛門の中に入れ込んだ。初めてのポンプだった。スタッフをやり続けるなら自分の事は自分で守らなければならない。異物を入れた肛門内に不快感が続いた。異物を押し出そうとする便意感だ。我慢して横になっていると少しずつ違和感が無くなってきた。幸いSPのチェックはこの房までは来なかった。


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ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・42

2015-07-01 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

ダイクの7房にいるチョコマが執拗にナンシーの居場所をぼくに聞いてきた事があった。
「ナンシーの事など何も知らない」
ナンシーはマリーと一緒にぼくの出頭日、裁判所に来てくれるがどこに住んでいるか等ぼくは本当に知らなかった。知っていたとしても喋らないだろう、奴らの問題だ、深入りすべきではない。
「マリーからナンシーの居場所を聞きだしてくれ、ナンシーはキシトーのワイフだ」
チョコマは高ぶる感情を抑えて、
「キシトーはインホーマーだ、奴の密告で俺と彼女は逮捕された」
シンガポール人の彼女は女性専用の第1収監区に収監されていた。
「奴は絶対に許さない」
この事は全てのナイジェリア人が知っている。キシトーは早くここから出たかったのだ。恐らく警察は直ぐ出してやるとそのような約束をキシトーとしていたのではないだろうか。これはぼくの推測だが多分、間違ってはいないと思っている。キシトーは明日にでもデリーを離れるだろう、奴にとってデリーは危険過ぎる。ベッドで横になったフィリップスは身動きもしない。何を考えているのだろうか。
 3月に入ってリリースが続いた。
イギリス人・・1名 イタリア人・・2名
ドイツ人 マーシャル アフガン人 プラン
新たに収監された者
Cバラック4房 クリス(フランス人)
Bバラック   シンガポール人
 フィリップスが精神的に立ち直ったら、ぼくと奴の釈放の可能性を新たに考え始めなければならない。



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ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・41

2015-06-28 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

   3月24日(金曜日)
 突然、キシトーの釈放が決まった。今日、裁判所から戻って来たキシトーは房に入るなり両手をパーンと叩いてリリースだ、と叫んだ。皆、握手して彼を祝福した。
 夕方6時の施錠後キシトーは食事もせず着替えを始めた。赤い派手なシャツと上下揃いのスーツ、荷物は着替えが少しあるだけ。土足禁止の房内だが革靴を履きベッドに座って刑務官の呼び出し待っている。フィリップスはベッドで横になっていた。房の外で刑務官の声がして鍵を開ける音がするとフィリップスは飛び起きた。そしてキシトーの腕を握って早口で喋り始めた。腕を握られたキシトーは黙ったままフィリップスを引き摺るように出口へ歩き出した。力一杯腕を引き尚も食下がって喋り続けるフィリップス、出口で彼の手は振り払われた。Cバラックのゲートへ歩いて行くキシトーの後姿に鉄格子を掴んでフィリップスは叫んだ。こんなに激しく感情を露わにしたフィリップスをぼくは見た事がない。
 2人はいつも一緒に行動していた。ナイジェリアには身分的な階級制度があるのではないだろうか、彼ら2人は他のナイジェリア人とは明らかに異なっていた。安ホテルで共同生活をするナイジェリア人達と接触はするが決して溶け込もうとはしない。いつも小奇麗な服装をしてバザールに網を張り金になりそうな客を一本釣りしてはスタッフを売り捌いていた。スタッフを手にするのは中卸しと客の間だけ。接触は一方通行で彼らはぼくのホテルへは来るがぼくから連絡はとれない。住んでいる場所さえ明らかにしない。
 2人は共同事犯で逮捕されたのだとぼくは思っている。だからフィリップスは同時釈放を信じていた。だが今日、キシトーだけが釈放された。キシトーは警察官と裏取引をしていたのだ。

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ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・40

2015-06-25 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

入口に立っていたマリーに直ぐ終るから煙草とジュースを用意してくれるよう頼んだ。手錠や腰紐を掛けられた訳ではないが何とも調子が悪い。周りの陰口や白い目に気が引ける。一人の刑務官がカウンターに行き書類を見せて説明をしていた。ぼくは目立たない待合室の奥に刑務官を連れて移動した。小切手のサインをちょうど書き終わった頃、日本人のスタッフが来てくれた。現金化は速やかに処理され彼がお金を持って来てくれた。
「ご迷惑かけます」
「お気をつけて」
銀行のエリート社員の彼と刑務所に収監されている犯罪者のぼく、その落差は余りにも大きい。ちょっと落ち込んだ。
 銀行の外に出てお金の入った紙袋をマリーに渡しジュースとマッチ、煙草の箱から2本だけ煙草を受取った。護送車に乗り込み刑務官にバクシシのお金を握らせ煙草に火を点け煙を深く吸い込んだ。面倒な事が一つ片付いた。護送車はオールドデリー、ティスハザール裁判所へ向かって走り出した。



どんよりとした重い梅雨空が続いている 今夜から有り難くない大雨注意報
日照不足だがミニトマトは健気に実をつけている 感謝の気持ちでいただく
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ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・39

2015-06-23 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

 教養、娯楽の面では、ライブラリーの充実とクラスで必要なノート、ボールペン等の備品の支給、スポーツ関係では、卓球、バレーボール、バトミントンそれに今回はフットボールのボール等の用品の支給があった。娯楽ではインドで有名な芸能人やミュージシャンを呼んでのコンサートやインド人が大好きな映画の上映等、広い範囲での改善がなされているようだ。今のミーティングでも収監者から出された意見に対してマダムは同行の刑務官に指示を出されていた。ぼくの直ぐ前、刑務官の近くに居たピーターが発言した時、彼は刑務官から注意を受けた。
「君は煙草を吸っているのか」
「いいえ、吸っていません」
と言ったが口に手を当てる仕草をしてぼくの所へ引下って来た。数名の刑務官を連れてマダムは戻って行かれた。後でピーターは皆から文句を言われていた。
  
   3月3日(金曜日)
 午後、コンノートンの東京銀行へ行ってきた。銀行の入口には銀行の警備員が出入りの人間を監視していた。服装が悪かったり銀行とは縁のなさそうな人間は止められ用件を聞かれる。ぼくは一度、警備員から止められウエストバッグを調べられそうになった事があった。シーク教徒からスタッフ50gを買いその支払いの為に彼らと来ていた。中にはスタッフの大パケが入っている、頭にきたぼくは
「触るな、俺は日本人だ。バッグの中には大金が入っている」
と言って、警備員を睨みつけて銀行に入った。今日は前後、銃を持った刑務官に挟まれて銀行に来た。文句あるまい。

修理明細書
HDD不具合の為交換致しました 出荷時の状態に戻させていただきました
修理完了日から3ヶ月以内に、同一箇所故障の場合弊社の責任で無料で修理いたします 

故障した場合、個人でメーカーのテクノへ連絡するより量販店に相談した方が良いと思った
保証書の確認も必要だ 担当者の奨めで長期保証36ヶ月に入っていた
料金はPC金額の5% それに救われた 3ヶ月を残して 今は順調に動いている
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ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・38

2015-06-21 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

  3月2日(木曜日)
 朝、クラスでスペイン語の勉強をしていた10時頃、第1刑務所の監督官マダムの視察があった。第5収監区に移ってから初めての視察だ。各バラックや水場、トイレ等、説明を受けながら見て回られたようだ。最後にクラスをやっている所へ来て全員を集められた。新しいワードに替わって皆の意見や要望をお聞きになっていたが声が遠いのか両手を肩の高さに上げ
「もっと近くに集まりなさい」
という仕草をされた。収監者達はマダムを尊敬していた。マダムが第1刑務所の監督官に就任されてから収監者の待遇は著しく改善されたとぼくは聞いている。特に食事の改善については全員が満足しているようだ。以前は毎日、黒いダル豆の薄いスープだけだったらしいが、今は毎昼食にはサブジと黄色いダル・スープが出る。ライスも質が良くなりアフリカ人にはアタが主食として配給された。Bクラスというのがあるが概ね中長期収監者がその待遇を受けていた。長い収監者の健康を考えてのことだろう、毎朝ミルクが配給されていた。一度、火が通してあり飲まない時はそのままで自然にヨーグルトになる。ちょっと酸っぱいがアフリカ人は大好きだ。

インド熱波 死者2200人超す
1990年以降 最悪の被害となっている 90年以降の熱波による死者数は
95年が1677人でこれまでの最多だった (読売新聞 6月2日)

ブログの日付は1995年だ 6月になると熱波が刑務所を襲った
鉄格子の間から熱風が吹く それを鉄格子に掛けた厚い毛布で防ぐ オォ~~マイガァ~~
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ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・37

2015-06-01 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

「暫らくシルバーペーパーの心配はないな」
「そうだな、かなり集めたからな」
「リリースされたら日本へ帰るのか」
「一度、帰るだろう、母が心配しているから。でも直ぐカトマンズに戻って来るよ。学校へ行きながら土産物屋をやるつもりだから」
「その時は連絡をくれよ、俺もカトマンズへ行く」
「あぁ、待ってる、お前がベスト・スタッフを持って来るのを」
「当然だろう」とダイク。
そして右手の親指に力を入れて、ぐぅと立て笑いながらぼくの肩を叩いた。
 3房に戻るとオマールは横になっていた。またお腹でも悪いのかと聞くと突然、起き上がって一気に喋りだした。6房でムサカ達とトランプ・ゲームをして遊んでいた。ゲームに負けた者が入れ替わる、それを何度かやった後ちょうど負けたのでここに戻って横になっていた。何気なくお金を入れたポケットに手を当てると膨らみがない。起き上がって毛布の間、ズボンの中を調べたがお金はなかった。6房でゲームをやっている間にポケットから落ちたのだろう誰かが持っているかもしれない、急いで6房へ戻ってみるともう誰も居なかった。グランドに行ってムサカ達に聞いたが誰も知らないと言う、落としたのは6房しかない。
「奴らが俺のお金を山分けしたんだ、ちきしょう」
とオマール。落とした奴が悪いとはオマールが可哀相で言えなかった。1000ルピーくらい貯めていたらしい。隠しても盗まれる刑務所の中だ。ビリの商売をやるかと聞くと、今はやりたくないと、奴はかなり落ち込んでいた。

このPCでの更新は最後だろう 疲れた 週末 買い換えるつもりだ どうなるか???

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