夜、スタッフを2パケ入れた。チャラスを多く混ぜたジョイントを吸ったら効いてしまった。久し振りだこんなキックは、つい横になってしまった。夜中、とうとうムスタハンは病院へ連れて行かれた。暫らく帰って来なければ良いのに。カマルがムスタハンの事をゾンビと言ったが笑わせるね。両手を前にだらりと出し膝を屈めてそろそろと歩くゾンビ・ムスタハン、その姿をランジャンは見事に演じた。ぼくらは手を叩いて笑い転げた。
ヒーターを刑務官に没収されて火はオイルランプに替えていた。いつの間にかオイル切れで火が消えていた。ビリを吸いたいと思ったらどんな事でもやる、横になっているランジャンから電線をスパークさせて火を作るやり方を教えてもらった。ぼくが何度やっても上手くいかない、そのうち彼が起き出して来て手伝ってくれたが火が点かない、湿気が多くて今日は駄目だと彼。それで終わりかと思ったら彼は外房へ出て行き7房へ向かって大声で火をくれと頼んだ。たったビリ一本を吸うのにそこまでやるのかね。こちらも暇だが隣も暇だ、面白い事なら乗ってくる。新聞紙に火を点けそれを天井の鉄格子の間から投げ込んできた。火は天井の上で赤く燃え上がっていた。刑務官に見つかって大丈夫なのかと思ったがぼくも少々の事では驚かなくなっていた。
「サンキュー」
落ちてきた新聞紙からビリに火を点け3人で吸った。